ことしも酒かす焼酎を飲んでみよう

昨年の会場でいちばんインパクトがあったのは酒かす焼酎だった。日本酒を造ったかすで作る焼酎である。すごいだろう。かすからまた酒を作るのだ。

その独特の風味は昨年の記事では「おばあちゃんちをかじってるみたい」などと形容したが、その味が忘れられず、後日ネットで取り寄せて買ってしまった。ロックで飲むとおばあちゃんちだが、お湯で割るとまた別の風味があるのだ。別のおばあちゃんちになる。

酒かす焼酎が多い佐賀、大分のコーナーで試飲していた同好の士にいい酒かす焼酎を教えてもらった。

知らない焼酎がまた新たな焼酎につながる。酒場で情報を得るなんてロールプレイングゲームの世界だけだと思っていた。

「聖水は西のほこらにあるよ」

まるでそんな感じで教えてもらった地元神奈川の酒かす焼酎を飲んだ。うまい。いろんなおばあちゃんちがあるのだ。いまうまいことを言った気になっていたが、あたりまえのことだった。

※ 「おばあちゃんち」というのは個人の感想で、全員がそう思うわけではありません。

友達を作りたい

こんなに簡単に人とうち解けられる場はない。ひとと仲良くなるのに最低5年かかる僕としては大興奮の体験である。いろんなひとにうまい焼酎を聞いて回ってみることにした。

………のだが、正直に言うとここから先はもやにつつまれたような記憶しかない。しかし撮影係として同行した編集部工藤さんのカメラには、知らない人と談笑している僕の姿がたくさん納められていたので当初の目的は達成できたのだと思う。

曖昧なままにこのときあったことを書くと

・年に1回、このイベントでだけ会うというおじさんふたり。とても仲が良かった。七夕みたいな話だけどおっさんだ。
・「なに飲んでるんですか？」と聞いたら「酒なんか飲んでねえよ」と言われて、そうだ、こういう酔っぱらいもいるんだっけ、となぜか嬉しくなった。
・親切心から会場中の空になった瓶を倒しているおじさん（酒飲みはそうしないとあると思ってついじゃうから）。

記憶が曖昧なので文字を薄くしました。

会場の奧にいいスペースがあった

会場の奧にカーペット敷きになって少し高くなっているスペースがあった。立って飲むのに疲れた人たちが座り込んで飲んでいる。

「猿の惑星」のラストシーンのような気分である。ステージがすっかり飲みスペースになっていた。しかし係の人もそれをとがめるでもなく片付けていた。優しい。