鉄は熱すれば狂うし、冷やしても狂う。砥石との摩擦熱でも狂ってしまう。
少しずつ少しずつ、狂った分だけハンマーで叩いて直していく。なんだかハンマーを振るい続ける北島さんが柳生博に見えてきた。
ようやく仕上げの作業へ
ガンガン叩いて反りを微調整して、ようやく刃を研ぐ段階へとやってきたのは午後三時。朝9時からスタートして、お昼を挟んで気が付けばおやつの時間である。
研ぐ時に長く砥石にあてていると、刃が熱を持ってしまってまた刃が狂ってしまうため、すばやくサッとおこなう。
何度も書いているが、鋏の刃は微妙にカーブをしているので、この研ぐ作業もまた覚えるのに数年かかる作業なのだ。ウナギを捌くのよりも大変そうである。 |