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ちしきの金曜日
 
「昇り龍」を鑑賞する

こういうやつ。

主に飲食店の裏 手に生息する「昇り龍」。カブトムシなどが属する甲虫類は約30万種もいて、地球上 で最多種を誇る生物らしいが、この昇り龍もそれに負けず劣らず多種である。今回はその多様性に博物学的に迫りたい。

えーと、ここでいう「昇り龍」っていうのは排気煙突のことです。なんか大げさな出だしですまん。あ と「博物学的」っていうのは機能とか調べずに形だけ見て楽しむ、っていうことです。

大山 顕



■我々は「昇り龍」と呼んでいます

飲食店の排気煙突、別名「昇り龍」。これはぼくらの仲間内での呼称である。なぜ昇り龍なのか。それはこのすてきな煙突の登りっぷりが、まるで天に昇りいままさに嵐を呼ばんとする龍のように見えるからだよ!

見えるんです。ぼくらには。

昇り龍と一言でいっても、その形態は多種多様。一説によれば「個体の数だけ種類がある」とまで言われている。たぶん。ならばその多様っぷりを鑑賞してみようではないか。

 

■オーソドックス・角龍


昇り龍の正統派。几帳面な雰囲気漂う四角いボディ。鎌首をもたげた表情はどこかユーモラス。

まずは昇り龍の正統派・「角龍」だ。これも勝手にそう呼んでいる。なので業者に「角龍ひとつ」って言っても注文できないので注意。

その名の通り、角張ったボディを持つ昇り龍。多くの場合一直線に天に向かって昇っており、まじめな印象を受ける。その品行方正な登りっぷりにやや食い足りなさを覚えるかもしれないが、昇り龍鑑賞の王道はこの角龍にある。「昇り龍鑑賞は、角龍に始まり角龍に終わる」などとも言われ、そのシンプルだが力強い造形はいつの世も昇り龍鑑賞家の心をとらえてはなさない。単純が故に奥深い、それがこの角龍の特徴といえるだろう。

最上部でくるりと鎌首をもたげるさまはかわいらしく、昨今若い女性鑑賞家の人気を集めてもいる。左の写真のケースでは、大小2匹の角龍が、見張りをするように別々の方角を向いているの点が味わい深い。あと「角龍角龍」書いてたらなんとなく咳止めの粉薬に見えてきた。


首の造形に特徴のある角龍。なんとなく二重顎に見える。
あくまで曲がるのは90度に。角龍らしい几帳面さが存分に味わえる一匹。

黒々としたボデーが強そうな角龍。首の回りのエリマキ状の造形も威嚇の効果を狙ってか。
鋭角な鋭い口を持つ角龍。スマートな印象を与える。モテそうなやつだ。

完全に背中を見せた体の角龍。使い込まれたテクスチャと腰の曲がりっぷりから、かなりの老齢であることがうかがえる。
上半身の体格が良い角龍。首まわりのはっきりしない感じがやや残念だ。

 

■まだまだひよっこか・ヘビ龍

一方、断面が円形の昇り龍もいる。角龍にくらべ、全体的にひょろりとしていてどこかひよっこな感じがすることから「ヘビ」あるいは「ヘビ龍」などと呼ばれる。というか、ぼくが呼んでいる。

特徴としては角龍に比べくねくねと曲がりくねる場合が多く、角龍が一直線に天に駆け上がる姿と対照的である。まだ迷いがある感じ。今後の成長を見守りたい昇り龍である。


くねくねと曲がりくねりながら、最後にちょっと小首をかしげるヘビ龍。
いったいなにを思って曲がったのか。ビルの角に沿って大胆に方向転換したヘビ龍。

これも一見、なにが理由で曲がったのかとんと不明。たぶん曲がりたかっただけなんだと思う。
ひょろりとした雰囲気がちょっと頼りない、これからに期待の昇り龍。

大胆な曲がりぐあいとその胴体の太さがあいまってかなり強そうな昇り龍。もうヘビの域ではない。
とにかく長く、そして曲がる。いかにもヘビ型の昇り龍。足下のジョイント部にも注目だ。

かなりダイナミックなヘビさん。思わず「すごい!」って声に出しちゃった。

さらに出た先で急上昇。今回でもっとも大胆な動きを見せた昇り龍である。特別天然記念物。

上と左は、今回昇り龍ハンティングをしたなかで最もダイナミックな一匹。ヘビ型もここまでくると立派な龍である。まず横方向に大胆に伸びた後、上に出られる場所まで来るやいなやまさかの急上昇。しかも登った先で思い思いに首を振るアクションを見せる。その太い胴体もあって、かなりの威圧感がある。すばらしい。

こういう長く、そして大胆な3次元の動きを見せる昇り龍は、主にガード下やアーケードのとぎれ目などに生息することが知られている。みなさんにもぜひ今後注目していただきたい。

というか、みなさん、ついてきてますかね?だいじょうぶかな?


 

 
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