店名に「パンダ」と冠した店を見かけることがある。
知らない街でたまたまそんな店を通りかかると、つい「おっ、パンダか、かわいいな」と思ってしまう。確かにパンダはかわいくって人気のある動物だと思う。
ただ、そう思う反面、「なんでパンダに気を取られてるんだ」という気持ちにもなる。店側のパンダ作戦にまんまと乗せられて、ちょっとくやしい感じもする。
でもやっぱりパンダはかわいいし…。パンダの店を見て、振幅する心。
そんな揺れる気持ちと向き合うため、パンダの店を回ってきました。
(小野法師丸)
●ぐいぐい展開するパンダチェーン
以前、車で通りかかって「あっ!パンダ!?」と思った店があった。車窓を通り抜けていく「パンダ」の文字に、かわいい!と思いつつも、実体はよくわからないまま。
あのパンダの店、どんなだっただろう。確かあの辺だったな、と思う道を今回改めてトレースしてみる。おお、あった、あったぞ。
偶然通りかかったときは不意を突かれたのでどんな店かよくわからなかったのだが、その実体は理容室。独特のタッチのパンダが描かれていて、パンダ度高めだ。
駐車場を表しているはずの「P」の文字も、パンダの「P」に見えてくる。
看板の下には微妙なパンダのオブジェが存在。「パンダ理容室」に置いてあるから、これはパンダなんだろうな、と思わせるくらいのギリギリを突いてくるパンダだ。誰がどう見てもパンダという、わかりやすいパンダにはない味がある。
調べてみたところ、この「パンダ理容室」は埼玉県越谷市を中心に展開するグループであることがわかった。ならば本拠地に乗り込んでみようではないか。
越谷市で見つけたこちらの店は、建物自体が大きいことに加えて、建物全体が理容室のシンボルカラーである白・赤・青となっていることも特徴的。
「パンダ理容室」という人気者を冠した名前と合わせてインパクトが強い。こちらもパンダオブジェを備えてあり、先ほどの店より一般的なパンダ感が高い。
やっぱりかわいいな。…いや、だからそれでいいのか。今年で36歳になる私。パンダに心揺られていいのだろうか。
さらに大きな店舗も発見。「新普通調髪」という大きな幕も掲げてあり、全体的にやる気まんまん。パンダの実物写真もあり、ザ・パンダというラッシュの強さがびんびん来る
オブジェも健在。なのだが、やや味のあるタイプ。人はどういう要素をもってそれをパンダだと認識するのか。その境界を意識させるパンダだ。
オブジェはなくてもパンダの絵が語りかけて来る店もあった。「あなたは、もっと素敵なはず…」。途中の読点と最後の余韻に説得力がありそうなのだが、言っているのはパンダ。絶妙なバランスの拮抗がそこにある。
店のカラーリングからもわかるように、同じグループ店でありつつ違う名前の店もあった。「とこや理容室」。そこがとこやであり、理容室であることが強調されて伝わってくる。
再びオブジェ設置店だ。表情が豊かで、首周辺の黒模様に独特の意匠がある。ページ前半で紹介してきたパンダよりはやや洗練されていて、キャラクターとして立っていると言えるだろうか。
その分、たまたま通りかかったときの「!」という感じは薄らぐのかもしれない。手堅く親しまれるパンダなのだとは思う。
理容室シリーズの最後は、また別の角度から気になるパンダ。完成度やうまさという意味では、ページ前半で紹介したものより高いのだろう。若者的なノリも感じられる。
わかりやすいインパクトはあるのだろう。ただ、やっぱり、
個人的にはこっちの方が好きだ。
さて、続いてのページでは理容室以外にも見つけたパンダの店を紹介していこう。