一発逆転を狙う
そうこうしているうちに、この森のある公園の閉園時刻が迫ってきた。制限時間を残り10分に決めて、3人はふたたび森の中へ散る。
焦る。このままでは勝ち目はない。余裕の安藤さんはクワガタの見つけ方を僕たちにも教えてくれたのだが、同じ土俵で勝負しても、安藤さんに勝てる気がしない。こっちはこっちのやり方で行く。あえてクワガタエリアを離れて、森の奥へと進んだ。別の珍しい虫を探しに。
ヒグラシがシシシシシと鳴いて、なんだか怖い。これまでは木の下の方を見過ぎていたのかもしれないと思い、上を見ながら歩く。
そのとき、何か動く影が見えた。
淡い期待もむなしく、とくにドラマチックな展開もないままタイムオーバー。捕まえた虫の評価に移ることに。
いちばんカッコイイ虫は誰の手に
審査は1人1匹、代表の虫を選んで発表することにした。その後、話し合いによっていちばんカッコイイ虫を決めるのだ。
安藤さん
コクワガタ(オス)
工藤さん
クロカナブン
石川
アカボシゴマダラ
うーん、こうやって並べてみると、「コ」といえどクワガタの造形には迫力がある。恐るべし、クワガタ一族のブランド力。協議するまでもなく、満場一致で安藤さんが優勝が決まりかけた。そのときだ。森の奥から颯爽と挑戦者が現れたのだ。