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ロマンの木曜日
 
ボールペンに翼をつけて飛ばしたい

飛びたいよな、な!?

 先が尖ってて、断面が丸くて、そして細長いボールペンのフォルム。これって飛行機の胴体みたいだと思いませんか?

いや、見れば見るほど飛行機の胴体そのものだと言ってもいいでしょう。

ボールペンだって、こんな形に生まれたからにはノートの上を走る日常から脱して、たまには翼をつけて空気を切り裂き、大空に舞い上がってみたいと思うこともあると思います。

というわけで、文房具の気持ちを勝手に妄想し、お節介にも飛行機に変身させて、飛ばしてあげることにしました。

萩原 雅紀



材料の特性よりリアリティ重視

手軽に作れる飛行機といえば、紙飛行機や割りばし飛行機がポピュラーですよね。加工が容易な紙、軽量で強度のある割りばしと、どちらも材質的には飛行機作りに適しているように思います。

でも、リアリティという点で実際の飛行機と比べてみると、紙飛行機はあまりに非現実的だし、割りばしだって「細い棒状」という共通点以外は、よく見れば飛行機の胴体とは似ても似つかないものです。


こんな飛行機実際にはない(B-2爆撃機みたいだけど) 菜箸に使ってたのでいろんな味が染みてるし…
JAFホームページ内の「キッズ工房」のもの)

そこでボールペンの登場。空気抵抗の良さそうな尖った先端、円筒形の断面、細長いボディ、どれをとっても飛行機の胴体にピッタリです。試しに適当に羽を作って装着してみたところ、もはや本物と見まがうほどの外観。これ、このまま問題なく飛んでしまうんじゃないでしょうか。


これは飛行機っぽい! 理論はともかく見た目で十分飛びそう

というわけで、さっそく外に飛ばしに行きました。


河原で初飛行

自宅近くの河原で、ボールペン飛行機の初飛行に挑戦です。平日の昼下がりということもあって、幸い人もほとんどいません。ときどき目の前の橋を貨物列車が通るので、もしまったく飛ばなくても「貨物列車がかっこいい」という企画に変更も可能です。


絶好の飛行機日和 あ!かっこいい機関車!

ではさっそく、ボールペン飛行機の試作1号機を取り出し、この大空に舞い上がってもらいましょう!どうやら、ここに来るまでにどこかで尾翼を落としたようですが、もともと主翼の形にはこだわった割に尾翼は適当に作ったものなので、気にせずこのまま飛ばしてみます。


いつのまにか尾翼がなくなった 主翼の形はちゃんと調べて作ったので飛ぶはず
行け、我が想いよ! 黄金の翼に乗ってー!

おうごんのつば…

僕の手を離れた1号機はいきなり傾き、空気を切り裂いて上昇するどころか裏返って真っ逆さまになり、なす術もなく墜落。

たまたま風が強すぎたとか、いろんな理由をつけて何度か飛ばしてみたものの、まったく飛ぶ気配すらありません。

おかしい。翼の下面を平らにして上面に丸みを帯びさせることによって上面を流れる気流を速くし、ベルヌーイの定理がどーたらこーたらして揚力が発生するはずなのに。そうして風を受ければどんどん上昇して、ボールペンを空高く舞い上げるはずなのに(適当です)。

やっぱり尾翼がなくなったのが影響しているのでしょうか。確かにこれで飛んでしまったら、世界中で飛んでいる飛行機の尾翼の存在意義を奪ってしまうところでした。

いちから出直しです。いったん家に戻りました。


お手本の理論に則る

見た目とフィーリングでここまで突っ走りましたが、1号機の惨状を見るに限界を感じたため、お手本として、組み立てが簡単でよく飛ぶという飛行機のおもちゃを買ってきました。

これを作って、この飛行機の理論をボールペンに当てはめ、オリジナリティも加えながら(それがいけないんだろうけど、面白くないから)設計し直してみます。

そういえば1号機の尾翼は玄関に落ちていました。


とぶとぶプレーン はさみも糊も使わずに3分で組み立て完了
飛行機の理論を徹底的に調べて そうしてでき上がった試作2号機

1号機との主な違いは、主翼を薄くしたことと、主翼を機体の重心付近に取りつけたこと。1号機墜落の原因は、恐らく主翼が風を受けすぎて失速したせいと思われるので、これを薄くすることによって前からの空気抵抗を低減。そして翼を重心に持ってくることで前後方向のバランスを取ろうという狙いです。


試験飛行リベンジ

ふたたび河原にやってくると、試行錯誤する僕をあざ笑うかのように、上空にはジェット機が飛んでいました。悔しいけど千里の道も一歩から。まずは先ほど買ってきた「とぶとぶプレーン」を飛ばしてみます。


だいぶ日も傾いてきました 待ってろ、すぐ追いついてやるからな!

高く上がりすぎて声が出てしまった

とぶとぶプレーンはさすがプロが設計しただけあって、その名の通りよく飛びました。動画では風にあおられてすぐ落ちてしまいましたが、うまく風に乗ると気持ち良さそうに遠くまで飛んで行ってしまいました。回収が大変でした。

では、続いていよいよボールペン飛行機の2号機を飛ばしてみます。果たして改良は実を結ぶのか、そして尾翼はついているのか!


尾翼も今度はしっかり接着 微調整ができるようにフラップもつけた

飛んだ!

空中に投げ出されたボールペン飛行機は、薄くなった翼でうまく風を捉え、十数メートル先まで滑空して行きました。だいぶ右に流れてしまいましたが、まったく風と仲良くなれなかった1号機を考えれば、改良が見事に生かされた結果と言えるでしょう。

そしてこの瞬間、おそらく世界で初めてボールペンが飛行機になった映像が記録されました!


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