呪いがクリスマスになるまで

赤く塗った長靴は、おもてに出して寒風にさらし半日くらいで乾いた。乾いてはみたものの、塗料が垂れているままに乾いてしまい、呪いの雰囲気は健在だ。

この現状を「ノロイ100％」とゲージに表示した。

ここからクリスマスデコレーションで呪いをときたい。デコレーションの段階を経てノロイパワーを減らしていこう。

売られていたお菓子の長靴は、キャラクターのイラストが全面を覆っているものが多かった。そういえば、どこかの国のお土産の木靴とか、靴に絵を書くと「履くもの」じゃなくなるのかもしれない。

お菓子の長靴と実際の靴で一番違ったのが、リーツだ。売られているお菓子のブーツには結構な割合でリーツがくっついていた。実際の靴についてたら邪魔でしょうがない。

赤いペインティングの困った感じは完全に抜け、呪いはとけた……ということでガッテンしていただけますでしょうか。ぜひ、してください。

（ガッテン！　ガッテン！）

さらに入れ物っぽさを高めるために長靴の形自体も手を入れてみた。これ、結構重要であった。

気分よく、お菓子を入れる

長靴がほとんどクリスマスになったところで思い出してみよう。今回の試みは、「普通の長靴に、気分よくお菓子を入れたい」である。

つまり、試みが成功したか否かは「お菓子を気分よく入れられるか」どうかにかかっている。

記事を読んでいる方全員の気分をうかがうことは難しいので民主的に成功しているかどうかははかれないのだが、個人的にはこの長靴に一刻も早くお菓子を入れたい！　という気分になったのだ。

お菓子じゃなくてもいいじゃない

というわけで、用意したのはビールの豆缶（135mlの一番小さいやつ）であった。

そうなのだ。入れ物さえ用意すれば、入れるものは自由であろう。このビールの小さい缶は人生においていつどんなタイミングで買うのだろうと常々思っていたが、今こそ、だ。

右靴用にこのビールを10缶購入。そして、左用にはおつまみの小袋入りナッツを買った。この小袋ナッツ（柿ピーとかおのろけまめ的なものが詰まってる）は私にとって、見るとわくわくする大人のお菓子だ。このお菓子が出てくると「この場は飲んでいい場ですよ」と許されている感じがする。

詰めていくと、思った以上に長靴は容量があった。思った以上にぐんぐん詰まる。長靴にはたくさんお菓子（やビール）が詰まる。人生においてなかなか知りえない情報をまた1つ手に入れた。

無事に詰め終わり、距離を置いて眺める。これはまぎれもないお菓子の長靴だ。ビールの長靴だ。私にクリスマスがやってきた。

感動しながら見つめるが、はて、何か足りないな。なんだろう。なんだろう。なんだろう。

まんぱいになったお菓子をまとめる網。これを置いてお菓子の長靴は語れまい。これで完成だ。

大人になってから、納得のいくクリスマスグッズを用意できたのはこれが初めてかもしれない。メリー・クリスマス！