デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


はっけんの水曜日
 
太陽でタマゴが焼けるかな?


(text by 大塚 幸代

この夏は暑かった。外を歩くたび、「焼かれて」いる感じがした。
「ああ、シミとシワが増える…」「っていうか、身体の表面だけ別世界にいるようだ…暑過ぎて、身体と脳が分離している、暑く感じていること自体が人ごとみたいだ…」「ひょっとして、生命の危機?」
そんなふうに考えながら、フラフラと、トランス状態で歩いていた。

「うーん、こんなに暑かったら、生卵も焼けて、目玉焼きが作れてしまうんじゃないか?」
ある日、ふとそう思って、ベランダにフライパンを持ち出した。

午後3時がいちばん気温が高くなるそうなので、正午から30度を超える日を選んで、3時まで卵を置く。

このまま丸出しで置いても、あまり温度が上がりそうになかったので、

ラップしてみた。

ラップすると温度は急上昇した。40度は軽く超える。

しかし…、卵自体は、まったく固まる気配がなかった。
晴れた日を狙って、何度もトライした。しかし卵は生のまま…。
「こんなに熱いのになあ」と思いながら、生の卵をガスレンジにかけて焼いて、食べながら考えた。
悔しい。やっぱりなんとか固めたい。「気温の上がる場所」ってどこだろう。

「郊外のでかい駐車場の、日の当たる場所の、車の中」
というのが、本命か? 

といっても、私には車も免許もない。
そこで「タマゴなんか入れたら、破裂するんじゃないの!?」と嫌がる友人をなんとか説得し、車を借りることにした。

駐車場で持参のタマゴを割る。「実験の心」で。

 

黄身が美しい。さて、固まるのか?

いちばん熱くなりそうな、ダッシュボードの前に置いて、1時間半ほど外出して放置。
---

 

……1時間半後。
温度計はふりきっていて、50度のところまで来ていた。
しかし……。

タマゴは…。
白身のはしっこが、パリパリとなっている程度で、さっぱり凝固せず。
え、そういうものなの!?

■タマゴは火で焼こう…。

後で調べたら、卵の卵白の凝固温度は80度、黄身は70度なんだそうだ。
いくら炎天下の車内といえど、70度に達するには、幾つか条件が重ならないと無理だろう(ダッシュボードが80度になるというケースもあるらしいが…)。
友人の車が、ちょっと構造が立派過ぎたのかもしれない。理由は分からない。
タマゴ、固めたかった。しかし固まらなくて安心した、とも思う。

そうこうしているうちに、関東は涼しくなって、夏終了の気配。
あのタマゴが焼けそうな暑さが既に懐かしい。少し寂しいですね。


 
 
関連記事
ゆで卵でプロポーズする
自転車のサドルの熱でコーヒーを沸かす
CD-Rはどれくらい直射日光に耐えられるのか?

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.