●はてさてホホー むせるかな

　 むせやすい食べ物で、むせる。日常生活の中で、そういう場面に直面することがある。

　それがむせやすいことを忘れて無防備に食べたときのうっかり感。がまんして涙目になったり、むせたあとに何もなかったかのようにふるまったりと、「むせる」という現象の周辺には、愛すべき小さな人間ドラマが詰まっている。

　そういうわけで、今回は意図的にむせやすい食べ物を食べることで「むせる」ということについて考えてみたい。もちろん自分自身で取り組んでみるのだが、他の人がどんな様子なのかも気になる。

　そこで声をかけたのが、デイリーポータルZ編集部の古賀さんだ。これまでの古賀さんのさまざまな記事でのリアクションの様子からすると、今回も素敵なむせジェニックぶりを発揮してくれそうな気がしたからだ。

　女性ということもあって、お願いはやや恐縮気味にしたのだが、「いいですよ！」と即答だった古賀さん。

　今回は、いろいろなむせやすいと思われる食べ物を交互に食べるという方法で進めてみる。必然的に対決っぽい感じも出てくるわけだが、まず最初のエントリーはこれだ。

　冒頭にも書いた、タバスコをかけたスパゲティ。ファミリーレストランで見かけたあの若者も、こいつにしてやられていたわけだ。確かに自分にも経験がある気がする。

　より積極的にむせるために、かなり大量にふりかけてみた。まずは古賀さんからトライだ。

　結果は、全く持ってノーリアクションだ。むせる気配すらない。

　「これくらいで別にむせるわけないじゃん」という当たり前の裏返しとしての戸惑いを隠せないでいるようにも見える古賀さん。そうか、別にむせないか。ファミレスの若者は急いで食べていただけなのかもしれない。

　そうだよね、別にむせないよね。なんとなく拍子抜けしたような気持ちになって、私が食べてみた。

　はいむせましたー。

　自分ながらになんとなく悔しさがにじんでいるようにも見える。おかしいな。いや、おかしくないか。だって最初はむせるだろうと思ってこれを選んだんだから。

　唐辛子を酢に漬けて熟成させた調味料、タバスコ。むせやすさの重要な要素である、辛さと酸っぱさを兼ね備えたものであるわけだから、むせるのも無理はない。あくまで自然体で私はむせたのである。

　それに対して、古賀さんのあの余裕はなんだ。私がむせているのを見て、「私、むせられるかな…」などと心配しているではないか。その心配はなんだ。

　話を聞くと、どうやら古賀さんは普段からむせることの少ない人らしい。果たして古賀さんをむせさせる食べ物は見つけられるのだろうか。