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はっけんの水曜日
 
青春、吹き矢甲子園

■富士の裾野でスポーツ大会


富士の裾野の河口湖駅。雄大だなぁ〜。

 今回取材させていただいた大会は、正式名称を「第18回全国高等専修学校体育大会」という。つまり、全国の専修学校のインターハイみたいなもんだ。開催地は河口湖の近くにある山梨県富士北麓公園。多分、全国から参加しやすいように日本列島の真ん中へんで開催してるのだと思う。

 インターハイなわけなので、競技も複数行われる。野球、バレーボール、バスケ、卓球、陸上、フットサル、自転車、バドミントン、スポーツ吹き矢、駅伝など。

 このうちのスポーツ吹き矢部門で大竹学園は2連覇中、3連覇を狙っているのだという。というか、大会にスポーツ吹き矢が採用されてから今年で3回目とのことなので、つまりずっと優勝してるという事なのだ。吹き矢の強豪校、格好良い。生徒皆ハンター。

高速バスに揺られて河口湖駅へ、そしてタクシーに乗って現地に着いた。そこでは、開会式が行われていた。

■第18回全国高等専修学校体育大会、開催


各競技の優勝旗返還。優勝旗って格好良いよね。

 大会は7/28〜31までの4日間に渡って行われる。1日目は開会式、エキシビジョン、駅伝だ。スポーツ吹き矢の本競技は30日に行われた。のだが、実は都合が悪くて本競技を自分で取材することが出来なかった。結果は最後にお届けするとして、まずは開会式とデモンストレーションの様子をご覧いただきたい。

 開会式は体育館で行われた。まずは来賓なしのリハーサル。驚くなかれ、全部全く同じ事をやる。入場、選手宣誓、優勝旗返還、全て完全に。その後、来賓が椅子に座って同じ事をまたやるのだ。

 大人になると、こういう、「練習」という精神を忘れがちになる。デートも仕事もぶっつけ本番、でたとこ勝負で挑んで大抵負ける。同じ事を2回やるってのは、2回やる必要があるからやるわけだ。この精神は見習うべきだと思った。スティーブ・ジョブスもプレゼンの練習を何度もやるそうだが、それと同じだ。ジョブス式である。

そんなこんなで、2回目の開会式(つまり本番)が終わったら吹き矢のデモンストレーションが行われた。ここでも大竹学園の生徒はすごかった。


各競技の優勝旗がズラリ。持ち帰るのはどのチームか?

 

1番と2番が大竹学園。やはり上手い。

■デモンストレーションでは三回吹きます

 本競技では5本の吹き矢を吹くが、デモンストレーションでは3本になっている。1回で最高7点なので、満点で21点だ。

 シーンと静まりかえった体育館にフッ!トス!という音だけが響き渡る。外から聞こえるセミの声と吹き矢の音が、静かに夏を感じさせてくれる。きっと吹き矢は夏の季語だぜ。

三回で21点。つまり満点。驚くわ、実際。

■どこかのハンターか、きみは

 写真の彼は、3本吹いて21点を取った。つまり、満点だ。7点、7点、7点。ものまね大賞で言ったらコロッケレベル。いやいや、凄い。他の生徒たちもやはり上手い。これは本競技にも期待してしまう。

みな姿勢が良い。

■高校生の吹き矢姿、いいね

 高校生が、特に女子高生が吹き矢を吹く姿というのはなかなかに良い。見ていると、前ページで安藤さんが言っていた事がいよいよわかって来たような気がした。好きな子に吹き矢を当てられたい─。うん、当てられたいかも。そういえばあの時安藤さんはこうも言っていた。「矢だと痛そうだから、マシュマロとかどうですかね」。

うん、マシュマロなら間違いなく当てられたい。

こんな事書いて、スポーツ吹き矢協会の偉い人に怒られないか凄く心配。

スポーツ吹き矢チームで記念撮影。3連覇なるか?!

■本大会は30日ってことで!

 デモンストレーションでも好成績だったのだが、ここでいくら得点を取っても実は意味がない。本当に頑張らなきゃならないのは2日後の本競技なのだ。

 30日は頑張って貰うこととして、この次に行われた駅伝競技も取材させていただいた。だって、高校生の体が躍動する姿を見る機会なんて、滅多にないじゃない。

 

駅伝は公園内を走ってたすきをリレーする。長距離リレーって感じか。

■駅伝は1周1kmの公園内を走ります

 駅伝といっても街の中を区間で区切って走る駅伝とは違う。それだと多分危ないからで、一周1kmの公園内を決められた周数走ってたすきを繋いでいく。

 この方式だと応援しやすいし安全管理もしやすいので、色々便利なんだと思う。最初聞いた時は駅伝?とか思ったりもしたけど、メリットを考えるとなかなか良い方法だと思った。

真剣な高校生、かわゆす。

■スタート!

 スタートラインのちょっと後ろに選手が並び、走り出す。選手がラインを通過する瞬間、パーン!と鉄砲が鳴らされる。富士山をバックにするとどうにも雄大になってしまう。

 選手が応援団の前を走ると、黄色い歓声が上がる。うぉ、青春だ。これが青春だ。思えば電算部に所属していた高校時代、僕がどんなにすごいプログラムを書いて通産大臣から賞を貰っても黄色い歓声なんて飛んでは来なかった。

しかし彼らは見事黄色い歓声をゲットしている。人生やり直せるなら、高校時代は運動部に入ろうと心に誓った。

 

■ぶっちぎりでした


駅伝女子、優勝。

 大竹学園は駅伝も強いとは聞いていたけど、まさか2位に6分の差を付けて優勝するとは思っていなかった。なんだ6分差って。何馬身差だ。

 見ていると、走り終わった選手へのアフターケアが行き届いて感心した。全力を出し切ってたすきを渡すと共にへたり込む選手に上着を掛け、首に氷を当て、マッサージもしちゃう。すげー、一人はみんなの為に!みんなは一人のために!青春だぜー!と思った。


美しい助け合いの姿。正直うらやましい。

やはり青春時代にやることはプログラミングじゃなくて運動だな、と実感した。

オレの青春はC言語のポインタで(以下略

こうして大会一日目は終了、ではスポーツ吹き矢の結果発表です。

■見事三連覇でした

表彰式の様子です。

後日、大竹先生から結果のメールが送られてきた。

「女子総合優勝で、3連覇を達成することが出来ました。個人では、前回インタビューをしていただいた花田さん(2年生・女子)が惜しくも2位でしたが、メダルをもらうことができました。」

 見事に3連覇を達成したそうだ。最近では他校も吹き矢にますます力を入れていると言うことで、吹き矢強豪校の地位も危うくなっていくかも知れないが、きっと来年も再来年も連覇を続けるのに違いない。10連覇したらきっと伝説になるね。

賞状、盾、優勝旗。来年も頑張ってね!

 「最近の若者は一生懸命さが足らない」なんて事をいう大人がいる。でも、最近の若者だって昔の若者と変わらずに一生懸命だ。一生懸命がんばって結果を残し、一生懸命頑張って仲間を支えている。みんなちゃんと一生懸命頑張ってるんだから、最近の若者は云々なんて言って、若者を悪く言うのは良くないと思う。

ちゃんとしてない大人の方が多いご時世に関わらず、若者はちゃんとスポーツしてましたよ!


 
 
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