岩の下を行くのは男の子の夢
同行してくれた友人の渡辺はまだ学生である。来年からは原発で働いたりするらしい。巨石をくぐりぬけたり原発で働いたりする男、なんてアドベンチャーなやつなんだと感動した。
汚れてもいい格好で行くことをお勧めします
太った人はどうするんだろうかというほど狭いところをずりずりくぐっていく。もちろん服はどろどろになるし、窪みに水がたまっていて足もびっちゃり。
それでこそ、それでこそアドベンチャーだ、という気概で進む。洗濯物を出すときお母さんに怒られてこそのアドベンチャー、汚れとシミに酵素が効いてこそのアドベンチャーなのだ。
30分はアドベンチャーたっぷり
暗いところを抜けると風が吹いている。巨石を見上げると木漏れ日が射していて大変気持ちがいい。コース自体はそれほど長くはないが、巨石をくぐっては抜け、くぐっては抜けするので何度もアドベンチャーを味わえて満足度は高い。
でもお高いんでしょう?と心配される方も多いとは思うが、ご安心を。大人ひとり500円のワンコイン巨石体験である。何で宣伝しているのかよく分からなくなってきたが、とにかくお手軽アドベンチャーだ。
おなかいっぱい
「そうだ、今こそ、アドベンチャー」ってこのことか、という思いがずっとループしっぱなしの30分だった。出口を抜けてもまだ巨石地帯は少し続く。下をくぐっていた岩窟を外から見ていると浮ついた気分が徐々に着陸していく。
そして現実に着地
神社の人が「ずーっと自然のままですから」という巨石地帯を抜けると社務所前に出る。異世界から現実に戻らせる趣向がなだらかでうまい。巨石から天照大神を経て自転車に、と徐々に体をならしながら現実に着地するのである。
社務所にタスキを返すと神社の人は「ようお参りさんでした。」と声をかけてくれる。アドベンチャー後で顔がもうホクホクしてるのがばれないように、とキュッと眉間にしわを寄せて霊験あらたかさをアピールしてみたのだが、そういう場合はほとんどばれているものである。残念であるので、今年は「巨石に浮かれない夏」というのをテーマに掲げることにした。