野良猫のあとをついていってみたい。みかけるたびに憶えるそんな衝動。ずっと我慢してきたけれど、そろそろかなえてもいい頃じゃないだろうか。 自分の気持ちに正直に、思うぞんぶん野良猫を追いかけてきました。
(text by 櫻田 智也)
町をうろつく
せっかくなら知らない猫にめぐり逢いたいと思い、来たことのなかった町へ。 知らない町で野良猫についていく。なんだか素敵じゃないだろうか。 というわけで、はじめての場所で猫をさがしてうろうろ。
そういえば、手車のことネコって呼ぶよね。
さて、いざさがしてみるとみつからない野良猫。
ここにいたら野良というより野生
野良猫発見
だがあたりをよくよく眺めてみると、
やはり猫は近くにいるのだ。ペットボトルのある畑の脇を抜け、道を進んでいく。
あ
一瞬みえた猫の姿。だが小柄なそいつは水路を利用してあっというまに姿を消してしまった。ううむ。もしかしたら、これは困難なミッションになるかもしれない。
とりあえず猫が逃げた(と思われる)方角へと歩いていくと、畑と草原のひろがる場所にでた。子供の頃にはこういう原っぱがたくさんあったなあ。なんて思いながらあたりを眺めると、なにやら動く影を発見。
草原に野良猫発見! 一匹だけでのんびりと歩いている。よし、この子についていってみよう。原っぱなら簡単に見失うことはなさそうだが、注意すべきはこちらが隠れる場所も少ないということ。
土地の起伏を利用して身を隠す
猫についていこう
ひろい草原を渡り、住宅の建ち並ぶほうへと歩いていく猫。 やばい。もう少し距離を縮めておかなくては。
距離をつめたい
と、焦って動いたのがいけなかった。こちらの気配を察知した猫は生垣の隙間をもぐり、家の庭へと入ってしまった。あちゃー。
覗くも姿はみえず
ひょっこり
あわわわわ。いきなりでくわしたので驚いてしまった。猫のほうも固まっている。 刺激してはいけない。おまえなんかに興味はないよ。というフリをして、安心した猫がゆっくり動きだすのを待つのだ。 平静を装うため、軽く口笛なんぞ吹いてみた。そうしたら、
逃げだした
しくじったー!
だがここでぼくも走れば、猫はさらにスピードをあげて逃げるだろう。 ぼくは決して猫を追い立てたいのではない。彼らの散歩にこっそり付き合いたいのだ。
方角だけはしっかりおさえ、あえて距離をおいてゆっくりぼくも歩きだす。 通りにでて、猫が逃げた方向に進んでいくと、
これこれ! このアングルが理想!
また逃げられる
のんびり散歩する猫にうしろからついていく。うーん、いい感じだ。 でも幸せは長くはつづかない。
小屋の中へ
うわあ、小屋に入っていっちゃった。結構幅のある建物なので、あそこを向こう側に抜けられると一気に見失う可能性大だ。できるかぎり方向だけでもつかんでおこうとバタバタと駆け上がったら、
ありゃりゃ! 猫は小屋に入ったのではなく、入り口の前に詰まれた袋の上に座っていた。ひと休みしていたところにいきなりぼくが駆け寄ってきたものだから慌てて飛び退いた。 うーん、悪いことをした。
牛小屋でした。彼らもびっくりしてた