---今回は宜しくお願いします。匿名ですが、私の後輩のC太郎くんです。
「C級C太郎と申します、ライトノベル作ってますー」
---んで、Cくん。どっから話してもらいましょう…。そもそも、ライトノベルって…何?
「うーん、挿し絵付き小説?」
---ぶっちゃけた説明ですね。
「オオツカさんは、ラノベ、読んだことないんですか?」
---ごめんなさい…ちゃんとは、ないです。
「ないんすか!?」
---いや、ラノベ原作のマンガや映画は観たことがあるんだけど。いざ本屋さんに行ってみても、どれを読んだらいいのか分からなくって。BLもそう、どっから入っていいのかサッパリ分からない。面白そうだとは思うんだけど。
「うーん、肩肘はらなくても大丈夫ですよ。だってラノベって、基本はエンターテイメント小説ですから」
---なぜか苦手意識があるんですよねえ。
「知人の作家さんに言わせると、村上春樹『ノルウェイの森』がラノベの元祖だ、なんていう説もあります」
---そうなの?
「構造が似てるんです」
---………。あ、なんかちょっと分かってきた。
「主人公の男の子がモラトリアムで、可哀想な女の子と、強がってる女の子が出て来て…」
---直子と緑だ。エヴァンゲリオンで言えば綾波とアスカだ。いわゆる、ピティとツンデレですね。
「みんな心の闇が好きでしょ。闇があればいいんですよ」
---闇すか。
「C太郎的には完全に闇っすね」
---闇が入ってる、と。ほかに要素は?
「まず、そういう可愛い女の子キャラクターが出て来る」
---はい。
「あと、家族関係が見えないっていう特徴がありますね。なぜか家族が見えない、事情があって一人暮らしであったりとか。もしくは折り合いがついてないとか。」
---なるほど。
「そして、やはり恋ですねえ。あと、ほのかなお色気。」
---「ほのかな」なんですね。
「ラノベは、ほとんどの作品は、そんなにモロにエッチな要素はないですね」
---せつない感じで止めとくんですね、健全に。
「あとは強い敵がいるといいですねえ。女の子を守るために闘ったりとかね」
---ふむ。
「あと、ほっといても動き出すような設定が望ましいですね。妄想を喚起させるような。
」
---例えば?
「例えば…うーん、内戦中の国から転校生がやって来た! とか、その設定をぽん、と置いただけで、勝手に化学反応みたいに話が転がり始めるようなものが、よいですね
」
---勝手にころがりそうな設定、ですか…。マンガと作り方が同じですね。
「同じだと思いますね。
コトバに対する規制が厳しいのもマンガと同じ。例えば**とか**とかっていう表現、NGなんですよ。」
---え、そんなんで駄目なの?
「そのかわり『くるった』という表現は部分的にOKになりつつあります。新人作家さんはけっこう『くるった』っていう表現、大好きなひと多いような気がしますね」
---大好きなんすか…。
「ライトノベルにファンタジーものの作品もチラホラ見受けられるのは、そういう規制から逃れる手段であったりするのだと、C太郎は思います。『これは架空の世界の話だから』と言えば、割とどんなことでも書けますからね」
---なるほどなあ。
「例えばベストセラーの『指輪物語』も、大部分は規制の激しかった二次大戦中に書かれているんですよね」
---現代のアメリカでも、女の子のエロティックなイラストを描くのに規制が厳しくて、知人の絵描きさんは『耳としっぽを生やして、これは人間じゃないって言い張って描いてる』と言ってましたよ。
「ねえ。今はインターネットもね。ちょっとしたことでトラブルが起きやすいですからね。色んなことに注意が必要で…」
---そのせいで、皆が軽くイライラしてますよね。
「こんな言いたいことも言えない世の中じゃ…」
---ポイズン、ですね。
「ポイズンですよ」
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