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ひらめきの月曜日
 
今度こそメンマを作りたい

乾燥? 塩漬け? 発酵?

「メンマの作り方」で検索をかけても、ウソ記事以外、そのほとんどが既製品である塩漬けの戻し方だったり、水煮に味を付ける方法だったりで、作り方が詳しく載っているサイトは見当たらなかった。

探し方が悪かった可能性もあるが、やはり日本に生えているタケノコでメンマ作りは不可能に思える。

なんといっても肝心のマチクが手に入らないし、しかも「乳酸発酵」させなければいけないらしいのだ。発酵なんてどうすれば出来るっていうんだ。どれくらい時間がかかるのか見当もつかない。万が一、腐らせでもしたら目も当てられない。

さらにそれを乾燥して塩漬けにするのだという。


「発酵」と聞いただけでサジを投げた。

とりあえず発酵は無視するとして、乾燥だけでもさせてみようか。それっぽくなるかもしれない。

えーと、切り方はこれでいいのかな?


ハチクはアク抜きしなくても大丈夫だそうですよ。
とりあえず切ってみた。

なんだか妙だ。だいたい、こういう形のメンマを見たことがない。節だらけじゃないか。私が「メンマは割り箸で出来ている」とウソが書けたのも、メンマには節がないからだ。こんな節だらけの割り箸なんて存在しない。

中国のタケノコって、一体どうなってるんだ?


仕方ないから、やみくもに干した。電子レンジも使った。
 そしたら、こうなった。

水分が飛んで、このまま長期保存も可能じゃないかと思えるほどに、すっかりカラカラだ。


せっかくだが保存しておく時間はない。すぐに水で戻す。

戻し始め。
そして一晩経過。

おお! ハチクがふっくらして、ほぼ元の大きさに戻ってるじゃないか。

ここまで来たら、あとはゴマ油で炒めて想像力を頼りに調味料を加え、自分好みの味で煮ればいいだけだ。


なんちゃってメンマ1号、完成。
なるほど、こういう味か。

本物のメンマのような柔らかさはないが、頼りがいのある歯応えはある。決して硬いという意味ではない。噛み応えバツグンと言った方が正しいかもしれない。少なくとも、きんぴらゴボウよりはよっぽど歯に優しい。

えーと、肝心の味は「タケノコのきんぴら」以上でも以下でもありませんでした。ま、これはこれでおいしい。

 

塩と熱を忘れていた

もちろんこれで満足するつもりはない。少しでもメンマっぽくするには、塩蔵してから乾燥という手続きを踏むべきだったんじゃないか? ほんの少しでも発酵に近づけるため、やはり加熱も必要だろう。


茹でたらジップロックに入れて
これでもか! と塩を投入し、しばし放置。
それを干したら真っ白になった。カチカチですよ!
これも水で戻しました。ふっくら。

1号の時より、色がさほど変わってないのが嬉しい。

今だから言えますが最初のあれ、汚らしかったですね。自分で作った物だから食べられましたが、もしも人の家であれが出てきたら「客に傷んだ物を食べさせるのか」と料理人の人間性を疑うところですよ。

さて、色はともかく味には満足だったので、今回もさっきと同じように作ってみた。


2号完成。おや? 色がメンマっぽくなったぞ!

別に醤油の量を増やしたわけではない。なのに、なんだか色がグンとメンマっぽくなってしまった。何故だ?
さらに、味も良くなっている気がする。というか、よく染みていておいしい。

干しの効果を検証するため、最後に茹でただけのハチク(乾燥してない)でも同じように調理してみた。


あらキレイだこと。

これが一番「きんぴら」っぽかった。普段よく食べている硬さ(つまり柔らかい)ではあるが、干したタケノコのたくましい歯触りに心地よさを覚え始めていた舌には少々物足りなく感じられる。

比較のため、3つを並べてみた。


なるほど、違うもんですね。

店によってメンマの色が違うのは当たり前だが、今回はどれも同じ分量の調味料だっただけに、色の違いが興味深い。どういう原理なんだろう。

そういえば干したハチクを煮ているとき、小さくシュルシュルシュル…という音がしていた。きっとあれは調味料を吸い込んでいる音だったんじゃないかと、今さらながらに思えてきた。


ちなみにこれは買ってきた正真正銘のメンマです。
キャラクターが熊。ラーメン食べてますよ。

改めて本物のメンマを食べる。あっ…。まったく違う。すっかり忘れてた。そうだ、メンマってこんな味だった。「なくし物をして足元を探していたら、それが頭上から落ちてきた」くらいに見当違いなことをしていた気がする。例えとしてどうかと思うが、それが正直な感想だ。

口に入れただけで「似せようなんて考えること自体おこがましい」という気分にさせられるほどに、違った。

この味は、きっと調味料だけでは再現不可能だ。たぶんメンマ独特のこの味こそが「発酵」の為せるワザなんだろう。発酵ってすごいな。

メンマは偉大だ

私が作ったものはどれも「なんちゃって」どころか「共通点は種類がタケノコなだけ」の煮物だったわけだが、おかげで発酵の威力がよく理解できた。

発酵食品は好きだしよく食べているつもりだが、まさかメンマまでとは。発酵、恐るべし。さすが中国四千年の歴史。

それはそれとして、中華風タケノコ煮込み(なんちゃって、改めさっそく改題)はとてもおいしかった。今後もしも大量にハチクをいただくような機会があったら、塩漬け乾燥させたものを長期保存したいと思う。で、好きな時に戻して食べよう。

メンマ作りの夢は破れたが、新しい楽しみが増えた。それだけでいいことにしたい。

食べたかったら買えばいいんだ。簡単だ。

 
 
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