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土曜ワイド工場
 
石ころ蹴って約20km(行こうとした)
一種のロードムービーとして見てください。

小学生の頃、よく帰宅途中に石ころを蹴って歩いたりした。たぶん世の男子なら一度はしたことがあると思う。

いつもどれくらい蹴っていけるか挑戦していたのだが、大抵はすぐ排水溝に落ちたりして終わる。せいぜい50mが最高だった。そこで気になるのは、何キロも蹴り続けてた場合、石ころはどうなっていくのだろうか。

川に流れた石はぶつかり削れて丸くなる。それと同じように石ころ蹴りを何十キロも続けると、丸くなっていくかもしれない。自分がまるで川の流れのように。

当然ながら昔はそれを実行することはなかったが、幸か不幸か今は実行に移せる大人になっている。 いまこそ石ころを蹴り続けるときだ。

小柳 健次郎



こんな道。
約20km蹴り続けます

石ころを蹴るコースを決めるにあたって、気をつけないといけないのは安全である。

大人なのに石を蹴りながら歩く人は危ないということではなく(それもあるが)、石はラグビーボールのように不規則な動きをするので、車道に飛び出したりしたら危ないのだ。なので石ころ蹴りのコースとして車道のない自転車道で行くことにしよう。

その自転車道はJR北広島駅スタート地点とし、そこからゴールの東札幌まで18.6kmという、約20kmの道である。


コースの一部。実際にはこの倍以上の距離を行こうとしてます。

看板によるとゴールまで278分(約4時間36分)かかるらしい。

石どこかなー。
出発する前に石を現地調達

さっそく出発する前にまず蹴り続ける石を探さないといけない。事前に用意してなかったのは、やはり現地の石と共に行きたいという思いと、石なんてその場で簡単に見つかると思っていたから。

案の定簡単にたくさん見つかったので、その中から蹴り続けるのに最適かもしれない石をセレクト。この石を写真に撮って、また外形をなぞって形も記録しておこう。

この石に決定しました。
ペンで紙をなぞり形を残しておく。

スタート時の石はこんな形なので覚えておいてください。

蹴りの旅開始。
千里の道も一蹴りから

では石蹴りの旅を始めよう。現在時刻は13:20分。

しかしこれからただ歩くだけでも辛い距離を石蹴りながら歩かなきゃいけないのかと思うといきなり気が滅入る。

だが石ころ蹴りをキッキングストーンと勝手に呼ぶことにしたら、とてもかっこいいことみたいでやる気が出た。

そんな感じで頑張ります。

これからこういう写真ばかりになります。
だってこれ以外のことをしないから。

こんな風に蹴り進んでいます。

 

いきなり言わせてもらうと、辛い

久しぶりに石ころを蹴って30mぐらい進んだところで気づいた。これはかなり辛いかもしれない。

まず石が真っ直ぐに転がっていかない。上の動画ではたまたま真っ直ぐ蹴れてるが、ほとんどは横に転がっていく。それも奇跡的な動きで。そのくせ真っ直ぐ転がり続けるという奇跡はちっとも起きないのから腹立たしい。そんなだから歩みも遅い。

それ以外にもこんなに辛いことがある。


コントロールが狂うとすぐ茂みに飲み込まれる。
その度に手で拾わなければいけない。
血の池地獄のような道路の色。
そしてなんといっても危ないのが排水溝。

石ころ蹴りを阻む罠は色々あるが、最も危険なのは排水溝だ。おそらく石ころ蹴りが長距離続かない一番の理由は、排水溝に石が落っこちるからだろう。

ここだけは絶対に気をつけなければならない。


と行ってるそばからいきなり落ちてしまった!
ギリギリで挟まってたのでなんとか生還できた。フー。

 

出発地点から1.6km来ました

スタート地点の北広島駅から石を蹴り続けること約30分。ようやく長いこと続いていた赤い道の終わりに来た。


地獄の終わり。

そしてここに立ってる看板を見るとまだ1.6kmしか来てないことを知らされて愕然する。そんなしか来てないのか。ゼロが一つ抜けてるんじゃないか。

たかが1.6kmで大げさなと思われるかもしれないが、石ころを蹴りながら歩く道は体感的に10倍長く感じるんです。


気分的には10km歩いた感じなんだけど。

道路の色が移ったか。

石を見てみると、ところどころ赤くなっている。道路の色が移ったようだ。なんとなく角も丸くなった気がするが、本当に気のせいだったらショックなので、現時点ではあまり気にしないようにしたい。


 

 
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