この形式が採用された1950年代から60年代はセメントが高価で、内部を空洞にしたのは少しでもセメントの使用量を減らすための工夫なのですが、その後セメントの価格が下がり、逆に構造が複雑なので設計や施工にかかる人件費が上がったため、現在では採用されることはなくなりました。つまり構造に凝っているヒマがあったら、コンクリートをひたすら詰め込んだ方が安上がりになったのです。
中空重力式の見分けかた
ところで、重力式と中空重力式は内部構造こそ違いますが、外観にそれほど大きな違いはなく、ヒヨコの雄雌と同様、専門的な知識のない人が見分けるのは非常に困難とされています。
しかし、僕は長年ダムを見てきて、中空重力式を簡単に見分ける方法を発見しました!今日は特別に、ここで皆さんにそれをお教えしようと思います。
何気なくダムを見た時に、「あれ、これ中空じゃない?」などと呟くことで、一緒に行った女の子からは一目置かれ、ダムの職員さんからは「よく知ってるねえ、ちょっと中見てく?」などと声をかけられることうけあいです(効果を保証するものではありません)。
さて見分け方ですが、重力式コンクリートダムにはたいてい、堤体のいちばん上の部分に、マニアの間で「襟」と呼ばれる横一直線の白い帯が入っています。 |