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ちしきの金曜日
 
東西二大トリックアート

驚くなかれ!なんと!

右の写真をご覧いただきたい。爽やかな海辺の風景。潮風に乗ってカモメの声が聞こえてきそうだ。

ところがどっこい、これはなんと壁に描かれた絵なのだ!

大山 顕



■なんでトリックアートなんだろう

しらじらしいこと言って申し訳ない。誰が見てもペンキ画だよね。だいたい水平線というものは目の高さにあるべきもので、人物との関係がこんな風にはならない。


引いて見るとこんな感じ。よくあるタイプのペンキ壁画だ。

いやいや、透視図法上のあやまりをあげつらうつもりではなかった。問題はこの手合いの壁画と、ぼくはどう向き合ったらよいのか、ということだ。なぜ路上で、こんなかたちでぼくはトリックされなければならないのか。感心すればいいのかどうなのか。ここを通るたびぼくはいつもむずむずした気持ちになる。


木立モチーフも定番か。ポイントは影の描写だ。
窓からカモメや風船が飛び出てくる描写もぬかりない。

このトリックアート的壁画があるのは、東京の両国駅そば。国技館とは逆の南口を出て総武線に沿って千葉方面に少し行くと、そこにこの作品世界が広がっている。


めくるめくトリックアートの横綱。

木の葉っぱの表現は土手上の雑草とつなげているように見せる意図か。やるな。

気をつけろ!街灯の足部分はトリックだ!影もな!

両国らしさも余すことなく表現。「両国」って書いてあるしな。

両国といえば大相撲の街だが、その影でひっそりとこんな大金星が繰り広げられていたとは。座布団は、どこだ。

これは総武線が走る土手の擁壁(土手の土が崩れるのを防ぐために設けられる壁みたいな構造物のこと)に描かれたもの。草が生えるでもなく、またこの擁壁が面 するのが比較的狭い道であることなどから「なんか殺風景だよね」ということになったのであろうと推察する。そのソリューションがこの壁画というわけだ。

その結果、駅前風景としてはかなり個性的な物件となったが、問題はここを通る人がこれを全く気にしていないように見えると言うことだ。


擁壁に窓が付いていてその向こうに気球が飛んでいるのに、だれも気にしていない街、両国。

もちろん、通勤などで毎日ここを通っていてもはや何も気にならない境地に達しているのであろう。慣れとは恐ろしいものである。

このむずむずした違和感を、ぼくたったひとりで引き受けなければならないのか。

 

■西の横綱、梅田地下街桜橋口方面

そんなとき、ある別のトリックアート壁画に出会った。あの梅田の地下街でである。


より理想に近いトリックアート壁画。白昼夢のようだ。

より凝った趣向のトリックぶりがキラリと光る
非常電話が設置されている部分には電話ボックスを描写。心憎い演出である。たぶん。

 

 
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