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ロマンの木曜日
 
口の中があったかくなる食べ物選手権

やっぱりあったかいちんすこう

ちんすこうをはじめて食べたのは、たぶん20歳を過ぎてからだったと思います。
ちんすこうは20歳を過ぎてから。
なんとなく繰り返してしまいましたが、そうしたくなる要素がありますね、ちんすこうというお菓子には。
ともかく、はじめて食べたときに、自分の中に新たな「口の中があったかくなる食べ物」が加わったなと感じたのをよく覚えています。
ちなみにその前に加わったのが、函館の有名なお土産「トラピストクッキー」でした。
ひょっとすると日本各地にこのような、「口の中があったかくなる」名物お菓子が存在するのかもしれません。


ちんすこうをいただきます

久しぶりに食べたちんすこうは、やっぱりあったかいです。
口の中の水分がちんすこうに染みていくと同時にやわらかいあったかさが口の中に広がります。
この「口の中があったかくなる」経験をするたびに、なんでなんだろうと思うのですが、いまだにその原因は知りません。
不思議だなと思ったまま現在に至ります。


じわーっとあったかい
33度。上昇しました


あったかくなった

ちんすこうを食べたあと、すぐに温度を測ってみたところ、33度と、食べる前より2度ほど上昇していました。
やはり気のせいではなくて、ほんとうにあったかくなっているんでしょうか。


つづいてタマゴボーロ
このあったかさは懐かしい

なつかしいあったかさのタマゴボーロ

いちど31度に暖めた水で口の中をすすぎ、つぎはタマゴボーロを食べてみました。
なんとあったかいのでしょう、タマゴボーロは。
ちんすこうよりも軽い食感のタマゴボーロは、サクッとしているのに口の中ではじんわりとあったかくて、なんとも懐かしい気分になります。
そして、温度を計測してみた結果、タマゴボーロも温度が上昇しています。


こちらも33度

マリービスケットもなつかしい

続けざまに口内温度が上昇するという結果にとても気分をよくしました。
いつも実験は失敗しがちですが、こういうのは気持ちがいいです。
いい調子のうちに、マリービスケットも食べてみましょう。


気分がよくてにやけてしまいました
かなりあったかいです
そして35度!

大幅上昇!

マリービスケットは、かなりあったかかったです。
口の中全体があったかさに包まれました。
ただ、タマゴボーロのほうがキュッとしまったあったかさだったのに対し、マリーは広くあまねくというかんじです。
しかし、マリーは僕の口内温度を35度までたかめてくれました。
すごいです、マリーは。


ねりごまもあったかいらしいです

そしてねりごま

口の中があったかくなる食べ物の話を友人としていたとき、「ねりごまも口の中があったかくなる」という話を聞きました。
僕ははじめて聞く話なので、新しい口の中があったかくなる食べ物のとの出会いだと期待しました。


ねりごままずい
あじゃあー

生まれて初めてねりごまをそのまま直接たべましたが、たしかにあったかいです。しかもかなり。
舌の上全体がにわーっとあったかくなる感じです。
そして、さらにいうと、まずいです。
これは衝撃といってもいいでしょう、濃いごまの風味と油分が、口の粘膜をふさぐようにまとわりついて、とてもまずいのです。
しゃぶしゃぶのごまだれはあんなにおいしいのに、担々麺はあんなにおいしいのに、なぜねりごまだけだとこんなになっちまうんでしょうか。
ねりごまも口の温度が上がりましたが、あったかくなる食べ物は全部おいしいと思っていた僕をあざ笑うかのような後味の悪さも残りました。


温度は上がるがまずい

きなこもきっと

ここまでで、基本的には唾液を吸い取る食べ物に口の中をあったかくする作用があるような傾向があるような気がするようなので、きな粉も食べるとあったかくなるんじゃないかと思い、試しました。

小分けタイプで便利です

うぐいす色でおいしそうなきな粉

きなこもまずい

間違えて、大量のきな粉を口に含んでしまいました。
豆臭ぇ、豆臭ぇ、豆臭ぇ。
砂糖を入れないきな粉は粉っぽくて(当たり前だけど)豆の青臭さが勝って、非常においしくないです。
すぐに温度を測りましたが、口を開けるのすら苦痛です。


がふっ
へふっ
温度はちょっと上がりました

水を飲むとうまい

ひどい味のきな粉でした。
たまらず温度を測ってすぐに水を飲みました。
するとどうでしょう、水を飲んだ瞬間に、口の中がお菓子の「きな粉ねじり」の味にかわりました。
うまいのですよ。
砂糖がないのにほんのりした甘みも感じました。
なんだこりゃ。
意図せぬ発見です。


おお、うまくなった

あったかくなりますよ

先ほども話に出ましたが、編集部の石川さんはタマゴボーロを食べて口の中かあったかくなった経験がないといいます。
今日の実験の一部始終を見ていた石川さんは、実際に温度が上昇する様子を見て、「僕もやってみていいですか?」と試食を申し出ました。


あったかくなるんですか?

あったかいらしい

タマゴボーロのあったかさを「よくわかんないです」と言っていた石川さんですが、食べた瞬間表情がゆるみました。
「お、あったかいですね。」
ほらね。
きっと、いままで気づいていなかっただけなのでしょう。
石川さんのこれからの人生に「あったかさ」という幸せがひとつ加わった瞬間です。


お、あったかいです
あー、あったかい
マリーもあったかいですよ

冷静な分析

石川さんの口内温度もマリーが一番上昇しました。
でもそれに関して石川さんは、
「マリーが一番量が多いからじゃないでしょうか」
と分析しました。
たしかにそうかもしれません。
僕も感覚的にはタマゴボーロが一番あったかくなったように思います。


そしてねりごまはまずい

参考までにとうがらし

ひととおり口の中があったかくなる食べ物を試しました。
ここで参考までに、ちがうベクトルの口の中のあったかさ代表であるとうがらしを食べて、どのくらい口内温度が上昇するのか試してみましょう。


この時点で手が熱い感じ

辛いんですけど
そんなに温度は上がりませんでした

そんなに温度は上がらない

とうがらしは辛い。
舌がピリピリします。
けれども、口内温度はそれほど上昇していません。
マリーの方がよっぽど高いです。
ピリッとした辛さよりも、マリーのやわらかさの方が温度が上がる。
まるで北風と太陽みたいないい話です。


微妙ですが、タマゴボーロです

「選手権」と書いてしまった手前、順位付けをしなければ行けません。
温度が一番上がったのはマリーですが、タマゴボーロのあったかさはより心地よいものでした。
幸せを感じるあったかさです。
なので、今回のあったかさ選手権チャンピオンは、タマゴボーロとしましょう。

ところで、どうして口の中があったかくなるんでしょうか。
率直にいうと、そう感じるだけで、ほんとうは温度なんて上がらないと思っていただけに、謎は深まりました。
僕の想像では、乾燥剤が水を吸うと発熱する原理か、気化熱の関係か、あるいは実験が間違えていて実際には温度は上がっていないかのどれかだろうと考えています。

水を飲もうとしたらビシャッとなって慌てる石川さん


 
 
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