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ロマンの木曜日
 
街頭の温度計は正確か?

赤坂へ

ふたたび移動して、こんどは赤坂にやってきた。
赤坂見附という交差点の近くに街頭温度計がある。
付近には首都高が走っており、頻繁に渋滞が発生する場所なので、ドライバー向けの温度表示だろう。



ユンケルの会社の看板に温度計が

街頭温度計は8℃

赤坂見附の街頭温度計は8℃を示している。
これはたぶん、ちょっと低めな数値だと思う。
対して自前の温度計は21.5℃を表示しているが、地下鉄から出たばかりなので、まだ安定していない数字だ。
またまたしばらく待機である。


見にくいが街頭温度計は8℃
だいぶ下がってきた

ひたすらじっと待ちます

たぶん中間くらいかな

ここでも30分ほど待って、安定した数字になった。
自前温度計の数字は12.3℃。
体がすっかり冷えてしまったので、もう「冬なのに暖かい」とは感じなくなっているが、街頭温度計の8℃はちょっと低すぎる気がするし、12.3℃というのも高すぎる気がする。
きっと実際の気温はその中間くらいなんじゃないかと思う。


12.3℃という結果に

翌日再調査

この調査では、さすがに結論が出せそうにないので、翌日早起きして、もう一度調査に出た。
向かったのは夜明け直後の有楽町だ。



まだ薄暗いガード下
あそこにも温度計がある

本気で寒い

有楽町の街頭温度計の表示は5℃だ。
こういうと北国の方には笑われてしまうかもしれないが、体感上はかなり寒い。
僕も北海道出身なので、東京の人がプラスの気温なのに寒い寒いというのを大げさだと思っていたが、東京に住んでみると、寒いものは寒い。


こちらもサトちゃんの温度計

やっぱり寒いんだ

昨日のように、到着時点の温度計は電車内の気温を引きずって、18℃以上を指していたが、その後ぐんぐんと数字が下がっていった。
やはり、昨日の昼間よりは寒いのだ。


電車の中の温度から
今日は一気に下がっていく

そして寒い

またまた温度が安定するまで待機しているのだが、黙っていると体ががくがくと震えてくる。
寒いときの肉体反射だなあ、これは。
寒いなあ、寒いなあ、寒いなあ。
気がつくと、ずっと「寒い」ということばかり考えて時間をすごしていた。
今、暖かい室内で原稿を書いているのだが、思い出してまた寒くなってきた。


凍えてしまいそうだ
10分待って7.4℃

街頭温度計と一致した

表示温度の最初の下がり方は速かったが、結局安定するまで30分近くかかってしまった。
結果、自前温度計は5.9℃を示した。
小数点を切り捨てると、街頭温度計の表示と一致したことになる。
ついにやった。
一致した。
めでたい。
早起きして、寒さに耐えた甲斐があった。


おめでとう、5℃

いや、そういう企画ではない

僕もわかっている。
そもそもこの企画は、街頭温度計が正確かどうかを調べようというものだ。
電気屋さんで買った温度計が正確かという調査ではない。
というわけで、気象庁にやってきた。


大手町の気象庁に

気象庁発表の気温と比べる

新聞やテレビのお天気コーナーで報道される「東京の気温」は大手町の気象庁で計測されているらしい。
ということは、気象庁の前で自前の温度計で計測した気温と、気象庁発表の気温を比較すれば、この温度計が正確なのかどうかがわかり、数値の校正ができる。


気象庁近くの公園で気温を計測しよう
9時の気温を測って比較する

気象庁はアメダスの気温データを10分ごとに公表しているが、わかりやすくするために9時ちょうどの気温を測って比べてみよう。
ちなみに有楽町から大手町までの移動時間は十数分なので、当初は8時の気温を測ろうと思ったのだが、あまりにも体が冷えてしまったのでマクドナルドで暖をとっていたら間に合わなかった。


気象庁は皇居のお堀の近くにある
そしてまた寒くなった
寒くて塀の写真を撮るくらいしかできない
少しずつ数字が下がる

9時ちょうどに自前温度計が示した気温は7.9℃だった。
これを、後ほど発表される気象庁のデータと比較してみよう。


携帯電話の時計が59分なのは、9時ちょうどに電話がかかってきてしまったから

2.4℃の差

家に帰ってから気象庁のデータを確認したところ、この時間のアメダスの気温は5.5℃だった。
ということは、

・自前温度計 :7.9℃
・気象庁発表 :5.5℃

で、自前温度計との差は2.4℃だ。
この温度計の製品仕様書には気温計測の精度がプラスマイナス1℃と書かれている。
なので、

6.9℃(誤差マイナス1℃)-5.5℃=1.4℃

で、機材の精度以外に1.4℃の誤差があるということになる。
なお、7時のデータを見ると

・気象庁発表 :5.2℃
・自前温度計 :5.9℃
・街頭温度計 :5℃

となり、街頭温度計の示す気温も、自前温度計も正しかったのだ(大手町と有楽町の差はあるが)。

ちなみに前日僕が渋谷で気温を測っていたころは

・気象庁発表 :11.5℃
・自前温度計 :18.1℃
・街頭温度計 :11℃

で、渋谷の街頭温度計は、場所の差さえ考えなければかなり正確だ。


あれま、5.5℃でした


このあと新橋でも測ったが
この実験はあまり意味がないようだ



同じ機械で測ることに意味がある

以前、東京の気温は真夏などの場合、皇居や公園が近くにある大手町の気温は低めに記録されるという話を聞いたことがある。
同じように、各地域のアメダス地点には観測機材の設置条件のごくわずかな違いから、その場所ごとの「クセ」のようなものがデータに現れるという話も聞いた。
つまり、気温は同じ場所で同じ機械で、何度も続けて測ることでデータとして意味のあるものになるということのようだ。
なので、街頭の温度計は、気象観測のデータとしては正確ではないかもしれないけれど、だからといって信じてはいけないというものでもないと思う。

という、全くなんの情報もない記事になってしまった。
こんなに寒い思いをしたのに。

しかし、この街頭温度計は不正確だ

 
 
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