ほおづえもそのうちのひとつかも
体力を使わない暮らし。
体力にも筋力にも自信がない僕がこれまで生きてきて、(特に意識して編み出したわけではないのだけれども)いつの間にか体に染みついていた生活習慣だ。
28年の歳月が作った、寝言以上ライフハック未満の知恵の数々。今日は披露しようと思います。
(text by 石川 大樹)
体力を使わない知恵とは
次の2枚の写真を比べてみて欲しい。
図2
どちらも紙コップでお茶を飲んでいる写真だ。違いがわかるだろうか。
違いは小指の使い方。左は一般的なコップの持ち方、右は僕のコップの持ち方。右の方が楽であることにお気づきだろうか。ピンとこない方のために、図で説明しよう。
小指で重力を受け止めるため、握力が弱くてすむ
どうだろう、なんとなく右の持ち方の方が、体力を使わなくてすんでいる気がしないだろうか。これが今日のテーマ、「体力の節約」だ。
上の図が力学的に合ってるとか間違ってるとか、そんなヤボなことは言わないでほしい。問題は物理とかエネルギーとかそういうことではなくて、「気持ち」だからだ。「こうするとちょっと楽な気がする」「体力を使わなくてすむ気がする」、そんな小さな喜びの気持ちの積み重ねで、日々の生活を紡いでいこうじゃないか。
階段を登るとき
階段を登るとき、みなさんはどうやって登っているだろうか。よく思い出してほしいのは、手の動きだ。歩くときと同じように、右足と同時に左手、左足と同時に右手を出しているのではないだろうか。ちょっとまって!その手、無駄じゃないですか?ブンブン振り回すだけでなんの役目も果たしていないように思える、その手。僕はもうちょっと有効活用しています。
手をただ振るのはやめて、身体の補助に向けてみてはどうだろうか。
階段を1段登る動作を、ステップに分けて考えてみよう。
(a)一段上に足を出す、(b)体重を上げた方の足に体重を移動、(c)反対の足を引き寄せる。階段を登る3つのステップのうち、一番体力を消耗するのは(b)だ。この体重の移動の際に、手を使うのだ。
やり方はこう。ヒザに両手を置いて、足を押し下げるようにする。すると、ヒザはそれ以上沈まないので、逆に身体が持ち上がる。この反作用の力を利用すれば、楽に段を上れる。体力の節約だ。
と力説してはみたものの、実はこれはあんまり楽じゃない。肩とヒザの距離が遠すぎて、腕を伸ばしてもあんまり踏ん張れないのだ。むしろ手をブンブン振って反動を付けた方が楽に上れる気がする。
しかし、だ。もう一つのエッセンスを加えることにより、この理論は生きる。次の写真を見てほしい。
ヒザを勢いよく上げて、手のひらでグッと押す。躍動感溢れるシーンが収められている(いるだろ!?)が、先ほどと何が違うのだろうか。答えは、これだ。
一段とばしで登れ
そうだ。階段は一段とばしで登るのだ。一段とばしは一見、体力を無駄に消費しそうだが、コーラと牛乳を混ぜると意外とおいしいように、一段飛ばしと腕による押し上げを併用することで、速く、かつ楽なのぼり方が完成するのだ!
(コーラと牛乳の例えは、意外な物の組み合わせがいい結果を生むという意味の他に、まあ明らかに万人受けではないよね、というあきらめのニュアンスも含んでいます)
ドアの開け方
みなさん、ドア、開けてますか?僕も毎日開けてます。
家のドア程度ならいいのだ.が、たまに妙に重いドアがある。以前住んでいた家の最寄りのコンビニはそんなドアで、買い物に行くたびに面倒に思っていたものだ。
しかし、ここで朗報。重いドアも楽に開ける方法があるのだ。
ドアが重い。そんなときのソリューションは「肩で開ける」だ。肩をドアに当て、ドア全体に体重を預けるようにして、全身でグッと押す。こうすれば重いドアも難なく開けられる。
誰でも思いつきそうな手ではある。問題は、マインドの部分だ。
読者のみなさんは、「肩でドア開けるのってちょっとかっこわるくない?」って今思っているだろう。たしかにヨロヨローっとやってきて、ドアにフラッともたれかかって、グイーっと身体で開ける。それではかっこわるい気がする。しかしこう考えてみてはどうだろう。
突入を意識する
肩でドアを開けるといえば、突入だ。
肩でドカンっとドアを突き破って、抜けると同時に「手を挙げろ!」。これを念頭に置くだけで、かなり気持ちが変わる。ドアの取手を持つ手に、拳銃を想像するのがポイントだ。(「手を挙げろ!」は実際に発音するのではなく、頭の中で言おう。)
ちなみに反対側からドアを通る時、つまり引く場合は、ドアの持ち手に手をかけて、後ろ向きに体重で引っ張る。この後ろ体重の姿、やはり拳銃を持っていると仮定するとなかなかかっこいい物があると思わないだろうか。
「別にかっこよくない」と喉元まで出かけている人へ。花壇のお花を踏まないでください。