ある日、「生徒の前で30日間マクドナルド生活の事について喋って欲しい」というメールが来た。メールは高校の先生からで、2年生の前で話して欲しいとの事だった。
まず、うろたえた。僕は普段、仕事などでは人前に立って話をする事なんて無い。少人数の会議なんかで話すことはあっても、1学年、70人の前で話した事なんて無い。しかも5分や10分じゃない。50分だ。
・・・・やれんのか、オレ・・。
という様にうろたえたのだが、「よろこんで」と返信した。不安と裏腹に大胆な行動を決めてしまう。そんな性癖は今回も現れ、僕は高校生の前で50分間話をする事になった。
今回はその顛末をお話ししましょう。
(text by 松本 圭司)
■まず、一応説明
ところで「30日間マクドナルド生活」とはなんぞや?という方もいらっしゃると思うので説明させていただこう。
僕の名前は松本圭司と言いますが、マツモトケイジという名前で本を出したことがあります。(※「30日間マクドナルド生活―自分の体で実験してみました」祥伝社 ISBN-10: 4396612680)
2004年の10月に、マクドナルドの食べ物ばかりを1ヶ月食べ続けたらどうなる?という企画を自分のサイトでやりまして。それがちょっと人気になったので調子に乗ってシリーズ化したんです。
全部で5シリーズ。30日間カップ麺生活やカレー生活、離乳食生活などをやりました。そのうち、マック生活、カップ麺生活、書き下ろしの避難訓練生活で1冊の本になりました。今回は、この本が縁となって講演をさせていただくことになりました。
ちなみに、マック生活は訳あって2006年の10月にもやってます。
以上、説明終わり。では本編スタートです。
■西八王子の大竹学園にお邪魔しました
冒頭に書いたような事情で、僕がお邪魔したのは西八王子の駅近くにある「学校法人 大竹学園 大竹高等専修学校」。
生徒数は約200人。家政科と食物科があり、食物科の場合は国家試験免除で調理師免許が取れるという。調理師免許、欲しいなーと思っているのでなんだか羨ましい。
僕が住んでる葛西から西八王子まで電車で1時間半くらい。登山の為に奥多摩に行く場合よりは大分近い。駅に着くと、1台の車が止まっていて、担当の先生が待っていてくれた。
■大竹先生です
左の写真が、僕に講演依頼をして下さった大竹先生。筧利夫に似てるなぁと思った。授業は社会を教えているとのこと。
「前の学校では数学を教えていました」
更に調理師免許も持っていたりする。歌って踊れる、みたいな先生だ。
「今日は総合学習という時間でお話ししていただくことになっています。」
との事。なるほど、総合学習ってこういう事もするんだ。
「まず最初に授業をしていただくホールをご覧になりますか?」と、案内された。
200人ほどが入ると思われる大きめの教室で、ズラリと机が並べられていた。うひゃー、ここでオレ、喋るのかー、漠然としていた不安が急に実体化され、足もとから這い上がってくる。
更に3年生の授業風景や、ズラリ並んだ賞状やトロフィーを見せてもらった。大竹学園は去年の全国高等専修学校体育大会で・スポーツ吹矢と自転車で優勝したのだそうだ。
吹矢に掛ける高校生の青春・・・・興味深いですな。
■いよいよ出番が近づいてきた
学校案内のあと、お茶を飲みながら校長室で雑談をしていた。きっと僕の緊張をほぐそうとしてくれたのだろう。ゲームの話などをしていた。
そうこうしているうちに時間が過ぎ、授業の時間になった。4階に登っていくと、さっきは無人だったホールにちらほらと生徒が集まっていた。
思えば、恥の多い人生を送ってきた。上手くやろうとしても上手く行かないことが多く、思い出しては体から力が抜ける記憶で僕の頭はいっぱいだ。
今日は上手くやれるだろうか。いや、上手くやれようはずがない。だって、人前でしゃべるとか超苦手だし、酔ってればまだ大丈夫だけど、ものすげー素面だし。昼間だし。
高校生ってなにに興味持つかよくわかんないし、あー、どうしよう、なにしゃべろう。パソコンにしゃべる内容を入れてきたけど、これでいいのかな!
「松本さん、そろそろいいでしょうか?」
「は、はい!」
チャイムとともに、授業が始まった。