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ちしきの金曜日
 
電車に乗って元気を出す

 

  最近どうも元気が出ない。 行動意欲が低いというか、やる気物質が沸いてこないというか…。

  なので、とりあえず電車に乗って出かけることにした。どうしても行かなければならないほどの用はないけど、何かのついでに見に行こうと思っていたものでも見に行こうかと。

 電車に揺られながらアイデアを練ったら、名案を思いついて元気になるかもしれない。そんなゆるいノリで旅立ったのだが…。 

T・斎藤



鉄分と景気

 鉄道ファンの人は「鉄分補給」などと称して定期的に鉄道に乗らないと調子が悪くなるそうだ。が、さいわい私はそこまで鉄分が不足してる身体ではない。お湯を沸かす時はいつも南部鉄瓶を使ってるし(お湯に鉄分が溶け出す)、先月は長野新幹線とつくばエクスプレスと常磐線グリーン車に乗った。

 …が、最近いまいち元気が出ないのだ。
 原因はたぶん世の中が不景気だからだ。い、いや違う。マクロ経済は関係ない。元気が出ないのはたぶん寝不足が続いてるとか風邪気味だったとかしばらく飲みに行ってないとか、そういう細かい要素がブレンドされた結果だと思う。そしてそれらを吹き飛ばすような面白いことを思いつかないのが原因ではないかと。まぁ、景気も多少は関係してるかもしれないけど。

 というわけで、長崎発の特急「かもめ」に乗って博多方面へと出発した。電車に揺られながら、荒れ狂う世界情勢の中でこれから自分はどのように振舞うべきか、ゆっくり考えようと思った。

また銀のかもめ(783系)だ。

人生は危険と隣り合わせ

 かもめには2001年に作られた「白いかもめ」と、1988年に作られた銀色のかもめとがあるが、私が乗る時はなぜか銀が多い。白いかもめの方が1.5倍ほど本数が多いはずなのに。

 銀の方は「ハイパーサルーン」というかっこいい名前がついてるが、デザイン的にもスピード的にも白いかもめにやや劣る。とはいえ、銀のかもめも嫌いではない。銀の方は窓が大きくて眺めがいいし、遅い分揺れが少なくて、私はけっこう好きだ。別に急いでいるわけでもないし。

 特に先頭車両は展望車になっていて、最前列からの眺めはすこぶるいい。が、今回は最前列には先客がいた。若い女性が2人、右端の席と左端の席にそれぞれ一人ずつ座っていた。隣は空いていたので座らせてもらおうかとも一瞬考えたが、車内はガラガラなのに突然私が隣に座ってきたら最前列に座ったことを後悔されるに違いない、と思ってそれはやめておいた。

 諫早駅に着いた時、ズボンのチャック(社会の窓)が全開だったことに気づいた。さっきうかつに隣に座ってたら通報されてたかもしれない。人生は危険がいっぱいだ。

風光明媚な車窓からの眺め

 長崎を出るとまもなく、トンネルを出たり入ったり繰り返す。トンネルを抜け、山深い景色が広がったかと思うとまたトンネル。それを何度か繰り返すと今度は海に出て、海岸沿いの曲がりくねった線路を走る。

 長崎本線のこのあたりの風情は素晴らしい。がしかし、建設中の長崎新幹線が開通すると、この素晴らしい海岸線沿いの線路も通らなくなる。そうなるとやっぱり寂れていくんだろうか…?

 それはちょっと寂しい限りだが、しかし新幹線ができることそのものには大賛成だ。早く作ってほしい。

 

小長井駅からの眺め

やっぱり陸橋が気になる

 車内販売が待ち遠しい。
 メニューを見て、もう何を頼むかは決めた。コーヒーとバタどらがセットになったコーヒーセットを頼もうと思う。

 かもめレディ(という名前ではないかも)が来るのを待ちながら車窓を眺めていたら、やはりまた線路の上に架かる陸橋が気になりはじめた。

 前に「長崎本線に架かる陸橋が気になる」という記事を書いて、だいぶスッキリしたつもりだったが、改めて見るとまだまだ気になる陸橋がいっぱいある。端から端まで全部行ってみないとスッキリしないのかもしれない。

 陸橋は、電車の車窓から見て「あ、この橋いい!」と思っても、後で再訪できるよう場所をメモするのが難しい。何時何分頃見えたとか、○○という看板が近くに見えたとか、そんな曖昧なメモ書きしか残せない。後日車で探しに行くのはちょっとした宝探しみたいな感じになる。

 今度、長崎本線にかかる陸橋のサイト作ろう!
と、思った。あまりにも対象が狭すぎて誰のために作るのかまるでわからないけど。


コーヒーとバタどらのセット
 そんなこんなを考えているうちに、車内販売がやって来て、麗しいかもめレデイからコーヒーセットを購入。いや、麗しいかどうかは顔をよく見てないのでわからない。が、パリッとした制服を着た女性からサービスされるとなんとなくそんな印象を抱く。

 で、このバタどらが予想外にとてもうまかったのだ。

バタどらうめー。
 四角いバターがゴロンとまるごと入っているのが気に入った。そうだ、新幹線が開通した後こっちの路線には、バタどらとコーヒーのセットを楽しみながら陸橋と有明海を鑑賞する観光列車を走らせたらいいよ!
なんか元気になってきたぞ。

カップのさわり心地がいい

 それと、前々から思っていたことだが、かもめの車内販売でくれるコーヒーカップのさわり心地がよく、ついグリグリと触りまくってグリップのよさを確かめてしまう。


このグリップが大好き
 と言っても写真ではわかりにくいと思うので、アップでも撮ってみたのだが
アップで見てもわからないよね。
 裏には「SONIC」と書いてあり、日豊本線を走る特急ソニックでも同じカップが使われている。

 …とここまで書いてみて思い出したが、飛行機の機内でくれるのもこの手触りのカップだったな。。要するに乗り物でくれる紙コップが好きです。

 


赤いみどりとキツネのたぬき

 肥前鹿島から先は平地が続き、退屈な眺めとなる。

前から2番目の席から見た眺め。肥前鹿島より先はひたすら平坦で退屈。
でも橋を渡る時は面白い。
途中接続したみどりを眺めながら

 肥前山口駅にて、佐世保線からやって来た特急「みどり」と接続。そこからしばらくはみどりを眺めながら進む。

 みどりは昔、赤かったらしい。みどりが赤いって何言ってるんだって感じだが。今はみどりは緑だ。

鳥栖駅にて下車
 長崎駅から97分。鳥栖駅でちょっと見たかったものがあり、ここで降りた。

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