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ひらめきの月曜日
 
でかい壺を買った 〜石鍋でナンを焼く〜

壺でナンを焼くには

さて、でかい壺にばかり驚いていてはいけない。そうだ、ナンだ。いよいよ壺でナンを焼くのだ。方法は前述のとおりすでに成功している方から直伝いただいている。

1.壺の中に炭たくさんおこして入れる
2.扇風機などで空気を送りながら炭がカンカンになるまで熱する
3.十分燃えたら蓋で熱が壺にこもるように調整する
4.ナンを壺の内側に貼り付けて焼く

※壺の種類によっては加熱中に割れる恐れがあります! まさか試そうと思う方がいらっしゃいましたら専門の方に加熱できるかどうか確認してください。

その他細かいコツもこまごまと教えていただいているが、簡単にまとめるとこんな感じだ。ほぼ本場のタンドールと同じ方式である。

炭を燃すのでさすがに室内でやるのはマズい。ベランダがいいだろう。


この中にカンカンに熱した炭を入れてナンを張りつけるんですな ベランダに設置して……

ベランダが狭い

大きな壺を持ち上げてベランダへ移動する。額から汗がつたって落ちた。この暑さに加えて重さに力んだこともあるが、汗が出たのには別の理由もあった。

狭い。

そうなのだ。ベランダが狭くて、壺がもうギリっギリなのである。

壺、でかいよ! いや、でも壺のサイズは分かっていて買ったのだから、悪いのは壺じゃなくて狭いベランダの方だ。いやごめん、ベランダも悪くない。悪いのは私だよ。


ぎりぎりすぎて、外に出しているように見えない

火事になるぞ

タンドールは壺の中および壺自体の熱さで調理する調理器具。中の炭だけではなく壺もカンカンに熱くなる。その上、上手に炭をおこさないとかなりの量の煙も出るだろう。下手すれば、火事だ。

火事! 冗談ではなく、こんなに身近に火事の危険が身に迫ったのは初めてかもしれない。だが、この火事の危険は簡単に防ぐことができる。私がベランダでナンさえ焼かなければ。

迷わず自宅でのナン焼きは断念だ。

もともと、自宅で無理なら火気OKの河原か公園に行くつもりでいた。家がだめなら外で焼こう。


重い

でかい壺は重い

何で気づかなかったんだろう。でかい壺が重いということを。測ったら17.8kgあった。……数字が微妙でそれが重いのか軽いのか余計に分からなくなっているが、実際相当重い。持って歩いて10歩が限界だ。

近所に火が使える公園や河原はない。電車で少し行けばそういった場所があるので大丈夫だろうと思っていたが、こう重いと電車に乗って公園まで持っていくのはちょっと無理なんじゃないか。

自宅に車はなく、私はペーパードライバーで車を運転するのは火事以上に危険だ。

……あれ?

もしかして、壺でナン、無理……?


写真はインド料理の店で食べた美味しいナン。ショックのあまりやや大きめの写真です

石鍋でナンを焼く

そういったわけで、代わりに自宅にあった石鍋でナンを焼いた、というのが本記事だ。今までの部分は前置きと思っていただければと思う。

でかい壺以外にうちで壺っぽいものはないかと探してビビンパ用の鍋を見つけたのだ。いや、圧倒的に壺ではないのだが、ナンを張りつけて焼くという憧れはギリギリ達成できそうだと思う。


代打、石鍋 張りつけて!

炭は入れずにコンロにかけて焼いた。直火で空焚きになるのでこれはこれで引き続き火事には注意が必要だ。なぜか壺が火気への慎重な気持ちを思い出させてくれた流れになってる。

壺に比べると面積の小さな石鍋、ナンの大きさはかなり小さなものになってしまったが、味はとても美味しくできた(壺でナンを焼くときはイーストを使うとふわふわしすぎてしまうので、ベーキングパウダーを使うとよいというアドバイスをいただいていたが、これが石鍋でも大正解)。

実際、やってみると鍋肌への張り付け方のコツや火加減なんかもわかった。ぶっつけ本番で壺で焼くより、石鍋で練習ができたのは良かったと思う。

石鍋でナンを焼いている間じゅう、壺はずっと見える場所においておいた。いつかおまえでナンを焼いてやる、チラ見しながら、だから許してと壺に謝った。

そうだ、これは予行練習なのだ。いつか必ず壺でナンを焼く。

というか、壺でナンを焼かねばこのでかい壺を今後どうすればいいのか分からないじゃないか。


作業を見守る、壺 小さいけどできた


家にでかい壺があるという現状

今こうして会社で原稿を書いているあいだも、私の家にはでかい壺がある。今私は“でかい壺を持っている人”、だ。自宅ではこの壺でナンが焼けないと分かった今、「なんででかい壺持ってるの?」と聞かれても答えようがない。

「ナンを焼くんだよ」

って気持ちよく答えられるようになるように、早急に壺でナンを焼く算段を打たねばと思っています。

その他にでかい壺の使い道をご存知の方がいましたらぜひご連絡ください。とにかく、ただの壺として持っているには気持ちが落ち着きません。

そういえば、今回いろいろ教えていただいた先駆者の方は私の買ったものの2まわりほど大きな壺を使ったそうだ。すごいぜ!

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