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フェティッシュの火曜日
 
高級珍味、からすみを作りたい


3,000円くらいだと思っていたのに。ゼロ1個多いよ。

 ウニ、コノワタと並んで日本三大珍味とも呼ばれるからすみ。値段がかなり高いという話なので一度も食べたことがなかったのだが、魚好きの大人としては一度くらい食べておきたい。

高いといっても数千円程度だろうとデパートに行ってみてビックリ。長崎県産からすみに17,850円という景気のいい値段がついていた。しかもよく見たら100グラムあたりの値段だった。写真右のからすみは、163グラムで29,095円也。魚卵というよりも小判の値段だ。

これはちょっと「二日酔いに絶対効く!」とかの枕詞でもないと買えない金額である。仕方ない、作るか。

玉置 豊



からすみの材料はボラの卵

からすみの材料はボラの卵。ボラというと、当サイトを運営しているニフティの近くの川などでもたまに見られる、わりと身近な魚である。


ボラ。「ニフティのそばでボラ大漁発生」の壁紙より。

こんな身近な魚の卵なのに、タラコよりもイクラよりも高いなんて。もしかしたら下手なキャビアよりも高いかも知れない。

からすみを作るために、どっかでボラを釣ってこようかと思ったのだが、知り合いのお寿司屋さんに聞いたらボラが抱卵しているのは秋から冬だといわれてしまった。今の時期は釣っても卵がないらしい。

 

タイの卵でいいか

さて困った。もう今すぐにからすみを作ってみたいのに。

しかし、からすみについて本やらネットやらでよくよく調べてみると、ボラだけでなくいろいろな魚卵でつくられていることがわかった。香川県ではサワラ、遠くヨーロッパではタラやマグロの卵を使うらしい。魚の卵巣を塩漬けにして墨の型に干したらなんでもカラスミになるっぽい。

なんだ、じゃあなんでもいいやと魚屋に買い出しへ。入手しやすいタラの卵でも買おうと思ったのだが、それだとカラスミというよりただのタラコになってしまいそうなので、アラコーナーにあったタイの卵を買ってきた。


石川県産天然真鯛の卵。200円。

ちょっと小振りな卵だが量は充分。これだけあれば一生分のからすみができるに違いない。

 

血管から血を抜く

からすみを作るには、まず卵巣を包む膜にある血管から血を抜くことからはじまるらしい。

膜を破らないように竹串で血管に穴をあけ、そこから血を絞り出す。この作業は仕上がりの見た目の問題らしいので別にやらなくてもいいみたいだが、やってみるとすごい狭い範囲でのお医者さんごっこみたいで楽しい。血栓除去とか。


たのしい。

このように膜をやぶらないように丁寧に卵を扱っているのだが、この卵、残念ながら最初から思いっきり膜が破れている。

売っているからすみを見るとわかるのだが、もともと卵巣は二つがセットでつながった状態なのだが、この卵は一腹分が半分に分けられてしまっている。つながっていた部分が切れているのだ。


ここで二つがつながっていないといけない。

これでは破れたところから卵が全部流れ出てしまうのではという不安があるのだが、買い直すのも面倒なので、とりあえずこれでいってみよう。

あまりに破損が酷いものは、春雨ヌードルに入れたらうまかった。


口に入れるとホロホロと崩れてうまい。

 

 
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