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土曜ワイド工場
 
ハズレばかり集める
 


「ハズレ」という言葉のもの悲しさはすごいと思う。

どういう風にすごいのかはうまく言葉に出来ないが、そのたった3文字に潜むガッカリ感と悲しさはとても大きい。それでいてどこか牧歌的でもある。個人的にはどんな詩よりも心揺さぶられる言葉。

だから逆にアタリより魅力的でもある。アタリに比べてすぐ捨てられるという運命。ハレかケでいえばケの方。そういう陰の部分だからこそスポットライトを当ててみたい。

そんなわけでハズレばかり集めようと思います。

小柳 健次郎



はずれクジといえば駄菓子

ハズレばかりを集めるにはとにかくクジを買えば良いんだろう。

と思って探してみたらハズレがない。クジ自体もそんなにあるわけではないし、あっても最近のクジは大抵「空くじなし」と書いてる。つまりハズレがない。

現代においてすごい嫌われてるハズレ。

それでも駄菓子ならさすがに空くじなしはありえないので、今回はハズレのターゲットを駄菓子に絞ることにする。


市内の駄菓子屋を回って大人買いしました。
子供が見たら鼻血でる。(写真の中にはクジ付きでないのもあります)

ハズレ天国

買った駄菓子ほぼハズレで、うっかりアタリが出たらどうしようという心配をよそにしっかりハズレてくれた。ハズレを期待して駄菓子を食べると大抵そうだからうれしい。

今回のハズレクジの中でもっとも多かったのが、普通に「はずれ」と書かれたハズレ。慰めの言葉もなにもなく、ただストイックにはずれたことを伝えてくる。

全体的な傾向としては「ハズレ」より「はずれ」の方が圧倒的に多い。個人的にもひらがなの方が悲しさが牧歌的な感じがして好きだ。


真っ直ぐにハズレ。
余白ありすぎではないだろうか。
陽気なうんちくんグミも冷たく一言だけ。
スキスキグミだってはずれるときは一言。
チュッチュグミの裏に書かれたハズレから子供は女性というのを知るのだと思う(適当)。
せめてもう少しなんか言って欲しいです。
どれもそうだけどパッケージの明るさとの落差が悲しい。
せめてもう少しなんか言って欲しいです。

これもジャック。
会社が同じだとハズレの書体も同じだ

一気にハズレを載せたが、ここで気づくのは「どれも同じようなハズレだ」ということ。

要は「はずれ」のフォントがどれも同じ。

なんの共通点があるんだろうと思って商品をよく見ると、上記の物は全てジャックという会社のものだった。

これは丹生堂商品のハズレ。

他に丹生堂というメーカーのハズレを見ても、やはり商品で同じ書体が使われている。

各メーカーごとに「ハズレ用フォント」というのがあるのかもしれない。だとしたらすごく欲しい。ハズレをタイプしまくりたい。

これも。ポップ。
ポップだけど書いてることは厳しい。

 

その他のはずれとしか書いてないハズレ


角丸長方形で囲ったってハズレは変わらない。
色が薄くて読みづらいのに気遣いを感じます。
あたりつきって書いてあるのに。
よっちゃんも冷たい。
どうせ当たりじゃねぇよ。とヤサぐれるのも仕方ない。
凝った位置にある分、余計虚しさがつのる。

ハズレばかり載せてると本当に悲しくなってくる。

もしかして当たるかも。と思って予備用に同じ商品を2個買っておいてるのだが、2個ともばっちりハズレで嬉しいのか悲しいのか分からない気持ちにもなった。


わざわざファーストゴロとか書かなくていいので。

一言書いてる系

ハズレの中には、単に「はずれ」以外になにか一言添えてくれるものもあった。

ただそれがハズレの悲しみを和らげてくれるなのかといえば、どちらかというと逆効果な感じがするのが多い。

「ざんねんでした」って絶対にやけながら言ってる。
左のとは違うメーカーだけど同じセリフ。はずれの字もなんだか分からないキャラの体内。
ついに外人まで登場。
そうですかとしか言えない。やけに小さいし。

 

ひとつだけ当たっちゃいました。

悲しくてもうれしい、イラスト付きハズレ

ほとんどのハズレは言葉だけで伝えてくる。それでも中にはわざわざイラストを添えてくれる物も。

救いのないハズレの世界でこういった配慮はうれしい。

でもハズレはハズレなので、イラストは悲しいようなものばかり。

どれも見事にハズレを感じさせる絵。だけど雷が直撃した人はアタリだと思う。
ハズレを集めててなんですがすごいうれしい。デザインは当たりの方が割と地味だ。
このパッケージで文字しか書いてなかったら悲しすぎる。
これぞハズレ!という絵で満足。ハズレだから未熟者という概念も斬新。

買った中でハズレのイラストが描いてあるのはこの2種類しかなかった。昔はもっとあったと思ったんだけど。

でもよく考えたらハズレ用にイラストを描くってすごい贅沢なムダだ。ハズレは「無」しか生み出さないのに、その「無」に花を添えてくれる。

思わぬロマンチックなことを書いてしまい照れる。


まずハズレの地位がすごい低い。
よく分からないハズレ

一応ここまで種類別にハズレを載せてきたが、なんといっていいか分かんないハズレもありました。

原材料名の下に隠れちゃってる以外は、種類的には一言「はずれ」と書いてるものに近い。

ただその裏に勝手に外れたことを悔しがったり、励ましたりしてきてよく分からない。

その裏にはこんな言葉が。そこまで悔しくないんだけど。
同じ商品の他のハズレを見てもワケが分かんない。

ハズレでこれだと、アタリは一体どんなことが書いてあるのかとても気になる。ものすごい言葉で祝福してくれるんではないか。


わざとらしい展開ですが、本当に当たり出ました。

で、こんなの。

つい大きな写真で載せるほど衝撃的だった。なんだろうこれ。ハズレよりハズレっぽい。

でも確かにこの絵からは当たっちゃった感じがしないでもない。なにかすごい悪いものに当たってる。


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