プリントゴッコが好きすぎて転がった80年代
プリントゴッコは小型の家庭用印刷機。簡単な作業で印刷できる。私が小学生の頃だから80年代後半のことか、我が家でも年賀状は毎年プリントゴッコだった。友達から来る年賀状もプリントゴッコ派は多かったと思う。
あの頃はプリントゴッコを触れるから、という理由で年末が楽しみだった。手紙とか印刷とかその手の紙ものがどうしようもなく好きな子どもだったのだ。
ある年、例年同様プリントゴッコで年賀状を刷った。刷り終えてすぐ早く来年の年賀状が刷りたいという気持ちがあふれ、当時寝室だった畳の部屋を無言で転がりまくった記憶さえある。
販売終了の衝撃
その後、家庭用のパソコンやプリンタが普及してプリントゴッコは急速に衰退したらしい。「らしい」というのは、高校に上がるころには私が年賀状を出す習慣自体をなくしていたからだ。年賀状をとりまく環境の変化をほとんど感じることなく大人になってしまった。
子供のころあんなに好きだったのにどうして突然年賀状に興味をなくしたのか不思議だが、それでも家族が使わなくなったプリントゴッコ本体を引き受けて、何度引越しをしても捨てずにいた。プリントゴッコ魂は持ち続けていたと思う。
その魂は結婚を機に年賀状も再開した2006年に燃えた。久しぶりに年賀状をプリントゴッコで刷ったのだ。ボーボー。
年賀状の返事のなかには1枚だけプリントゴッコで刷ったものがあってすごく嬉しかった(その年賀状を出した人も、私の年賀状がプリントゴッコだったのをすごく喜んでくれた)。
やっぱり私は“プリントゴッコのファン”なのだ。それだけに今回の販売終了は衝撃だった。
衝撃と同時にそりゃそうだろうなとは思う。プリントゴッコと違ってプリンタなら手は汚れないし、フルカラーで印刷も簡単にできる。
でも、プリントゴッコでだって実はフルカラー印刷ができるのだ。今回は大好きなプリントゴッコを送る意味でフルカラー印刷にチャレンジしようと思う。
色分解の3版を重ね刷りする
仕組みは簡単。フルカラーの原稿を色分解したシアン・マゼンタ・イエローの原稿を元にプリントゴッコで3色の版を作成、重ね刷りするというもの。
面倒かつ高度なテクニックを要するのは子どもの目にも明らかでついぞ試したことがなかった。 |