●まぼろしの最低峰、飛鳥山
最も低いから「最低峰」なのであって、言葉からするとそれは唯一のものでないとおかしい。しかし、東京都内にはまぼろしとも呼ぶべきもう一つの最低峰がある。
それは北区の飛鳥山。京浜東北線の王子駅すぐそばにある、えーと、一応、山と言っていいだろうか。
実際に地形としても小高くなっていて、山と呼んでいいような感じになっている飛鳥山。それをこの記事でまぼろしと言っているのは、そもそも「山」とは何かという話にもなる。
山。周囲と比べて盛り上がっている地形、とまず自分で考えて書いてみた。書いたあと辞書で調べたところ、「陸地の表面が周辺の土地よりも高く盛り上がった所」とあったので、やはりそういうことでいいのだと思う。
それはそれで山としてよいだろう。ただ、ある地形が山であるかどうかを問うのに、「国土地理院発行の地形図に山名と共に載っていること」というのが別の視点としてあるらしいのだ。
オフィシャルな山、と言えばよいだろうか。先に挙げた日本最低峰である天保山はこの基準を満たしている。
この飛鳥山、地形図で調べてみると、「飛鳥山」との表記がない。そう、公式には山と認められていないのだ。
山であって山でない山、飛鳥山。そんな飛鳥山であるわけだが、それを最低峰とするには一応の根拠がある。2007年、北区が飛鳥山の標高を調べたところ、愛宕山を下回る25.3mという標高だったらしいのだ。
そこで、都内最低峰として認めてもらおうと国土地理院に申請。北区としては認定されるだろうと推測して、観光地として売り出そうと考えていたようだ。
しかし、返ってきた答えは認定不可。なぜか。
測量の仕方に問題があったからだろうか。あるいは何か歴史的・地理的な問題だろうか。
そういうわけではない。認定不可を報じた新聞記事によると、「地図に掲載スペースがない」という理由らしい。
もう少し詳しく述べよう。飛鳥山周辺の地形図には駅や道路といった掲載しなければならない情報がすでにたくさん書かれていて、あらためて「飛鳥山」と掲載するスペースがない、とのこと。
そういう理由か。山とか山じゃないとかって、そういうことで決まることもあるものなのか。様子からして感覚的には山と言っていい飛鳥山。しかしオフィシャルの壁は突破できなかったということだ。
それでも飛鳥山の魅力が損なわれるというわけではない。飛鳥山「公園」と名乗るだけあって、気になる遊具もいろいろあって楽しいではないか。
乳首とかチンポコとか連発で書いて申し訳ない。愛宕山の厳粛な雰囲気とは違い、明るくポップな様子の飛鳥山。どっちが最低ということは置いておいて、楽しいではないか。
他にもあった印象的な遊具で遊んでみる。
どうやら遊び方が違うようだ。
東京都内の最低峰めぐり。いろんなドラマがあったのにも関わらず、最終的には股間が痛いということで終えてしまって申し訳ないです。