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ひらめきの月曜日
 
立ちそバトル
生活をF1に例えるならば、立ちそばはピットイン。時間が勝負だ


もうすぐ打ち合わせの時間。取引先に急いでいかねば。しかし、どうしてもお腹が空いてしまい、早く行かなくてはいけないんだけど駅の立ち食いそば屋に心惹かれることはないだろうか。

僕にはある。

会議に遅れたくはないが、このあとのスケジュールを考えたらなかなかご飯が食べれない。ここで軽く何かを口にしておきたい。時計を見ると少し時間に余裕があるように思う。しかし、ご飯を食べたらきっと間に合わない。でも食べたい。そんなことはないだろうか。

僕にはある。

そこで、どの駅の立ちそば屋さんが提供時間が早く、タイムロスが少ないのか調べることしました。これでもう、会議中に空腹で悩むことはないはず!

(text by 梅田カズヒコ



今回は自宅からニフティまでのルートで考えてみました

今回はニフティでの打ち合わせに急いで向かう途中、どうしてもお腹が空いた場合を想定してみよう。

僕の自宅は京王井の頭線にある。ニフティは京浜東北線の大森駅にあるのだが、自宅からは井の頭線→(渋谷のりかえ)→山手線→(品川のりかえ)→京浜東北線というルートで向かっている。もしも駅の立ちそばが食べたくなった場合、途中下車するとすればやはり狙いは山手線の中のどこかの駅だろう。電車の本数も多いのでタイムロスも少なそうだ。

そこで、このルートの中で1・渋谷、2・恵比寿、3・目黒、4・五反田、5・大崎、6・品川、各駅の立ち食いそば屋で提供速度を調査しタイムロスがもっとも少ないそば屋さんを探してみたいと思う。

もちろん、1分1秒を争っているという設定なので、一番提供時間が速そうな『かけそば』を注文することにした。

この場合のタイムロスは細かく分けると以下のようになる。

 

打ち合わせに向かっている途中にどうしてもそばが食べたくなってしまったときに考えておかなくてはいけないタイムロスのガイドライン(作成:梅田)

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間(往復で×2)
B.店頭で食券を買う時間
C.注文してから提供されるまでの時間
D.そばを食べる時間
E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。

このうちのそばを食べる時間に関しては自分の努力次第、どこで食べても同じぐらいだと思うし、の電車を待つ時間は運によるところが多い。

の電車からの近さとの提供されるまでの時間あたりが肝心になってくるのではないか。このあたりを重点的にチェックしていきたい。


渋谷の立ちそばは支払にSUICAが使える。便利(−5秒)
食券を置く場所がうどんとそばによって違う。合理的だ。(−2秒)
電車からの距離が近い。これはかなり時間短縮になるぞ。

渋谷駅の場合

渋谷駅には駅構内にあじさい茶屋があった。あじさい茶屋は東京近辺では名の知れた駅の立ち食いそば屋さんだ。

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間
1分15秒(往復×2)=2分30秒
電車からそば屋までのアプローチはわりと近いが(品川方面に向かうホームにある)、この駅は日本有数のターミナルなのでとにかく人が多く、歩きづらい。急いでいる(という設定)の自分は多少いらいらする駅だ。

B.店頭で食券を買う時間
10秒
反面、券売機はSUICAが使え、かつ食券を置く場所がうどんとそばコーナーに分かれているので、店主に『うどんですか? そばですか?』と聞かれる手間が省ける。なかなかいいサービスだ。

C.注文してから提供されるまでの時間

47秒44
店主の熟練の技で手際よくそばが提供された。やはりかけそばは提供される時間が早い。

D.そばを食べる時間
計測してみたら僕が急いでいるときにかけそばを食べる時間は2分8秒だった。以下、ほかの駅でもこの時間を参考にする。
2分8秒

E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。
電車のタイミングによるため計測不能。とりあえず今回は2分と設定する。
2分

計(A+B+C+D+E)
7分35秒

渋谷駅で立ちそばを1杯食べることによってロスする時間は7分35秒
これを今後の基準値としたい。

 

エスカレーターを使わないとうどん屋に出られない。かなり痛いロスだ。(+15秒)
『はなまるうどん』のように、トレイに乗せて会計に向かう方式。普段は嬉しいが急いでいるときは面倒くさいルールか。(+10秒)
提供時間は1分5秒。お会計の時間が明暗を分ける結果に。

恵比寿駅の場合


恵比寿駅はホームを上って改札階に出たところにさぬきうどんのお店がある。今回は『立ちそば』限定のためうどんはパスしようかな、と思ったが、おなかが減って急いでいればうどんでもそばでもいいだろう、というわけでかけうどんを食べる所要時間を計測することにした。

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間
1分30秒(往復×2)=3分
ホームをあがるにはエスカレーターを使用するしかなく、急いでいる身にとっては辛い。ここは片道1分30秒かかると想定しよう。

B.店頭で食券を買う時間
0秒
このお店は食券を買うシステムではなく、口頭でオーダーを伝える方法だった。よって、食券を買う時間は実質0秒。

C.注文してから提供されるまでの時間
1分5秒25
反面、提供そのものはすごく早かったが、会計の段階でやはりタイムロスが出てくる。ちなみに、SUICAやPASMOでも会計ができるのでトレイにあらかじめSUICAを用意しておくと早いだろう。

D.そばを食べる時間
うどんでもそばでも食べる時間は同じと仮定。
2分8秒

E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。
2分

計(A+B+C+D+E)
8分13秒

やはりホームにそば屋がないのが響いたか。渋谷駅よりやや時間を費やし8分13秒となった。ちなみに、恵比寿駅のこのうどん屋はそれほど急いでないときに利用している。このお店はうまいよ。

内回り、外回りともからかなり近い立地。渋谷・恵比寿よりホームが空いているのもうれしい(−40秒)
提供時間も30秒81と早めでした。
カウンターはかなり広くイスに座って食べることもできます。

目黒駅の場合

続いて目黒駅。渋谷駅と同じくあじさい茶屋があった。

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間
20秒(往復×2)=40秒
島式のホームから内回り電車、外回り電車歩いてすぐの立地。渋谷駅や恵比寿駅と比べるとやや人が少なめなので歩きやすいのも良い。ここはかなり穴場です。

B.店頭で食券を買う時間
10秒
券売機が一機しかなかったので混雑しているときはやや不便か。しかし、調査時は運よく空いていたので、これを基本値としたい。SUICA使用可。

C.注文してから提供されるまでの時間
30秒81
僕が訪れた時間帯は女性のかたが一人で切り盛りしていた。女性は手際よくゆで上がったそばにダシをかけて提供してくれた。30秒81。はやい。目黒駅は早いぞ。

D.そばを食べる時間
渋谷駅のそばとまったく同じ味がした。チェーン店だからな。
2分8秒

E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。
2分

計(A+B+C+D+E)
5分20秒

記録更新。5分20秒で立ち食いそばに寄ることができた。5分程度であれば「電車が遅れちゃってさー」で許されるレベルではないだろうか。さらなる記録更新を目指して五反田に向かおう。

 

何とそば屋さんまで最短4歩。電車のドアが開いたら4歩でそば屋。どこでもドアって五反田駅のことじゃないだろうか(−40秒)
目線の位置にすりガラスがあるので偶然同僚にさぼっているのを見られてしまう心配もなし。これは嬉しい。
でも、電車が来たら完璧に分かるつくりになっている。これはなかなかいい立地だ。(−1分)

五反田駅の場合

続いて目黒駅。渋谷駅と同じくあじさい茶屋があった。

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間
15秒(往復×2)=30秒
左の写真を見ていただきたい。そば屋まで電車から最短4歩で到着できる。全国でもここまで近いお店はなかなかないんじゃないだろうか。五反田の底力を見た。

B.店頭で食券を買う時間
10秒
通常のあじさい茶屋の店舗と同様。

C.注文してから提供されるまでの時間

4秒15

寡黙そうなおじさんがさっと提供してくれました。時間にして34秒。目黒駅と比べるとやや時間がかかったが、それは混雑していたから。

D.そばを食べる時間
そろそろかけそば以外のものが食べたい。
2分8秒

E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。
1分
左の写真のように次の電車が来たらいやがおうでも分かる店構えだ。これで効率よく電車に乗れるので大分短縮できると思う。約1分短縮としよう。

計(A+B+C+D+E)
4分22秒

今までのベストタイム。ついに立ちそば界で未到の地とされていた5分の壁を切った。ロスタイムはわずか4分22秒。これなら遅刻せずにすむんじゃないだろうか。この記録はなかなか破られまい。

大崎駅

ホームをのぼってちょっと歩いたところにそば屋さんが。

しかし僕の取材日程が悪かったのか取材日(土曜日)は20時閉店。
ホームから遠いし、駅構内にあるので“駅そば”だと思うが、本格的な店構えなので立ちそばと呼ぶのも失礼だと思ったのでここは棄権とした。

大崎駅
棄権

電車は最終目的地、品川駅へと向かう。僕の胃袋もぱんぱんだ。

 

今までで一番混雑していました。品川駅は確かに食事をするイメージがありますね
定員さんが3人も居たためか20秒で出てきた。すげー。
ネギ、大盛り。

品川駅の場合

最後は品川駅。ラストチャンスで奇跡は起こるか。

A.電車からそば屋さんまで歩く所要時間
1分(往復×2)=2分
そば屋さんは京浜東北線の駅の上にある。山手線のホームからだと少し遠いか。ここでの時間のロスは少し痛い。

B.店頭で食券を買う時間
10秒
通常のそば屋と同じ。

C.注文してから提供されるまでの時間
20秒23
提供時間はもっとも短い20秒23。早い。ものすごく早い。

D.そばを食べる時間
ここのそばはネギが大盛りで嬉しかった。
2分8秒

E.途中下車をした分、電車を1本待つ時間。
2分

計(A+B+C+D+E)
6分38秒

提供時間こそ早かったものの、ホームからの距離がたたって時間どおり進まなかった。

 

結果発表

五反田駅 4分22秒
目黒駅 5分20秒
品川駅 6分38秒
渋谷駅 7分35秒
恵比寿駅 8分13秒
大崎駅 棄権

もちろんこれは一例に過ぎないが、渋谷―品川間の場合五反田駅がかなり時間をショートカットできるのではないかと思った。他の駅ではどうなのか。調査が待たれる。

本当はそんなに慌てずに本でも読みながら食事をしたいんですけどね。

タイム・イズ・マネーなり

結論としては山手線のどこで降りても10分以内に食事時間を抑えることができると分かった。

どのお店も1杯のそばを出すのに1分とかかっていない。世界は広いが、必ず1分以内に食事が出てくるのは日本の駅の立ち食いそばだけではないだろうか。いいか悪いかはわからないが、とりあえず便利ではある。

スローフード全盛の時代にこんな慌てた食事風景を見せて申し訳ないが、1分でも食事時間を短くしてほかのことをやりたい気持ちも分かっていただけると幸いである。

と、ここまで書いていて、家を出るのをもう少し早くすればいいという結論でもあるような気がした。


 
 
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