のめりこんだり突き放して見たりと様々な距離感で
餌に寄ろうか、いや罠か、と鴨たちが繰り返す。「徐々に天候が悪くなってきたことにお気づきかもしれませんが、猟師、鴨、お客さん、それぞれの根競べになっているので我慢して見てください。」司会の方が言うが、実際の鴨猟はもっと根競べなのだろう。
いっそのこと、この根競べがいつまでも続けばいい。そうすれば鴨たちは…と書いてみて、そんなことを微塵も思わなかったのによく書けるなと自分でも思う。
「カメラをお持ちの方、いよいよシャッターチャンスがやってきました。5、4、3…」司会の方がカウントダウンを始める。それは鴨たちの最期のカウントダウンでもあった。 |