「本に、旅をさせたいんですよ」 と、突然、山下さん(新宿駅ガムテープ案内人・佐藤修悦さんを見つけた青年)から連絡があった。 「本に旅? どうやって?」 「いや、貸しっぱなしにするんですよ」 「……。ああああ、なるほど。以前に『100円ライターを貸しっぱなしにしたら、どこまで旅に行くか』ていう企画をやってらっしゃいましたもんね」 「ええ。で、せっかく書籍なので、借りた人に、感想を書き込んでもらおうと思いまして」 「本自体に書き込んじゃうわけですね」 「そうです」 「どんどん本が変化してく、と」 「そう、皆の手が加わって、世界に一冊しかない本になるといいなあと」 「…これ、勝手に貸し借りしちゃって、出版社のほうは大丈夫なんでしょか」 「担当編集者さんにちゃんと言いました、もう、じゃんじゃんやっちゃってください、とのことでした」 「じゃんじゃんですか」 「じゃんじゃんですよ」
(text by 大塚 幸代)
貸しっぱなしでじゃんじゃん遠くに行く本……素敵だ。 今回、旅させるのは「新宿駅最後の小さなお店 BERG」(ブルース・インターアクションズ刊)だという。
私もBERGファンなので、著者コメント動画撮影に、立ち会わせてもらった。
BERGは、新宿駅構内にある名物カフェ。ビールもコーヒーも加工肉も全部美味くて安い、脅威の店だ。今回の本にはその奮闘の歴史が書かれていて、飲食の仕事をしている方も、していない方も、楽しめる作品となっている。というか「こんなにこだわってるのに、あんなお手頃値段で提供してるのかよ!」突っ込みたくなる本ではある。 新宿に行く機会の少ない地域にご在住の方は、「キイイイー、食べたいいいいい!」と悶えてしまうかもしれない。それだけがちょっと心配。
撮影しつつ、「あとがきのあとがき」を、書き手・井野さん(右)、迫川さん(左)に直筆で書いていただいた。「女性一人でも入れるお店作り」を考えたのが迫川さんだという(本文参照)。ありがとう迫川さん、私もよく利用してます。
https://jp.youtube.com/watch?v=bGbj5r7oTFo インタビューの模様を収録したオリジナル動画はこちら。本書の見どころガイド付き。ちなみにこの動画のDVDも、本に付けて貸し出します。
迫川さん、井野さんコメント。ちょっと画面では読みにくいかもしれないが…、貴方の手元にまわってきたトキに、じっくり読んでください、是非。
他にも店スタッフの皆さんに、書きこんで頂いた。
ベルクの店の中には、スタッフが寄稿している壁新聞(月刊)が貼ってある。多忙な店なので、別にスタッフと仲良くなるスキはないのだが、新聞のせいで勝手に親近感を持ってしまう。なので直筆にキュンと来てしまった。この左上のイラストも壁新聞でよく見かけるタッチなのだが、挿し絵じゃなくて直筆。よく見ないと印刷と間違えてしまう。 ちなみにベルクのホームページはこちら。 https://www.berg.jp/
「ああ、これいいな」という部分には、線をひいちゃってもかまいません。コメントを書き込んでも良し。
そんなわけで、本をめぐる旅、スタートするそうです。 8月6日(水)15時より、高円寺の古着店・シランプリで山下さんが本を持って待っている予定。 これから遠くに行く予定のある人、遠くに行く予定のある友人がいる人など、歓迎。 借りに行ってください!!
シランプリ 営業時間:15時から25時 電話:090-6044-0140 住所:杉並区高円寺北3-12-1 https://blog.goo.ne.jp/bashop/e/1c3a564bf0bba5875685ddfbbfdb567f
実は他の本も「旅」させる模様。和田虫象「俺の旅」、松本哉 二木信「素人の乱」、大竹伸朗「既にそこにあるもの」のほか、ちょっとエッチな本も、地下流通(主に男子同士で)するとか。 詳細はこちら参照! https://blog.goo.ne.jp/bashop/