まずは縦糸から
それでは事前に調べておいたクモの巣作りを参考に、同じ要領で張っていきたいと思う。
まずクモは枠糸を張る。枠糸というのは読んで字のごとく巣の枠となる糸だ。クモは枠糸を張るときには尻から糸を出しながら空を飛んで川の上を行ったり来たりするらしい。いきなり無理だ。今回はジャングルジムを枠としているのでこの工程は省くことにした。
クモは次に対角線上に縦糸を張る。僕の巣作りはここから始めることにする。
縦糸張りはジャングルジムのマス目に沿って糸を配していけばいいだけなので、巣の設計としては本家クモよりも数段楽なはずだ。しかしそんなにアドバンテージをもらってばかりでは勝負として卑怯だ。ということで今回は本物のクモに習って、巣を張っている間は地面には降りない決まりにした。本物のクモならば張り終えるまでに1時間とかからないということだが、果たして人としてクモより速く巣が張れるのだろうか。
ジャングルジムの上で体を保持しながら巣を張るというのは全身の筋肉とバランス感覚を最大限に要する。縦糸を張るために対角線上をいったりきたりするうちに全身から滝のような汗が噴き出してきた。僕の体の大きさに合わせて巣を作るのならば、本来はもっと大きな規模であるべきなのだが、今の僕にはこのサイズが限度だ。やっぱクモすごい。
次に横糸を張る
対角線状に縦糸を張ったら次はいよいよ横糸だ。実際にはクモは横糸を張る前に足場となる糸を粗い螺旋状に張り、それを踏みながら細かい横糸を張っていくのだという。人の場合、今回はジャングルジムを足場にしたらいいので足場糸も省略する。
横糸は外側から内側へ向かって螺旋状に張っていく。クモは横糸張りの作業が進むにつれて足場糸を切っていくそうだが、人の場合横糸が増えても足場をなくすわけにはいかない。やってみて、初めてわかるクモの賢さ(字余り)。
この時期の外での作業はとにかく蚊との戦いだ。本来ならば食う側なのに(クモだから)、逆に刺されるなんて逆だろう。と腹がたったが冷静になるとそれで合ってる。
螺旋状の横糸張りが中心に近づくにつれ、自分自身はほとんど動かずに作業が進むようになってきた。ここまでの所要時間約30分。いいペースだ。
最後の横糸を縦糸に縛り付けると僕の巣が完成した。やった。
こういうわけのわからない記事は達成感が命だ。正直疲れてふらふらで感動どころではないが、完成したことが素直にうれしかったので記念にクモみたいに逆さにぶら下がってみた。
ダイエット効果もありそうです
クモスーツを脱ぐと全身ずぶ濡れだった。黄色いテープが空気の対流を止め、衣服を体に密着させる。まあこの状態でジャングルジム遊びを40分間していたのだ、大雨に降られたかのような状態になっていても不思議ではない。
張ろうぜ、クモの巣!
クモの巣張りは思った以上に重労働だった。本当ならばもっと横糸を細かく張っていきたいところだが、あれ以上やったら落ちていただろう。やっぱクモすげえ。これからは藪で頭にクモの巣がひっかかっても怒るのではなく謝りたいと思う、クモに。だってこんなたいへんな思いをして張った巣はやっぱり愛着があるだろうから。
今回は全編にわたって多用したジャングルジムの写真が赤くてかっこよかった。なんとなく大山さんみたいじゃないか、と編集部で話してみたのだが大山さんは巣とか張らない、と一蹴されてしまいました。確かに。