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見てきてジャーニー
 
廃墟に残る○ッキーの影を追う

迫ってみますよー

 みなさん、こんにちは。いきなりですが、今、船の上にいます。年末の見てきて特集3日目の舞台は、香川県は小豆島(しょうどしま)。新幹線を岡山で降りて、こうしてフェリーで島へ向かっています。はるばる海路まで使って何を見てくるかというと、看板です。もう1回言いましょうか?看板です。記事タイトルにホラーっぽいのつけちゃいましたけど。看板です。

(text by 石川 大樹

見てきてジャーニーとは?
「ちょっと見てきて」のなかで、なかなか見てきてくれないところを、デイリーポータルZのライター陣が旅をしながら見てくる企画です。

 



小豆島ですよ

 というわけで新岡山港から船に乗って、小豆島に向かっている。小豆島は四国と中国地方に挟まれた島で、陸路も含めると東京からだいたい6〜7時間くらいかかる。


船からの景色

 

冬の平日とあって船内には人もまばら

あとペンキぬりたて

日没迫る

 唐突に景色の写真を入れてみましたが、この逆光の写真で伝えたいのは、水に映る太陽がきれいだとかそういうことではない。日が傾いてきているのだ。

 まだ島についてないのに、明らかに太陽は西日。予定では工程は1泊2日。今回「見てきて」は3件あるので、明日の夕方前には帰路に着くことを考えると、今日中にどうしても1件は回っておきたい。しかし時刻はすでに3時を過ぎている。日の入りは16:56。島への到着予定は16:10。港からの移動も含めて、たった40分で見てきて1件をこなせるのだろうか!

 

最初の見てきては岬の石地蔵

 この日は船のいろんなところがペンキ塗りたてで、デッキにいると潮風に混ざってほのかにシンナーの香りがただよってきた。立ち入り禁止の張り紙に、僕のぬっと長い影がかかる。なんだか無性に焦燥感をあおる光景だ。いや、単に僕があせっているからそう見えるだけだろうか。

 現実から目をそらすべく、ここで最初の見てきてをご紹介しよう。

もう35年前のことです。黒崎の岬の上に石地蔵さんが在ったのを記憶しています。もし良かったら岬の石像と、岬の上から海をみた景色を撮影していただけませんでしょうか?ちょっと見てきて:黒崎の石像

 地図上で見ると、フェリーのつく土庄港から黒崎はそんなに離れていない。上陸後、すぐに向かえば間に合うだろう。ちょうど西向きの岬だし、きれいな夕日の写真でも撮れるんじゃないだろうか。いやー、ちょうどいいタイミングにきたね!って自分に言い聞かせるけど顔は笑ってない。はやく!船はやく!



そんなこんなで到着(ハラハラ)

 

運転手さん、飛ばして頂戴!

タクシーで急行

 島に着くなりバス停に駆け込むも、日に5本しかないバス、次の便は18時で、日没の1時間後。明らかに間に合わないため、タクシーに乗り込む。

 タクシーに乗り込んで行き先を告げるなり、「写真撮りに行くの?」と聞かれた。僕はてっきり黒崎というのはちょっとしたお土産屋が並ぶような、観光地になっているのかと思っていた。でも運転手さんの話によると、「特に観光地ってことはないね」「まあ眺めがいいから、写真撮りに行くって人がたまにいるよ」とのことだ。

 


 

夕日が赤すぎて砂も赤い

岬に着いたものの

 いきなり砂浜みたいなところに下ろされた。目の前には尖った岩場。ははあん、あそこが黒崎だな、と察しだけはいい僕ですが、しかしどうやって上まで行けばいいのか。目の前にそびえるのは岸壁。登り口を聞こうにも、とっくにタクシーはどっかへ行ってしまったし、周りには人影もない。困ったなあ。空はすでに赤い。

 

 

あそこが岬なのはわかる

砂浜の端まで行ってみるも、見事に行き止まり


夕日をバックに、無駄にムーディーに途方にくれる

 

ちょっと道路に出て迂回したところに登り口が

登り口発見

 岬から裏側へ回ると、ものの数分で登り口は見つかった。ちょっと拍子抜け。

 しかし、そこに置かれているのは杖。嫌な予感を感じつつ、頭を上げるとそこにはものすごい角度で上空へつながっていく階段。

 


杖。嫌な予感。

つづいて、現実。


出張セットの入ったカートを抱えての登山

まもなく、建物が見えてきた

 

覗き窓から覗くと

怖いほうのお地蔵さん

 急な石段を5分ほど上ったところで、小さな社(やしろ)を発見。戸が閉まっていたが、覗き窓から中を見ると、ちょうど等身大くらいのお地蔵さんが祭られていた。これが投稿にあった石地蔵さんだろうか。

 …怖い。

 サイズがちょうど人間くらいなせいか、それとも暗くて顔が見えないせいなのか、お地蔵さんは妙に恐ろしく見えた。長居はしないでおこう。岬のもっと先へと続く道を進む。

 

こわっ。顔が真っ暗で見えない

そして背後には夕日

そして岬の先へ

 なんだか急に怖くなってビクビクしながら林を抜けると、急に開けた場所に出た。この獣道のむこうが、岬の先端だ。


この恐竜の背中みたいな道を

すすむと

少し開けた場所にでて

 

石地蔵だ!

これが本物の石地蔵

 あった。石地蔵だ!優しい顔で笑っている。見てきてに書かれていた石地蔵はこれのことだろう。まちがいない。

 岬の先はちょっとした空間になっていて、その隅に石地蔵が置かれていた。まわりは木に囲まれていて景色はそんなによくなかったのだけど、岬の先端より少し手前には開けたところもあって、そこからの眺めはなかなかでした。

 


葉っぱのあいだから無理矢理撮ってみました

ちょっと戻ったところからの眺めです


 ということで、日没前になんとか1つ目の見てきてを達成。まにあった!。

 

 

行ってきました

 夕方、夕日の時刻に行ってきました。岬の上のひっそりとした空間に、石地蔵も笑顔でたたずんでいましたよ。

ちょっと見てきて:黒崎の石像

 

この後バスがもうなくて、真っ暗の中で泣きながら1時間くらいホテルまで歩いた

 

 

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