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ひらめきの月曜日
 
興奮の、本場さつま揚げ工場見学

基本的な質問

まずは食べ方について。

「あ、この辺では、さつま揚げのことを『つけあげ』って言います。それはもう、いろんな食べ方をしますよ。お弁当のおかずも、普通は玉子焼きの隣はウインナーですよね。でも、つけあげだったりするんです」

それはそれでとてもおいしそうだ。他に、さつま揚げに使う魚の種類(えそ、いわし、いとより、たら等)や、材料の価格が軒並み高騰していること、本場は味付けが甘めなことなど、いろいろな話を聞かせてもらった。

「他に何か聞きたいことはありますか」と聞かれても、もう思い浮かぶ質問がない。

「じゃあ、さっそく見学しましょう」ということになり、白衣を着用、帽子を被る。


工場見学のスタイルへ。

その前に手を洗わなければ…と、案内された洗面所に張られた標語を見て、思わず背筋が伸びた。


潰れる。

これは社長が考えた標語だそうだ。ここまで言いたいことを簡潔にまとめ、かつダイレクトな作品も珍しい。非常に力強く、言いたいことがハッキリしている。

手が痛くなるほどよく洗ったあと長靴に履き替え、強風の吹き出る装置でホコリを払ったり、消毒液の中を通ったりという工程を経て、ついに工場内部へと足を踏み入れた。

 

興奮せざるを得ない

加治木さんの後に続いて工場に入る。入口付近はパッケージの作業をする場所のようで、ひんやりとした空気のなか、従業員の方が黙々と手を動かしていた。

要冷蔵食品を扱っていることから、この部屋は一年中冷房を効かせているのだそうだ。


積み上げあられている物は…
すべて、ちくわ!

人はたぶん、興奮しすぎると、かえって寡黙になるのだと思う。心の中は「うわ、うわ、うわ」と自分の声でやかましいほどなのだが、それが全く言葉にならない。

壮観だ。ちくわがこれほど大量にあるところが見られるなんて、これだけで来た甲斐があるというものだ。

すでに心の興奮度を示す針はレッドゾーンに突入している。それなのに、ああそれなのに。


次から次へと出て来るちくわ。もちろん焼きたて。
それを一列に整理。
手早くさばかないと、ちくわ渋滞が! ああ!
クラッと来た。クラッと。

まるで湧くようにちくわがどんどん出てくる光景を目の当たりにして「ちくわが、ちくわが…」と、うわごとのように呟く。それだけだで精一杯だ。ちなみに、興奮度の針はとっくに振り切れている。

ほぼ棒立ち状態の私を、加治木さんは次のレーンへと連れて行った。


こちらでは、さつま揚げ(上棒天)がどんどこ出てくる。
やっぱり手作業で分けていきます。
このあたりから、感覚がマヒ。
もう、ため息しか出ません。

工場は朝の6時から午後3時頃まで操業しているのだそうで、時間帯によって作る物が異なるという。だから、ちくわと上棒天を作る場に居合わせたのは単なる偶然でしかない。それにしても、なんたる幸運だろうか。

私が冷凍庫にちくわを常備しており、夜中に腹が減ったら解凍して食べていることを知ってるのは神様くらいなもんだ。ああ、神よ。ありがたや。


さらに奥では、真空パック用の作業をしてました。
作業中に手を止めてくださった。ありがとうございます。

いやー、もう正直、胸がいっぱいです。目の保養をたっぷりさせてもらいました。

…と、落ち着くのはまだまだ早い。工場見学の核心は、むしろここからいっても過言ではなかったのである。

いきなり暑い

さらに奥へと案内された。そこは、これまでの涼しい部屋から一変、いかにも「火を使ってますよ」と言わんばかりの熱気あふれる空間であった。

全身の毛穴が、一斉にドッと開いたのが分かる。いよいよ工程は「加熱」へと遡ってゆく。


この日は使ってなかった巨大蒸し器。でかい。

見たこともない大きな機械を前に、さらに違う興奮スイッチが入るのが自分でも分かった。


 

 
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