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はっけんの水曜日
 
クリスマスケーキカタログをながめる会


12月に、新聞にはさまってくる、クリスマスケーキのチラシ。
子供の頃、あれが好きだった。とっておいて、ながめて、ケーキの形にくりぬいて、おママゴトに使ったりした。

白いクリーム。赤いイチゴ。ドキドキする色使い…。

別に甘いものがものすごく好きな訳じゃなかった。「これ買って」とも言わなかった。24日当日は、いきあたりばったりで買ってもらったケーキで済ませていたし、それで不満もなかった。

何故「クリスマスケーキ・カタログ」だけが、こんなに好きなんだろう…。

 

大塚「というわけで、今年は思い切って、近所のコンビニ、新宿・池袋のデパ地下をめぐって、クリスマスケーキ・カタログを集めてみました。
私だけだと『これが萌えー』『こっちのほうが萌えー』で終わってしまうような気がしましたので、コメンテーターに、写真家であり、『間取り図ナイト』でもおなじみの、森岡友樹さんをおむかえしました。どうもよろしくー」
森岡「どうもー。ケーキ見るぞー!」
「トリャー! あ、カタログ作った皆さん、素人の意見ですから、マトモにとらないでくださいねー!」

「あくまで、あくまで私たちの個人的な意見ですからー!」

(text by 大塚 幸代


「むむ、クリスマスケーキねえ…」

コンビニ部門


■ローソン

大塚「…なんとなーくですけど、この写真、古い雰囲気がしませんか? 90年代の『オレンジページ』の表紙っぽいていうか」
森岡「そうですねえ、ファミレスの写真風というかね。旅行のカタログっぽい感じもしますね」
「値段がどーんと入ってるし、『早期割引』『空スイーツ』なんて企画もやってるし。ひょっとして旅行パンフを作ってる会社が作ったのかなあ」
「うーん、どうなんですかねえ」
「写真はどうすか?」
「写真はマットは風合いで、イチゴの色がつぶれてますね…」
「ほんとだ、真っ赤。
ところでパラ見したところ、コンビニはどこもは、ヤマザキの同じケーキを売ってますね」
「黄色いツルンとしたケーキ台に、ピカチュウの目鼻口耳を張り付けて、ピカチュウの顔を作ろう! っていうケーキとかね。これ、ちょっと無理がありますよね」
「福笑いですね。ピカチュウの顔バランス、きちんと作れるお父さんお母さんて、いるんだろうか。難しいはずですよ」
「変な顔になったら、子供泣きますよ」
「あとモンブラン、ショートケーキ、マロンケーキ、チーズケーキの4種が円形にくっついてるケーキとかありますね。割り切ったケーキだなあ、これ」
「まあ便利でしょうけどね、見ててウキウキはしないですね」

 

■ファミリーマート

森岡「ファミマは、クイーン・アリスのオリジナルケーキ出してるんですね」
大塚「クイーン・アリスのケーキのページだけ、他のページより可愛いですね。ケーキの形の問題か? 小物使いかな。何でだろ」
「他のページも、スタイリストさんは同じっぽいですけどねえ」
「あのー、こういうカタログでも、デジカメで撮ってるもんなんですか?」
「今は撮影時にデザイナーが同行して、デジカメで撮っちゃって、確認しながらすすめてるってケースが多いんじゃないですかね。そのほうが早く進行出来るし」
「そうなのかあ。
あとファミマは、オリジナルのアイスケーキも売ってますね。いちごがゴロゴロ乗ってて、結構美味しそうです」

 

■セブンイレブン

森岡「紙質悪いですねえ」
大塚「紙質、悪いかなあ…。しかし『素敵な奥さん』みたいなデザインですね、ママ向け。基本、家族に、『こういうの買って、こういうふうに過ごしたらいいんじゃないですか?』ってプレゼンする、という形ですね。
ケーキの写真自体は、食欲をそそる感じがしないですねえ」
「あっさりした写真ですね」
「あとヤマザキのピカチュウの顔、やっぱり微妙にローソンのと違います」
「ピカチュウケーキ、大丈夫かなあ…」
「子供たち、トラウマにならないといいですねえ」

 

■サンクス

森岡「写真が『ブルータス』っぽいですね。お取り寄せ特集みたい」
大塚「ケーキを真上から撮るっていうのは、マガジンハウスで数年前から流行ってる方法ですよね」
「カタログとしては嬉しいけど、食べたいとは思わないというか。所有欲を刺激するんですよね、カタログ自体を所有してしまえば満足、という感じ」
「うーん、切り抜いておままごとに使うには最適なんですけどねえ」
「今時っぽい写真に見えて、もう流行遅れかもしれませんよ、これ
あとここのケーキ、クリームのくりんくりんした角度がキモチ悪い…」
「確かに写真で見ると気持ち悪い、実物はどうだか分からないけど」

 

■ampm

大塚「これ、表紙いいですよね。キラキラしたイメージ写真で」
森岡「紙も変わってますよ。日本にはないパリッとした変わった質感で、面白い。デザインも写真も、センスが日本離れしてますよ」
「ampm自体は、庶民的なのになあ。電子マネーで買うと300円引きとか、『午後の紅茶』をオマケでプレゼントとか、そんなこと細かく書いてあるし。でも確かに、変わった紙ですねこれ」
「さわりすぎるとヨレヨレになる紙です」
「紙と印刷の相性がいいのかなあ。ケーキ写真も美味しそう。『ドウーブルフロマージュ』っていうチーズケーキのなんか、白と黄色の間ほホワーっとした色で、たまらんです」

 

デパ地下総合カタログ部門

(さまざまなブランドのケーキを、デパートがまとめて冊子にしたもの)


■新宿伊勢丹

森岡「伊勢丹、さすがにスカしてるなー。ケーキ写真の横に、パティシエの直筆メッセージが入ってる…。フランス語とかで」
大塚「フランス語って、何書いてもサマになりますねえ。日本人の日本語メッセージはないんですか?」
「ありました。『心を込めて作りました。ステキな、クリスマスの夜をお過ごし下さい』…。フツーのコメントだ」
「どれも超カッコイイ写真で超カッコイイケーキですけど…なんかマカロンを使ったケーキだけ、無理がありません?」
「ケーキ全面にぺたぺたとマカロン貼ってあるやつとか、見た目、気持ち悪いですね。
しかしよく出来てるよなあ。セレブ人気の残り香がありつつも、今年の雰囲気で、でもすぐ劣化しそうな感じもしない。
貴金属のカタログに似てますよね。写真もいいです、興味をそそられます。デザインも凝ってる」
「誉め誉めですね」
「うーん、難点を言うとしたら、ケーキが高い」
「3万円のケーキとか、平気でありますからね。これ誰が買うんですかね?」
「盛り上がってるカップルか、お金持ちのパーティか、どっちかですかねえ?」

 

■新宿高島屋

森岡「ケーキもいいし、シェフの顔写真があるところもいいのにねえ。なんというか、クドイ。最初から最後まで一本調子」
大塚「そうですね、緩急がない。雑誌でいえば、最初グラビアがあって、巻頭特集があって、コラムやマンガがはさまって、っていうのがあるんですけど、そういうのがナイですね」
「全部高級そうに撮れてるんですけどねえ。メイン料理が続くような辛さがありますねえ」
「写真は美味しそうですよ。あ、でもなぜかドンペンに酷似したものが1匹、いますけど」


ドンペンさん!?

「どれどれ…あ、本当だ。あとマカロンをソリに乗せてるのとかも、変ですね」
「マカロンの使い方は、皆、悩みどころなんでしょうね」

 

■新宿三越

大塚「表紙が緑色のケーキ、っていうところがちょっと冒険してますよね」
森岡「ですかねえ。あとサンタのバリエが多いですね。でもこれ、5個限定販売、とかそんなんばっかりですよ。販売数少ないなあ。
……あ、あとこれ影が合成だ」
「影ないと駄目なもんなんですかね?」
「写真がしまらないんですよね」
「むーん。三越らしいパッケージなんだけど。伊勢丹と比べると…って感じですかねえ」

 

■池袋西武

森岡「アンディー・ウォーホル作品を引用したケーキが表紙ですよ。なぜにウォーホル。ウォーホルファンってどこにいるのかな?」
大塚「少年隊のヒガシとBATHING APEのNIGOがウォーホルファンですよ、コネタ情報」
「まあそれはともかく…ampmと同じ、アメリカ的なアプローチですね、紙質とかね。
ケーキもバリエーションがあって楽し気ですよ」
「お値段もまあ、最高に高くても1万円はしないし」
「カップルから家庭までフォローしてて、美味しそうだし無理もない」
「池袋西武としては正しいのではないでしょうか」
「新宿高野が出してる『おかいものくまさん』が可愛いですねえ」
「西武向けオリジナルなのかな?」


くまさん!

 

■池袋東武

森岡「……何でしょうねえ、『この子、もっと可愛い服を着れば、輝けるのに!』みたいな残念さは」
大塚「うーん、東武ですからねえ」
「情報詰め過ぎですね。もったいない、ケーキはいいのに…」
「ケーキは、かっこいいし可愛いですよね。キャプションも頑張ってますよ。ちゃんとしてる」
「写真は、もっと光量があるほうが個人的には好きですね。ところでこれ、なんでこんなにサイズ小さいんですかね?」
「A5版ですね。あのー、想像なんですけど、東武東上線は遠距離通勤者が多いから、コンパクトなほうが便利だから、だと思いますよ。私が埼玉に住んでた時、実際そうだったので」
「なるほどねえ。…そうなのか?」

 

店舗別部門


■不二家

森岡「ペコちゃんの顔って、あらためて見るとすごいですね。イッてますよ」
大塚「確かに、可愛いとかじゃないですね…。でもイラストによっては、目鼻の比率を微妙に変えて、可愛くしてますね」
「しかしやたら情報量多いなー。目が痛い」
「こういうチラシ、私は嫌いじゃないですけどね。見てるだけで時間がつぶせますよ」
「楽しいですけどね。
あ、アンパンマンのケーキ、ラッピングしてる紙もアンパンマン柄なんですね」
「こういう細かい技術、なにげに発展してるんですねえ」

 

■コージーコーナー

森岡「……サンタさんの目がイッてる!」
大塚「イってるかなあ。口がニッコリしてるのに目が見開いてる、っていうのがいけないのかなあ」


イチゴに囲まれて、ハイになってるサンタ?

「目がニコニコしてるサンタもいますけどね。こいつも多幸感にあふれてますね」
「幸せそうなぶんには、かまわないのでは…。で、これ、写真的にはどうですかね」
「不二家よりライティングに気をつけてますね。でもそのくらいかな」

 

■ヤマザキ

大塚「ヤマザキです」
森岡「…ケーキの写真が見切れてますね。全体像がうつってない」
「イメージ写真にするならするで、思いっきり寄ったりすればいいのに、やたら中途半端ですね」
「あと、イチゴの発色が真っ赤ですね。そしてバックのピンクのグラデーションが、なんか下品…」
「下品は言い過ぎかもしれないけど、なぜこの色にしたの? と問いつめたい感じしますね。あと情報としては、『4〜6人様向け』とかカッチリ書いてあって、さすがヤマザキと思いました。カロリーオフのケーキなんてのもあるし」
「クリスマスのケーキくらい、カロリー気にしなくてもいいのに…」

 

■神戸屋

森岡「イメージ写真として、子供がうつってますね。こういうパターン、はじめてですね」
大塚「可愛い…かなあ。まあ家族向けです、という意味ですよね、これ」
「しかしこれはカタログというより注文書って感じですね」
「スーパーによく置いてあるやつですからね。これはこれで」

 

■全日食チェーン

森岡「…この写真、ケーキに厚みを感じますね、今回の中で、いちばん厚いんじゃないですかね」
大塚「あと、生クリームの立ちっぷりが変ですね。スーッとしてて作り物みたい」
「ライティングが適当ですね」
「ケーキに並んでサラダが載ってるんですけど、ピントが合ってない、っていうか画質が明らかに低いです。何でだろコレ」
「他はカメラマンが撮ってるのに、これだけデジカメでえいやって撮ったっぽいですね。なぜに?」


カタログ、いっぱい貰ってきたので、もっと見るわよ!!!! >
 

 
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