「かめはめ波」という技がある。マンガ「ドラゴンボール」に登場する、体の前で両手の手首を合わせて手を開き、かけ声とともにエネルギービームを放出させる技だ。 構えのかっこよさ、威力のすごさといった魅力から、ドラゴンボールを知る男性なら真似したことのある人も多いだろう。それゆえ、かめはめ波が出るかどうかの検証は十分に行われているはずだが、たぶん誰も出せてない。ああ、かめはめ波出したい。大人になった今もそう思う。本物を出すのは無理だが「かめはめ波的」なものならなんとかならないだろうか。そういうわけで、やってみました。
(小野法師丸)
とても人気のあるマンガである「ドラゴンボール」。2009年にはハリウッドで製作された実写版映画が公開される予定もあって、世界規模で有名なマンガと言っていいだろう。
その中に登場する技、かめはめ波。シンプルなポーズですごい破壊力のビームを出すということで、マンガに夢中になった者ならついやってみたくなるものだと思う。
テレビに向かってポーズをとり、かめはめ波を出して敵をやっつけるというゲーム(参照)も発売されている。それほど魅力のある技と言えるだろう。
あー、俺も出してえ
中学生の頃の掃除の時間に、友達と出し合った覚えがある。もちろんほんとは出ているわけはないのだが、頭の中では見えないかめはめ波が出ていたのだ。
やはり実際には出ないものだろうか。久しぶりに気合いを入れて構えてみる。
ひどい目に遭わされた仲間のことを思い浮かべ、相手に怒りをぶつけるように、かけ声とともに放つ。かめはめ波ー!
はい、やっぱり出ません。
そもそも、ひどい目に遭わされた仲間なんていない。怒りが本物ではないのだ。それに怒りが本物だとしたって、それをぶつけるために「かめはめ波ー!」とやり出す大人は結構まずいと思う。
出したい気持ちと虚構性との一致点として、なんとかしてかめはめ波的なものを出してみたい。うーん、と考えて思い当たったのはあれだ。
手品を趣味としている妻の道具袋だ。この袋の中に、いろいろと手品用具が詰まっている。
構えた手からビームが出たらみんなびっくりするだろう。人を驚かせるという要素からして、手品道具の中に何か「かめはめ波的」なものを出すようなものがないだろうか。
見つけたのは、バネ仕掛けで押さえている指を離すとパッと開く花。「ミリオンフラワー」というらしい。何もないように見えるところからどんどんこれが出てくると、確かにおもしろい。
ちょっとちっちゃいのだが、これを使えないだろうか。
合わせた手首のところに仕込みます
両手の手首を合わせる間に挟み込んでみた。かめはめ波の溜めの構えから、前に腕を突き出す瞬間にミリオンフラワーを前方に放つという算段だ。そこそこかめはめ波に見えないだろうか。
やってみたら、思った以上にしょぼくれている。
全くもってかめはめ波なんかに見えやしない。動画でも撮影したのだが、載せるに値しないと判断して自主的にお蔵入りとさせていただく。
ダメだ。道具袋の中をもう一度あさって、他にはないものか探してみる。
続いて発見したのは「くもの巣投げテープ」というもの。まさに名前そのもので、根本のところを持ったままにして投げる動作をすると、テープが飛んでいくというものだ。
かめはめ波のビームっぽい感じとはちょっと違うが、手から放たれるという点では共通の要素はある。ちょうど「かめはめ波」の構えをしても手首のところに挟みやすい。
いざ放て、かめはめ波。いくぞー!
一応動画見ますか。
あるゆる意味で非常に残念な結果となった。
かけ声は自分でもいい感じで言えたな、と思ったのだが、出ているものはかめはめ波と全くかけ離れていると言わざるを得ない。そのダメなコントラストが逆にまぶしい。
他にも道具袋をあさってみたのだが、めぼしいものは見つからない。そんな失望の中、出てきたのはこんな本だ。
「マジックステーション」という名前も頼もしい、手品道具のカタログだ。手持ちの道具では限界があったが、この本になら何かヒントになるものが載っているのではないだろうか。
早速開いてみる。…おお、なるほどなるほど。
着想はともかく、実践編がぐずぐずという展開はここまでです。次ページでは一定の成果を出します。