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ひらめきの月曜日
 
旅の入り口部分だけを楽しむ

そして出発の朝

羽田7時40分発、スカイマーク705便がぼくの乗る飛行機だ。自宅から羽田までは1時間30分くらいかかる。搭乗手続きなども考ると1時間前には空港に着いておきたいので、始発に乗れるようにと早起きした。


暗い、そして眠い

フライト時刻から余裕をもって、羽田空港に到着した

まずはエア搭乗便チェック
エア搭乗予約

空港に来るとテンションが上がる。たぶん空港には目的地を目指す人の前向きなパワーが発散しているからだと思う。そしてぼくもそんな人たちの中のひとりだ。目的の便を確認し、搭乗手続きを済ませる。心の中で。

余裕をもって家を出たおかげで、フライトまでにはまだ少し時間があるようだ。なので空港の喫茶店でスケジュールの確認をしようと思う。持ってきたガイドブックを読み返しながら、遠い北の大地に思いを馳せるのもいいだろう。予約が必要なスポットにはこの時点で忘れずに電話しておくのが望ましい。

美しい風景の中でハーレーを駆る自分を想像する。浮かれてスピードを出しすぎてしまうかもしれないので、事故にだけは気をつけていきたい。


ガイドブック、ガン見
そしてエア予約

ハーレーにまたがるのはひさしぶりだ。興奮してきた

おっと、そうこうしている間に、搭乗案内のアナウンスが流れている。そろそろ搭乗ゲートに向かわねば、乗り過ごしてしまう。乗り過ごして北海道に行けませんでした、なんて赤っ恥をかくところであったよ。フフフ、はしゃいでいるな、おれ。

もう間もなく搭乗は締め切られる

・・・でも、乗らない

 

乗らない

そう、乗らないのだ。
なぜならこれはぼくが頭の中だけで考えた架空の旅行だから。実際には飛行機のチケットも持っていないし、現地での予約も何ひとつしていない。ついでに言うと大型自動二輪の免許も持っていない。飛行機は無情にもぼくひとりを残してすでにテイクオフしたことだろう。

こうして旅の入り口部分だけを楽しむ、という今回の試みは達成された。・・・なんというか、満足感はそれなりにある。「すかしたった!」みたいな裏切り方が気持ちいい。すかされたのは他ならぬ自分なのだが。

同時に、何となくもやっとした感じが残ることも事実。フライトを待つ男女の旅行グループはキャッキャと楽しげだ。それを眺める自分にふとむなしさがよぎる。彼らはたぶん本当に北海道に行く人たちなのだろう。ああ・・・

これ以上ここにいては、せっかくの思い出がだいなしになる。移動しよう。


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