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ひらめきの月曜日
 
そうだ、肉を脂で煮ればいいんだ


豚1キロを購入。

フランス料理の調理法の一つに“コンフィ”というものがある。「肉をその脂肪とともに長時間煮込み、そのまま漬け込んだ保存食」のことを言うらしい。

前から知識として知ってはいたが、フランス料理なんて滅多に食べに行かないし、行ったところでコンフィは頼んだことがない。なんでも、肉が非常に柔らかくなるという話だ。うーむ、食べたい。ものすごく食べたい。

でも、別にわざわざ店まで行かなくたって、自宅でも作れるんじゃないか? だって脂で煮ればいいだけの話なんでしょう?

というわけで、コンフィなるものを作ってみることにした。果たしてちゃんと作れるんだろうか。

高瀬 克子



まずは、豚バージョン

いきなり肉をキロ単位で買ってしまったあたりに、私の意気込みを感じていただきたい。

なんたって肉も脂も大好物だ。どうして今までコンフィ作りに手を出さなかったんだろう? と我ながら不思議に思うくらい、ドンピシャな調理法じゃないか。


こんなにデカイ肉を扱うのは初めてでドキドキします。
塩、胡椒、ローズマリー、ローリエを刷り込みました。

肉はこのまま冷蔵庫で一晩置いておき、残る準備は脂だけである。そう、豚を煮る脂だ。

最近のフランス料理はヘルシー指向だとかで、コンフィを作る際にサラダ油を使う場合もあるらしいが、とんでもない話だ。どうせやるなら、きっちり手順に則った手法で行いたいじゃないか。


そこで、ラードの登場です。

しかし、フランスでコンフィといえば「鴨」で作るのが一般的なようで「豚の場合はラードを使いましょう」などと書かれたサイトは見つからなかった。

もしかして、なにか大きな間違いを犯そうとしているのだろうか。でも、豚を煮るのにラードを使うってのは根本的に間違ってはいないと思う。いや、むしろ正しいんじゃないか?

たとえ間違っていたとしても、豚のラード煮込みってのは食べてみたい。うん。まぁいいことにしよう。


若干不安に思いながらもラードを捻り出します。
どうしても、とぐろを巻いてしまう。

 一見柔らかそうに見えるラードだが、いざ大量に絞り出すとなると、かなりの握力が必要だ。立ち上がり、全身の力を込めて両手でブリブリと鍋に出していく。

用意した3本のラードを絞り出した後は、手が小刻みに震えるくらい、結構な重労働であった。


手がこわばりました。

こんな風になったラードの姿を見たことがないせいか、ついついいろんなアングルから写真を撮ってしまう。


ああ、なんてフォトジェニック…。
生クリームじゃないですよ。ラードですよ。

なぜか興奮して、気が付いたら40枚近く写真を撮っていた。デスクトップの画像にしたいくらいだ。

 

ポイントは、低温

さて、肉と脂の用意はできた。ラードを溶かし、あとは1時間以上肉を煮れば完成となる。

どこのサイトを見ても「あくまで低温でじっくり」と書いてある。「脂が高温になると肉が硬くなる」というので温度計を片手に、脂の温度が100℃を超えないように注意するのだが…。


あっというまに100℃を超える。
なんだこのアブクは。

イカン。これはイカン。小刻みに火を止め、再び点火、を繰り返す。ひとときも灼熱地獄の台所から離れることができない。夏場のこの作業はかなりキツイ。

ああ、きっとフランスじゃ鍋をコンロの直火に当てるんじゃなくて、保温の為のストーブみたい物の上に置いておくんだろうな。やっぱり自宅で作るのは無理なんだろうか…。いや、でも…。

どうしても諦めきれず、残りの肉はオーブンで加熱することにした。


耐熱皿に肉とラードを入れ、
100℃に温度設定したオーブンに突っ込んだ。

これはいい。タイマーを2時間にセットしたら、あとは台所を離れ、涼しい部屋でテレビでも見てればいいだけの話だ。なんて楽チンなんだろう。

その間にも、オーブンの中ではラードが豚肉を低温でじっくりと煮続けてくれている。

ピピピッと音がしたら、もう完成だ。熱が冷めるのを待って冷蔵庫に突っ込み、さらに一晩待つことにした。


翌日。こんなことになってました。

いったい、中の豚肉はどんなことになっているんだろうか。さっそく食べてみよう。


 

 
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