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フェティッシュの火曜日
 
いれずみのマナー

こういうお店も増えた。だからこそマナー!

 昔から「一度は刺青入れてみたいなぁ」とは思っていた。ファッションとして入れるのもどうか、と思うけど、自分の好きな意匠を見てニヤニヤするのも楽しそう。とはいえ「でも一生残るもんだし」と考えると、それにふさわしい柄が思いつかず三十路も半ばに。でもやっぱ入れてみたいなー。

意匠のセンスや入れるまでの度胸は人それぞれだけれど、実際入れてから体験する「他人の目」や「困ったこと」「気をつけるべきこと」は同じはず。実際どうした困ったことがあり、背負う以上はどう過ごすべきなのか。そうした「いれずみのマナー」を聞いてみた。

大坪ケムタ



見せていい場所悪い場所をわきまえよう

わざわざサウナやライブハウスなんか行かなくても、最近は刺青もしくはタトゥーをしてる人は珍しくなくなった。20代くらいでファッションに気合い入れた人が友達にいる人なら、ひとりやふたり刺青を入れてる人がいてもおかしくない。不良系ファッションだけでなく、最近はセレブも入れてたりするし。

今回話をうかがったのは、縄師の奈加あきらさん。20代後半で入れ始め、中断しながらも36歳の時に完成させたという背中の刺青は数々のタトゥー雑誌のグラビアを飾っており、演技力とその「本物の彫り物」が買われて役者としての仕事も多い。


背中は凄いけど、普段は爽やかなおじさまです。

もったいつけるようだけど、奈加さんの背中の彫り物は最後のページでお見せしようと思う。「こういうことを語る人はどういう刺青を背負ってるのだろう?」と想像しながら読んでくれた方が面白いと思うからだ。それに、実際もったいつけるに足りるものだけに。

この日の取材場所は高円寺。ロック度数高い街だけに、タトゥー入れたバンドマンたちが多く行き交う。そろそろ一般化し始めた感のある刺青・タトゥーについて奈加さんはこう言う。


「ワンポイントくらいならいいけど、腕や足にビッチリ入れてる奴らもいるじゃない?ああいうのは何とかしろよって思いますよね。周りを威圧してる風にしか見えないから」

−−実際カッコイイっちゃカッコイイんですけどね。

「やってる側は自分のを見慣れてくるから『怖いもんじゃない』って思えてくるんですけど、ハタから見ればやっぱり怖いですよね。自分がガキの頃はちらっと見えただけで『ひえー!』って思ってたじゃないですか。それが普通だと思うんですよ。大きかろうが小さかろうが、絶対ヒきますもん」

−−自分も「刺青イコール怖い人」って思ってましたね。今でもその印象はありますけど。

「僕らが外に露わにして出歩けるのは三社祭りの時だけですよ(笑)。出してたら間違いなく捕まりますからね」


毎年浅草の三社祭は参加しているという奈加さん。ガッチリ刺青の入った仲間と神輿かついでるだけに、その姿もさまざまなメディアでとりあげられたそう。

上写真を見れば分かるとおり、そろそろ暑くなってきたというのに奈加さんはまだ長袖。これがまさに奈加さん流の「いれずみのマナー」その1。


「普段は夏でも長袖ですね。あと僕の場合はヒジ上の所まで入ってるんですけど、半袖もサポーターをつければ着れるんですよ。あと僕の場合は短パンも大丈夫なんで、比較的快適ですよ」

−−わざわざサポーターって珍しいですね。

「自分で開発したんじゃなかったかな。『二の腕用』ってのがないんで『ヒジ用』とか『太もも用』とかいろいろサイズ買ってみて試したんですけど、『ふくらはぎ用』がちょうどいいんですよね」

−−涼しさと隠すのを両立するのも大変ですねぇ。

「ちょっと前のダボっとしたTシャツとは流行の時期は良かったんですけどね。でもやっぱり本業の人(いわゆる怖い系の職業の人)も、上の方は普段は隠せって言いますよ。長袖かスーツ着るようにして。下っ端はちらちらやってますけど」


サポーターはこんな感じ。プヨった腕はライターのです。

あと、やはり脱ぐ機会というとお風呂。先に書いたように「いれずみお断り」な場所も多いそうだけれど、奈加さんの実感だとサウナだと20%、温泉だと70%がOK。あと街の銭湯だのほとんどは大丈夫だけど、いわゆるスーパー銭湯・健康ランド系はほとんど難しいそう。そこで再びいれずみのマナー!


「やっぱりお風呂なんかだと隠すわけにもいかないじゃないですか。だから明るく自分から声かけていきますね、『こんちわ、こんばんわ』って。黙ってムスっとしてると、サーッと消えていっちゃうんですよ」

−−びっくりするのは仕方ないから、雰囲気だけでも明るく、ということで。

「声かけて入って来られると、意外と『いい彫り物ですね』なんて声かけてくる人もいるし。黙ってると、頭洗ってる間に皆いなくなっちゃうんですよ(笑)」


街の銭湯がほとんどOKというのは意外だったなぁ。でも考えてみると、自分が背中一面に彫り物がある人を初めて見たのは学生時代通ってた銭湯だったもんな。

あと服を脱ぐ機会といえば「海水浴」。もちろん人前では披露しない奈加さんは泳ぐ時も常にTシャツ着用。でも、こんな時には脱いだりするんだとか。


「海水浴に家族連れなんかで来たりしてる時、たまにウザいのが来たりするんですよね。ビール飲みながら偉そうに足から歩いてくるようなヤツが」

−−マナー守らない人っていますよねー。

「そういうのに限ってショボいの(刺青)入れてるんだよね。そういう時って周りの家族連れって、皆疲れてまで海にやって来て気も使ってるわけじゃないですか?その上そんなのまで来たら最悪ですよ。敷物をちょっと遠ざけたりしてね。だから、そういう時はパッと服脱いでそいつらの前に出るんですよ」

−−背中の凄いのを見せつけるわけですね(笑)。

「だいたいどっか去っていきますね(笑)。中途半端に入れてるヤツほど恥ずかしくて居れなくなりますから。それ確認したら、またパッと服着て」

−−カッコイイなぁ!

「あとは知らん顔ですよ。それもマナーでしょ?」


ドリフターズのサウナを舞台にしたコントで、オチに高木ブーが全身刺青で登場、というものがあったけれど、それ以上にリアル!実際、ライオンのたてがみやクジャクの羽のような意味あいがあるものなんだなぁ。


 

 
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