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フェティッシュの火曜日
 
タキシードハイキング


飴や炭水化物、スポーツドリンクに水やタオル、2時間程度のハイキングでもこれくらいは準備しておきたい

梅雨に入る前の晴れた日にどこか行楽にでかけたいと思って高尾山に出かけた。

事前にHPで調べていると山をあんまりなめなさんな的なことが書いてあった。飲み物とは別に傷を洗ったりもできるから水を持っていきなさい、とか、飴を持っていくとこまめに疲労回復できますよ、とか。

ちょっとハイキングにでも、で遭難したらそりゃ残念だ。今回はきっちりした気持ちでハイキングに臨むことにした。

大北 栄人



テーマは「山をなめない、山にもっと敬意を」

山をなめてはいけない。山は、そして自然は、もっと神聖なものなのだ。

今回の高尾山だってアクセスのよさから軽く見てしまうがあのミシュランが三ツ星観光地に選んだりするほど良い自然が残っている。自然に対する敬意はそのまま地球に、そして自分にも帰ってくるはずだ。

残念なことに山のことを全く知らないので今のは説得力が一切なかったが、とにかく僕は山に敬意を払うと決めたので、タキシードででかけた。


「どうもこんにちは。ジェントルマンです。」

駅前の道案内を越えると周囲の視線がそわそわしはじめた。違和感のラインはここだ。

タキシードの非日常感

タキシードを買った。痛い!と声に出るくらいの出費だった。多分今後パーティーとか呼ばれるしな、と自分に言い聞かせながら買った。

鏡に映った自分はまさに非日常だった。せっかく非日常を買ったのだから、今日の一日はジェントルマン気分でお伝えしていこうと思う。誇張した表現になったりもしますが、せっかくなのでうそみたいな一日にお付き合いください。

 


この夏はタキシードでライバルに差をつけろ的な
フランスパンがにょっきり出ている後姿もまた優雅

左の親子が指をさすほどに優雅である

うっかりおもしろリフトに

ゲラゲラ笑いながら降りてくる人がいるなーと思ったら、爆笑しました!と声をかけられて驚いた。そんな声のかけ方があるのか、とも驚いたが爆笑の対象が私であることに驚いたのだ。

リフトがすれ違うので出し物みたいに見えるのだろうか。残念ながら私がしたいのはハイキングであって演芸ではないのだ。


高さにひるんですぐおとなしくなったのではあるが

私は颯爽と駆け降り
私は頂上を目指すのだよ

周囲の視線が標高に比例する

電車では目立たなかったのに、標高が上るほど周囲がざわつくような気がする。

撮影中の反響は記事にする際の目安になるのでありがたいのだが、この日余り気分が乗らなかったのは朝のことがあったからだろうか。

始発前の六本木で

とても個人的なことであるが当日の明け方、なぜか足の踏み入れたことのない六本木駅で始発を待っていた。

大勢の外国人含む夜遊びに慣れた人達が電車を待っている朝の風景に、これが六本木…と感激してカメラを回していたら「オイ、カメラ撮ッテンナヨ!」とからまれた。

怖かった。恐ろしかった。ラテン系の言語でまくしたてられ、白目をひんむいて「死ぬ…」と、その場に倒れそうになった。底抜けに恐ろしかった。日本は戦争に負けたことまで実感した。

そしてそのとき私は「これからの人生、もうあんまり調子に乗らないでおこう…」と誓ったのだった。

 


調子に乗らないと誓った8時間後だったので複雑な気持ちに

 

 
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