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ロマンの木曜日
 
武蔵野線トライアングルめぐり

こういうところです

  メリークリスマス!さて、今回のテーマは東京の外側をぐるりとまわる武蔵野線です。

武蔵野線は、もともと都心を通過する貨物列車のバイパス線として計画されたため、同じJRの路線と交差するところに、お互いの線路を行き来するための渡り線が接続されています。

特に東北線と交差する浦和、常磐線と交差する松戸、京葉線にぶつかる船橋付近には、地図でみると大きな線路のトライアングルが形成されています。

うっかりあのトライアングルの中に入ると行方不明になってしまう、なんて噂はまったくないのですが、中はどうなっているのか、分岐点はどんな景色なのか、3カ所のトライアングルをめぐってきました。

萩原 雅紀



浦和トライアングル



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ウラワ・トライアングル全景

最初の目的地である、東北線との渡り線が接続する浦和トライアングルは西浦和駅と武蔵浦和駅の中間。西浦和で降りて、トライアングルを眺めながら武蔵浦和まで歩くことにしました。

ホームの先端から武蔵浦和方面を見るとさっそく分岐が始まっていて、気分を盛り上げます。改札を出てあそこまで行ってみましょう。


先の方に見える分岐に気分も高まる 線路沿いの道を進む

線路沿いの道を歩いていくと、ほどなく分岐点にたどり着きました。コンクリートの高架橋が複雑に絡み合っていて、早くもドキドキしてきます。地元の人には何でもない景色、というよりむしろ暗くてうるさい光景かも知れませんが。


あそこだ! お!

おお!!

いきなり、なかなかの分岐!

どのへんが「なかなか」なのかは個人の感想なので個人差があると思いますが、高さの違う高架橋が、上になったり下になったりしながらひとつになっていくさまはぐっと胸に迫るものがあります。

あと、武蔵野線は開通した1970年代のテイストをいまだに強く感じさせる要素が残っていて、この高架橋の造形や色合いなんかを見ていると、この沿線で過ごした経験がないにも関わらず、幼い頃遊んだ公園の草木の匂いや太陽の暖かさみたいなものが蘇ってくるような、懐かしい気持ちになります。何だろう、ニュータウンっぽいのかな。とにかく、僕の中で武蔵野線は常にセピア色のフィルターがかかっています。


トライアングルの中に突入

ではここからいよいよトライアングルの中に入ってみたいと思います。

とは言っても別段変化はなく、目立つのはゴルフ練習場くらいで、住宅とアパートと空き地が連なるふつうの郊外の町並みでした。トライアングルはおよそ一辺が400メートルくらいなので、建物の間から向こう側の高架橋も見えています。では、北側の分岐に向かうことにします。


すぐ先に反対側の高架が見える 目立つのはゴルフ練習場くらい
ボールが消えた、とかの現象はないだろうか すぐに北側の分岐点に到着

ものの数分でトライアングルの北端につきました。行ったことないけど、たとえばバチカン市国やモナコを歩いたらこんな感じで国境が現れるのでしょうか。


ナイス分岐!
高度経済成長が生んだ芸術作品だと思う
調子に乗ってアップをもういっちょ

かっこいいよ!これすごくかっこいい。高速道路のジャンクションの持つ滑らかな美しさとは対照的な、無骨なかっこよさ。それぞれの上を走るもので例えるなら、まるでスポーツカーと蒸気機関車。いや、余計分かりにくいですね。


シルエットもかっこいい これに沿って東の分岐点に向かいます

最後に東側の分岐点に向かうと、分岐の内側にはスーパー銭湯が建っていて正面からはまったく見えません。しかも工事中のようで、分岐を見ながら浸かれる露天風呂とか作るのかな、と思ったら解体中とのこと。分岐が見えなくなった!などと近隣住民からクレームでもついたんでしょうか(分岐妄想全開)。


分岐の間に居座るスーパー銭湯 跡地は分岐見公園にしよう

どこか分岐が見られる場所はないか、と脇にまわってみると、工事用車両の駐車場がまさに分岐の真下にありました。ぱっと見たところほとんど出入りもなさそうなので、駐車場にいた警備員さんにお願いしたところ、分岐の真下から撮影することができました。それが下の写真です。

分岐マニアの心が分かってくれる警備員さんで良かった。


シンプル分岐・イズ・ベスト!
コンクリート摺り合わせ技術の結晶(適当です)

ここは前の2つと違って金属がほとんど使われていないので、直線的でとてもスッキリした分岐です。これもいいなあ。

個人的にコンクリートのすべすべ感が大好きなので、これはかなりポイント高いです。

さらに先に進んで横から見上げると、厚みと奥行き感のある分岐ワークが見られて大満足。浦和トライアングルは個性的な3つの分岐が間近に見られて(ここが分岐見公園になれば)初心者にもお勧めのスポットだと思います。


横から眺めると厚みと奥行きも感じられる まさに分岐の「中枢」部分

それでは、この先の武蔵浦和駅からふたたび武蔵野線に乗って、常磐線との渡り線がトライアングルを描いている新松戸駅に向かいましょう。


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