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フェティッシュの火曜日
 
デイリーポータルZ:虫捕り対決〜カッコイイ虫を求めて
本気ぶりがよく表れた腰つき


 最近、虫熱が高まっている。虫熱っていうとどこかの風土病の名前みたいだが、そういうことじゃなくて、虫にたいして興味関心が高まっている。理由は、なんかかっこいいからだ。ムシキングに遅れること5年、今やっと大人が虫のかっこよさに気づきました。そしてそこへちょうどいいタイミングでやってきた8月。夏!

 夏休みだ!虫捕りだ!

 世間の夏休みムードにかこつけて、別に夏休みでもなんでもない大人3人が、虫捕りに行ってきましたよ。

(text by 石川 大樹



本気の虫捕りです

 ただ無邪気に虫捕りをするのも楽しいが、今回はより虫のかっこよさをより血眼で追求するために、対決形式にすることにした。ルールは簡単、いちばんカッコイイ虫を捕った人が勝ちだ。どれがいちばんカッコイイかは最後に話し合いで決める。

 今回、虫捕りにエントリーしたのは、この3人だ。


水曜ライター・安藤さん

小学生のころはカブトムシを捕りまくっていた。その実力はカブトムシマスターの称号がついたほど。ブランクは長いが、はたして伝説はよみがえるのか。

今日の目標:かっこいいカブトムシ
苦手な虫:ムカデなど、足の多い虫


木曜ライター・工藤さん

工藤さんで虫といえば、「クモ嫌い」。その嫌いぶりはそれだけで動画が一本撮れてしまうほどだ。嫌いになったのは中学の頃から。今ではスパイダーマンを見ただけで嫌な気分になるそうだ。

今日の目標:かっこいいカメムシ
苦手な虫:クモ


石川(筆者)

小学校くらいまではよく虫捕りに行ったものだが、他の虫には目もくれずもっぱらセミばかり捕っていた。そんな偏った虫捕りキャリアが、今回吉と出るか、凶と出るか。

今日の目標:かっこいいカミキリムシ
苦手な虫:毛虫、イモムシ


 上記のプロフィールには「苦手な虫」の項目を用意した。そう、メンバー全員、それぞれ苦手な虫がいるのだ。種類は違うが、いずれも虫捕りのフィールドにはありふれた虫ばかり。この恐怖とうまく折り合いをつけられるかどうかが、勝負の行方を左右するに違いない。

 さて前置きはこのくらいにして、いよいよ虫捕りのスタートです!

 

 

いざ、踏み込みます

舞台は森

 昆虫採集関係のサイトを見ていると、どうも昆虫採集スポットというものはあまりおおっぴらにするものではないらしい。珍しい虫が乱獲で減ってしまうおそれがあるから。

 ということで、今回の舞台は「森」だ。場所は秘密。乱獲されて困るほどの珍しい虫が捕れる気はしないのだが、通っぽくてかっこいいから秘密にしておく。


ぐわーん
鬱蒼

 公園内の散策コースなので木の道が組まれてはいるが、一歩、道を外れればかなり鬱蒼とした森だ。この森ごとザルに入れて揺すったら、きっと会議室1杯ぶんくらいの虫が捕れることだろう。その中にはまだ見ぬカッコイイ虫がたくさん含まれているに違いないのだ。飛行機みたいな虫、超合金みたいな虫、フレディ・マーキュリーみたいな虫。その中の一握りでもいいから捕まえて、あとの2人をあっと言わせたい。燃え上がる野心に足取りも軽く、意気揚々と歩く。

 

さっそく出遅れる

 そして3分も経たないうちに、安藤さんが「おっ」と声を上げて、網を振り下ろした。


なにかを確保

きょう最初の獲物
ヤマトスジグロシロチョウ(たぶん)

 さっそくチョウを1匹捕まえた安藤さん。カッコイイというよりかわいらしい感じの虫だが、しかしスタートから数分で1匹捕まえるこの瞬発力はなかなかのものだ。安藤さん、幸先がいい。

 それからまもなく、今度は工藤さんが網を振った。


工藤さんも確保
ゴマダラチョウ?(たぶん)

 工藤さんもチョウを確保。羽根の模様がシックな色遣いで、安藤さんのチョウよりちょっとカッコイイ。僕が虫を見つけられない間に、じわじわと敷居があがってくるのがわかる。

 しかも工藤さん、このチョウは羽を傷めていたので、そのままリリースしてしまった。この余裕!そして工藤さんはなぜ水鉄砲を持っているんだろう。それも余裕のあらわれなのだろうか(水鉄砲のくだりはなにかの伏線ではなくて、僕も最後までわかりませんでしたのでご了承ください。)

 

 

この中に今バッタがいるのだが

石川、初ゲットなるか

 ちょっと焦りつつも葉っぱの上を探していると、一匹のバッタが止まっているのを見つけた。よし、最初の獲物はこいつだ!すばやく網を振り下ろす。

 …無反応。網で葉っぱをバサバサ揺らしても、バッタは葉っぱにしがみついたまま微動だにしない。完全にシカトを決め込まれている。俺、なんかバカにされてるのかな。葉っぱから振り落とそうとバサバサやっているうちに、いつのまにかバッタはいなくなってしまった。

 逃したか…。

 そのときだ。


 目の前になにか緑色の物体が横切った。僕はすかさず網を振り下ろす。よしキャッチ!今の色はチョウの色ではなかった。するとなにか珍しい、そしてカッコイイ虫なのでは!


慌てて網を振る!

これは…
アミメクサカゲロウ(たぶん)

 網に入ったのは、あまり見たことのない虫だった。緑色の細い体に、透明の大きな羽。長い触角は優雅さを感じさせつつも、大きな瞳がチャーミング。全体に繊細というか、虫なのにインドアな雰囲気にちょっと親近感。「これ、かっこよくないっすか!」と言おうと思って他の二人の方を見たが、全然うらやましそうな顔をしてなかったので言わないでおいた。カッコイイ観の不一致…。

 こうして1人1種類ずつ、虫を確保した。(工藤さんはリリースしたけど)
 ここまではまだまだ肩慣らし。勝負はこれからが本番だ。

 



 

 
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