ざっと見回してみたところ参加者の年齢層は決して低くなく、配布された参加者名簿によると学生はもちろん、省庁関係者をはじめ、建設会社、コンサルタント会社、電力会社などの方々も多く、肩書きも「室長」とか「常務理事」、「理事長」、「主席参事」、「顧問」、「相談役」、「主任研究員」など、いかにも偉そうな方々ばかり約70名。おそらくこの会場に飛行機が墜ちたら日本のダム技術は半世紀くらい戻ってしまうかも知れない、という顔ぶれ(適当です)。
そして自分の目線を下げてみると、よれよれのセーターに薄汚れたジーンズ。実は、講演でスクリーンに映すネタを徹夜で作っていたため、普段スーツを着ない生活をしている僕は何も考えずにいつもの服で出かけてしまったのでした。
ああ、間違いなくこれがKYというやつだ。人前に出る格好じゃない。パネラーに配られた赤いリボンが似合わないことといったら!
たぶんあの瞬間、僕は日本一赤いリボンがふさわしくない人物でした。ただでさえプログラムに書いてある肩書きが「ダムファン」で、「きみは誰なんだ」という空気が会場に充満していて息苦しかったのに。
息苦しさで窒息しそうになりながら、ダム工学会シンポジウム「語りべの会」がスタートしました。
プロの講演を聞いて震える
今回の講演は、ダムのプロ、そしてダムファン、それぞれの視点から見たダムの魅力について語る、という内容。
まずはプロの目として、国土交通省の研究官で、25年以上にわたってダムの仕事をされている川崎さんの講演。川崎さんとは以前、NHK-BSの番組に一緒に出演させていただいたことがある間柄です。テーマは「ダムの用・強・美」で、主にアーチダムの歴史とその美しさの変遷、それを造り上げた技術者の紹介といった、今までに聞いたことのない濃い内容。 |