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ひらめきの月曜日
 
包んだり包まれたりする赤飯と饅頭
商工課の宮澤さん。突然のおしかけに丁寧に対応してくださいました。なんとデイリー読者ということも発覚。おおー

こちら、鴻巣駅近くの木村屋さん。普通に「いがまんじゅう」と

鴻巣市役所?

と、次の赤飯まんじゅう を目指して桶川に向かうはずだったのだが、なぜか私は鴻巣市役所にいた。市役所?

というのも、地元の方のお話が興味深かったのでもう少し何か情報はないかと思いはじめたのだ。そういえば いがまんじゅうの歴史的なことなんかはお店の方も「昔から作ってるものだからねえ」とのお返事で詳しくは分かっていない。それなら市役所の商工課でしょう、といったのは前ページのマキノさんで、駅に向かう車を市役所に向けてくれた。

「農家で作業の盛んな時期だとかお祭りのときによく作っていたようですよね。そもそもは、お土産にするのに重箱につめたまんじゅうと赤飯が一緒になっちゃってそれが美味しくて広まったという話を聞いたことがあります」

とは商工課の宮澤さん。なんだか画が見えてくるいわれだ。「あらー、お赤飯とおまんじゅうがごっちゃになっちゃったわよ」「あれ、でもこれうまくない?」「うまい、うまいうまい」「ね、うまい、うまいよ」。

もち米が貴重だった時代にまんじゅうでかさ増しをしたとは聞いたことがあったが、なるほど、そういう由来があったのか。確かに何かきっかけになる事件なしにこのレシピは思いつかないんじゃないかと思う。

さらに、鴻巣市外でいがまんじゅうを売っているお店2軒も教えていただいたので、そのうちの1軒をちらっとのぞいてみた。

背中の荷物を思ってさらなるまんじゅうの購入は断念したのだが、店先を見るとプッシュしているのは“ぶどう大福”のようだ。

いがまんじゅうは、全国区である超メジャーのわらび餅や大福とならんで張り紙に書かれている。それぐらい普通にあるってことなのかもしれない。

いがまんじゅうにすっかり夢中ですが、それでは最後に今度はまんじゅうで赤飯を包んでもらおうじゃないですか。


桶川の栄屋菓子舗さんの「赤飯まんじゅう」。分かっていてもちょっと驚いた。「あっ、赤飯だ」って。

バスを乗り間違えたり、街の人に助けられるまでもなく到着

いかにもまちの和菓子屋さんといったおなじみの顔ぶれをおさえ、堂々とカウンター上にありましたよ

ごま塩をかけてみる

桶川名物というわけではありません

あっち行ったりこっち行ったりしつつ、鴻巣駅を出て少し東京に戻り、桶川駅で降りた。今までの いがまんじゅうの逆、まんじゅうで赤飯を包んだ赤飯まんじゅう を売るお店があるのだ。

先ほどまでの2軒と違い、今度のお店は駅の近くのものすごく分かりやすい場所にあった。

赤飯まんじゅう はかつて日本の各地で見られたおまんじゅうだが、現在は京都を中心に売られているらしい。こちらのお店でも「桶川の食文化、というわけではないですね」ときっぱり。確かに他にも和菓子屋さんはあったが赤飯まんじゅう を扱っている様子はなかった。なお、地域的にここまで来ると いがまんじゅうの影もない。

私としては、いがまんじゅうの地域のすぐ近くに赤飯まんじゅう を売るお店がる、ということにかなり運命を感じた。桶川の赤飯まんじゅうは、いがまんじゅうのアンサーだとひとりで手に汗をかいている(お店としては、別段そいうわけではない様子でしたが、それでも!)。

味は、結構衝撃

肝心の味なのだが、食べた瞬間「わあ」と思った。だって、おまんじゅうの皮の中にお赤飯が入っているのだ。いがまんじゅうのときは一瞬で全てがおいしさに流されたのだが、こちらは、なんでだろう、戸惑いが残る。

むっちりしたほんのり甘い皮に塩をしていない赤飯。皮も赤飯もとてもおいしいのだが、なんともいえない薄ぼんやり。

おまんじゅうとはには別にごま塩もついていた。どうやら食べるときにかけるようで、二口目はごま塩をかけてみる。……おいしい。いや、とってもおいしいんだけど、やはり感じる謎。なんだろう。なんなんだろうこのお菓子は。

そういえば、これって言ってみればおかずなしでパンとご飯を一緒に食べているという事態だ。ご飯のサンドイッチとか、そういうことだと思うとなるほど戸惑う。

でも、ご飯のサンドイッチはないけど、赤飯まんじゅうはアリだ。まんじゅう、勝ち! まんじゅうばんざい!

今回は最終的に、赤飯まんじゅうも2つ追加し総勢20個のまんじゅうプラス赤飯を手に入れた(そのほとんどが一福のいがまんじゅうだけど)。ひとつひとつラップにくるんで冷凍保存しよう。冷凍庫と電子レンジのある時代に生まれて本当に良かった。

そういえば、いがまんじゅうの2軒もお赤飯には白ごまのごま塩だった。ごま塩といえば黒ごまだと思っていました
なお、ショウケースのお菓子がどれも魅惑的すぎ。長音の位置ひとつでどうしてこんなにも歴史を演出できるんだろうか

おまんじゅうが好きすぎてとっちらかった

読み返してみるといきなりまんじゅう15個買ったりバスに乗り違えたりなんだかとっちらかった旅だ。まんじゅうが好きすぎて振り回されたような感じか。本望だけども。

冒頭でも書いたが、“いがまんじゅう”という名前のまんじゅうは愛知(の主に三河地方)バージョンもある。こちらは埼玉のもととはまた全く違い、ひな祭り限定のおまんじゅうでカラフルなお餅であんこを包んだもののようだ。

……気になる。来年のひな祭りには行くべきだろうか。いや、でも鴻巣のひな祭りには埼玉のいがまんじゅうが大集合するらしいしな……。3月までにはどっちに行くか決めておきます。

冷凍保存のため全てラップにくるんだが、あらためて大漁。解凍後の温かいものも美味しかったです!

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