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チャレンジの日曜日
 
動く目の錯覚で自転車を動かす


 

 目の錯覚、と言えばほとんどの方がご存知だと思いますが、動く錯視、というのはご存知でしょうか。文字通り動いて見える錯視のことなのですが、その中でも回転錯視がすごい。この回転錯視を使えば、写真でも動いて見えるようにできるんじゃないでしょうか。

荒原べんぞう



動く錯視

目の錯覚、と聞くと大抵は同じ長さなのに片方が長く見えるとか、下に流れてた水がいつのまにか上に昇ってるとか、そういうのを思い浮かべると思います。しかし、目の錯覚の中には動いて見えるというものもあります。説明するより実際に見てもらったほうが早いと思うので、とりあえず下の図を見てみてください。


見続けていると気分が悪くなることがあるのでご注意ください

どうですか、円が回って見えましたでしょうか。これはれっきとした静止画です。中には回って見えないかたもいるかと思いますが、異常ではないので心配することはありません。

この画像は立命館大学の北岡明佳教授のホームページから引用させていただきました。北岡先生が作られた蛇の回転錯視は錯視量が多くて大変すばらしく、ヴィレッジバンガードに行けばポスターが売ってるほどなので、回って見えないというかたは下記のリンクからいろんなバリエーションの回転錯視をご覧になってみてください。慣れてくるとぎゅるんぎゅるん回って見えるようになります。


北岡明佳の錯視のページ
https://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

 
遡ること数年前、それまで動く錯視を知らなかった僕はこれを初めてみたときに軽いショックを受けるほど感動しました。それからはこの動く錯視をうまく写真に使えないものか考える日々。本当に作れたら写真に躍動感があるばかりか、実際に動いて見えるわけですからきっと面白い写真になるに違いない。そういう思いを今まで温めて温めて、そしてついに今回、動く錯視を活用した写真を実際に作ろうと思い至ったわけです。

自転車にとりつけてみる

今回は、この回転錯視を自転車に取り付けて、車輪が回っているように見える錯視写真を撮ってみようと思います。と言っても、まずは錯視図形を作らなくてはいけません。北岡先生の蛇の図形を使ってもいいのですが、自転車の車輪のサイズに工作することを考えて、自分でオリジナルの図形を作ることにしました。フォトショップでいろいろ試行錯誤して、なんとなくできたのが下の図形です。

 
作成したサンプル
 

結構いろんなパターンを作ってみたのですが、北岡先生の錯視量には到底叶いませんでした。でもこれでも慣れれば回って見えなくもないです。コツとしては外側にある6つの円を時計回りに順番に見ていくこと。そうすると目の端で捕らえている円が回って見えてくるはずです。

このままでもそれなりの錯視量はあると思いますし、何より原色しか使ってなくて工作がしやすそうなので、この図形を自転車サイズに加工していくことにします。


工作をします
完成です

東急ハンズで買ってきた材料を元に工作をし、案外時間がかかりましたがなんとか完成まで漕ぎつけることができました。自転車なだけに、漕ぎついたというわけです。

それではさっそく外に出て自転車に取り付けてみましょう。果たして回転して見えるでしょうか。

 
回って見える?

皆さんの思っていることはわかります。だって僕もそうです。回転してなんか見えません。

最初に作ったサンプルではそれなりに回転して見えていたのに、なんで写真になるとだめなんでしょうか。もしかしたら背景がごちゃごちゃしているのがいけないのかもしれません。試しに、背景が単色に近いところに移動してみることにします。


背景を単色にしてみた

この自転車は工作した図形を取り付けたまま車輪を回すことができないので、自転車ごと持ち上げてその辺をうろうろしました。とんだ頑張り屋さんですが、そうしながら見つけた単色の背景、意気揚々と写真を撮るもののやっぱり回って見えません。

横で気になることをしてみよう

そういえばサンプルでは見ているそのものよりも、目の端に捕らえているもののほうが回転して見えていました。それなら、自転車の横で僕が気になることをして、見る人の気を逸らしたらいいんじゃないでしょうか。いい作戦かもしれません。やってみます。

  
おなかが出てる

逆立ちをしたのが何年ぶりかわかりません。結構時間をかけて勘をとりもどし、何度も失敗してようやく撮れた一枚がこれなのですが、結局車輪は回転して見えません。
 
完全にわからなくなってる

やみくもに近くにあったパイロンを被ってみましたが、だからといって何なのかがさっぱりわからなくなりました。もちろん車輪は回って見えません。

場所を変えよう

横で気になることをする作戦はなんだか不発に終わったので、もう一度原点に立ち返って背景を変えてみることにしました。サンプルの背景色は白だったので、白の単色の背景を探せばそれなりの結果が出るはずです。

 
移動風景

車輪に取り付けた錯視の工作はいったん取り外し、自転車の機動力を生かして白い背景を探します。


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