子供の頃、なけなしのこづかいを手に駄菓子屋によく通っていた。少ない金額で、どのお菓子をどう組み合わせて買うか、パズルのようにして考えていた。
チョコベビーをなんとなく食べているとき、そんなことを思い出した。大人になった今、そんな計算あんまりしない。
そのとき食べていたチョコはプラスチックの容器に小さな粒がいくつも入っているけれども、その「1個あたり」の値段はいくらくらいになるのだろうか。
気がついたら気になってきた。そういうわけで、いろいろ調べてみました。
(小野法師丸)
●こつこつした作業が中心の記事です
ただ、思いついたときにはすでにチョコベビーをだいぶ食べてしまっていた。大人になってもたまに食べてるのだ。
そのため、他に気になるお菓子たちと合わせて改めて買ってきた。1個あたりの値段を調べるには、「商品価格÷入ってた個数」の計算をすればよい。
一行あたり10個ずつ並べていく。ちまちました作業でついチョコを食べたくなるが、そういうわけにはいかない。なんとか我慢して並べ終えた。えーと、131個だ。
1箱で105円だったので、それを131個で割ると、0.8円となる。
ひとつぶ1円を欠けるチョコベビー。うーん、知ってみると物の値段というものの感覚がなんだか揺らいでくる。0.8円というのが高いのか安いのか、感想がもちにくい。
他にもいろいろ調べてみると、見えてくることもあるかもしれない。やってみよう。
続いては「コアラのマーチ」。最初に発売されたのはずいぶん前だと思うが、長い間愛されているお菓子だと思う。昔と違うのは、描かれてるコアラにたくさんのバリエーションが増えたことだろうか。
いろいろいるコアラたちを実際に並べてみると、まさにコアラのマーチという感じになった。
個性あふれるコアラたちがずんずん並ぶ。その数は24匹。
えーと、1箱98円だったので、それを24匹で割ると…。
4.08円だ。約4円。
時給は800円のアルバイトをしているとしたら、1時間分の労働で約200個のコアラを食べられるということになる。えーと、1時間は3600秒なので、それを200個で割ると、18秒あたり1個のコアラを食べることができる。
18秒ごとにコアラを1個口に放り込みながらできるアルバイト、とも言える。給料はそれなのでお金はもらえないが、1時間くらいならそれも楽しいかもしれない。
続いては似たようなもの同士を調べてみたい。子供の頃、同じお金を払っていかにたくさんお菓子を買うか、というのは切実な問題だった。例えば次のようなお菓子が並んで売られていることがある。今回買ってきたスーパーでもそうだった。
明治製菓のマーブルチョコと、円盤形にパッケージされた「わなげチョコ」だ。
チョコをカラフルにシュガーコーティングしたお菓子。どちらも一粒そのものの大きさはほとんど同じように感じる。どっちを買った方が同じ金額でよりたくさん食べられるのか。子供の頃はそういうことを真剣に考えていた。今その謎を解くのだ。
そのまま数えやすい「わなげチョコ」は26粒。価格は60円だったので、1個あたりの値段は2.31円。
対して、「マーブルチョコ」は価格105円で39粒。1個あたりで2.69円だ。微妙に「わなげチョコ」の方が安い。その差はわずかだが、子供だった自分には大ニュースだと思う。
似たようなもの系の2つ目は、かっぱえびせんとサッポロポテトだ。同じ会社が出している似たようなお菓子。これも今回の買った店では隣同士に並べられていた。どっちの方が一本当たりの価格が安いだろうか。
数えてみると、本数にはかなり差が出たこの2つ。売価はどちらも38円なので、一本当たりの値段を計算すると…
「かっぱえびせん」…0.73円 「サッポロポテト」……0.43円
おお、これはかなり差が出たぞ。サッポロポテトを買った方がたくさんの本数を食べられるぞ!と思ったのだが、それっておかしいだろう。だってサッポロポテトの方が細いもん。
そう思ってパッケージの裏面を見ると、ともに内容量は26g。ということは、重量当たりの値段は一緒なのだ。安心してどっちでも買いたまえ、子供の頃の私よ。
重量ベースという大人の視点(そうか?)で、今回の企図が覆されそうになる。1個当たりの値段を調べる意味はあるのか。
続いて調べてみたのはナッツカテゴリーを代表して、アーモンドとピスタチオ。これならば1個当たりの値段を調べる意味が見えてくる。飲み会でミックスナッツが出たときに、どのナッツを攻めていけばパフォーマンスが高いかがわかるからだ。
一気に話がせこくなる。もともとせこい話だったが、子供の頃の迷いに答えを出すというならまだよかった。いい大人が高いナッツを攻めていくとか言ってるあたりがかなりせこい。
せこさを自覚しながら数えたところ、ともに一袋約100円だったナッツだが、入っていた数もほぼ一緒。
1個当たりの値段は、アーモンドが3.13円、ピスタチオが2.97円。まあ大体同じだ。
逆に言えば、飲み会でミックスナッツを食べるときにはコストパフォーマンスを気にすることなく、アーモンドでもピスタチオでも好きな方を食べればいいというわけだ。今回の検証でそういう自由を手に入れたのだ。
せこさに拍車がかかったところで、最後は永遠のライバルとも言えるお菓子「きのこの山」と「たけのこの里」だ。
メーカーも姉妹品として販売しているこの2つ。どっちが好きかなど、いろいろと比較されることも多いと思うのだが、1個当たりの値段にするとどうなのだろうか。
ともに売価は175円。偶然なのか意図的なのか、入っていた数は両方とも32個。必然的に1個あたりの値段も5.47円と同じになる。1個当たりの値段を意識するのならば、きのこかたけのこかで迷うことはないのだ。
ただこの5.47円、今回調べた中では一番高い数字。コアラのマーチは4.08円だったので、ならばコアラのマーチの方がいいかな…などと、考えれば考えるほどせこさが極まっていく。
上の写真は、今回調べたものたちを10円分ずつ並べたもの。中央には10円で買える物の代表であるうまい棒を置いてみた。読んでいる方ならどれを選ぶだろうか。
自分なら……たけのこの里を1個、サッポロポテトを4分の1、あとはピスタチオを1かけら…などと、やっぱり考えるほどにせこい細道に入っていってしまいました。