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ひらめきの月曜日
 

ちょっとエッチなすごい奴・久米仙人まつり

 

 「仙人」という言葉を辞書で引くと、「不老不死の術を修め、神通力を得た者」とある。また、そこから派生した意味として「世俗的な常識にとらわれない、無欲な人」ともある。

確かにそうだ。異議はないのだが、奈良県にある久米寺という寺に祀られている「久米仙人」はちょっと違う。すごいんだけど、全然無欲ではないのだ。

仙人らしく空を飛ぶまではいいのだが、女性の足に見とれて落っこちて、神通力を失ってしまったという久米仙人。わかる、わかるよその気持ち。個人的にも電柱にぶつかったことがある。

すごいんだけど、シンパシーも感じる。そんな久米仙人のお祭りがあると聞いて、久米寺まで行ってきました。

小野法師丸


スケベ仙人に親近感覚えて

そういうわけでやってきた、奈良県橿原市にある久米寺。最寄り駅は近鉄の橿原神宮前駅という駅。橿原神宮は大変に立派な神社であるそうだが、今回そちらはスルーして、久米仙人の待つ久米寺に直行した。

数分歩くと見えてきた。おお、結構立派なお寺だぞ。

 

気合い入ってます その立派さに無口になる

 

 エッチな仙人を祀っているからといって、全くふざけたところはなく、ばっちりと真っ当なお寺だ。「真言宗根本道場」ともあり、字面を見ただけでも厳かな気持ちにさせられる。

さて、ここに久米仙人が祀られているはずなのだが…。

 

あなたが久米仙人さまですか

 

おお、あったあった。本堂とは別に、久米仙人をお祀りするお社があるではないか。

社の中に「久米仙人像」と彫られた碑があるのがわかるだろう。ただ、なぜだか仙人は屋根の上に立っているのだ。雨や雪にさらされてしまうことになるが、場所的にはこれでいいのだろうか。

まあ仙人のすごさからすれば、そんなことはどうでもいいのかもしれない。もう少しアップで仙人像を見てみよう。

 

女性に見とれて空から落ちて来た久米仙人 それっぽい顔してんなー

女性の足に見とれて落ちてきたという伝説の仙人だが、像のお顔もその話と実によくつながる風貌だと思う。ここでもシンパシーが発動だ。

冒頭で久米仙人の伝説は簡単に紹介したが、「今昔物語集」や「徒然草」にも登場するというその話について、詳しく紹介してみよう。

* * *

奈良県・吉野にあったという龍門寺で修行をしていた久米という青年がおりました。とても厳しい修行を重ね、ついには仙術を身につけて見事仙人となりました。そんなある日、飛行の術で空を飛んでいると…。

 

目に入ったのは川で洗濯する若い娘の姿。裾をめくって着物を洗うそのふくらはぎに、ついつい目を奪われた久米仙人。いやしい心がよぎった瞬間、修行で得た神通力は力を失い、川に落下してしまいました。

 

そういうわけで、普通の人間に戻った久米仙人。見とれた娘と結婚し、仲良く暮らしておりました。そしてその折、新しく都を作る工事があり、久米仙人も人夫として働きに出ていました。

 

一緒に働く仕事仲間にも元仙人だということは伝わっていたらしく、「あいつが仙人のままでいたらなあ。仙術があればこんな仕事も簡単なのに」という声も聞かれたとのこと。

 

そんな話を耳にした役人から、仙術で材木を飛ばして運んでほしいと持ちかけられました。その言葉に一念発起した久米仙人、再び七日間のつらい修行を成し遂げました。

 

その結果、仙術を取り戻し復活した久米仙人。仙術を使うと、都を作るための材木は山から空へと次々に飛び上がり、見事に新しい都の場所へと運びきりました。

 

この話を聞いて喜んだ時の天皇から、恩賞として田を与えられました。その場所に立てたのがこの久米寺。その後も中風よけの箸を考案し、みんなに配るなどして活躍したそうです。

* * *

…というのが久米仙人の伝説だ。スケベ心で失敗するあたりで親近感を覚えつつも、しっかり復活して偉い人になってるところがすごい。人間こうありたい、とさえ思わされる。


仙人まつり開催中

そんな久米仙人をたたえるお祭りが、例年10月16日から22日にかけて久米寺で行われる。その期間中の日曜日には、「久米仙人おどり」なるものも披露されるとのこと。

今回はその日曜日を狙って訪問。その踊りの実態に迫ってみたい。

 

 
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