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ひらめきの月曜日
 
ラーメンの値段とチャーシューの厚みは比例するのか
計測中。


安いラーメンを食べるとチャーシューが薄くてがっかりするけど、「まあ安いからしかたないか」と思うことはないだろうか。僕にはある。

考えてみればラーメンの中で原価を削るとしたらあのチャーシューしかなさそうだ。めんもスープもおそらくそれほど高価なものではないだろう。でもチャーシューは高価だ。

そこで、ラーメン店に行って値段とチャーシューの厚みをそれぞれ調べてきました。

値段が安いほどチャーシューは薄くなる、という仮説は成立するのか。

(text by 梅田カズヒコ



ルール

  • お店では一番基本となる、安価なメニューをオーダー。(チャーシューメンは頼まない)
  • 基本的に醤油ベースのラーメンをオーダー。
  • チャーシューの厚みを測るときは目測で平均的な厚みの箇所を選び、ものさしで計測

 

おぉ、うまそうだ。いつものラーメン。(504円)
3.5ミリでした。今後の基本値としよう。
貧乏根性丸出しで重さも計測してきた。経験上重さをはかると何かが見えてくるんです。

チャーシューはかなり長時間煮込んだ味(王将)

まずは王将に行ってみた。僕の生まれた町には駅前に王将があって、家族の中で中華料理と言えば王将を指した。だから今回も王将を皮切りに調査を始めたいと思う。個人的な見解で恐縮だが、Gooランキングの「よく通う全国チェーンのラーメンランキング」でも1位になっているので、ひとつ目の調査として妥当なところだろう。

1.餃子の王将

商品名/価格
中華そば 504円(期間限定)

チャーシュー
厚み: 3.5mm
枚数: 2枚
重さ: 19g
味付け: 濃い

その他
他に入っていた具:海苔、たまご、ネギ、メンマ
スープはやや濁っている。こってり。

 

近所の王将で一番普通のラーメンだと思われる「中華そば」をオーダー。これがどのぐらい厚いのか、薄いのか分からないが、3.5ミリという数字はひとつの基本値となるだろう。

今回はチャーシューを計測するにあたり、チャーシューだけを単体で食すことにした。普通、ラーメンを食べてもチャーシューだけをそのまま分けて食べたりしない。普通は麺やスープと一緒に、大事に何回かに分けて食べる。

で、王将のチャーシュー単体の味は濃かった。ものすごく醤油が染みている味だった。これはあれだ。きつねうどん理論(※)だ。

※きつねうどん理論とは・・・
きつねうどんのきつねは味が濃い。しかしうどんのダシが薄味に設定されているので、中和していい味になる上に、それぞれの味のグラデーションを楽しめると言う関西風きつねうどんの特徴を表したもの。わざわざ理論と呼ばなくても良いという批判もある。

 

 

油で照かってる感じが「太りそうだけど、たまらなくうまそうだなー」って感じ。(390円)
ちょっと見づらいですが厚さ3ミリでした。
重さ20グラム。くしくも王将と同じ。

代わって薄味チャーシューでした(日高屋)

続いてやってきたのは「中華そば390円」で首都圏では知らない人はいない日高屋。僕が大好きな庶民系ラーメン屋の一つです。隠れ家的なラーメン屋とかにたまたま入って、あんまりおいしくないのに高かったりしたら、ああ、日高屋で食べときゃよかったなーと思います。

正式名称は『ハイデイ(HIDAY)日高屋』って言うんですね。ハイデイってなんですか。

2.日高屋

商品名/価格
中華そば 390円

チャーシュー
厚み: 3mm
枚数: 2枚
重さ: 20g
味付け: やや薄い

その他
他に入っていた具:海苔、ネギ、メンマ
スープは澄んでいる。体が温まりそうな味。

日高屋は厚さ3ミリで390円。王将は3.5ミリで504円。ということは安いほどチャーシューが薄いの法則は現在のところ守られていることになる。

今まで日高屋に行ったらついついややこしいメニューを頼んでしまっていた。ストレートな中華麺は提供されるのが早かった。そうかそうか。中華そばは提供時間が早いのか。

そうかそうか。今度から急いでいるときは一番簡単なメニューを頼もう。そんなことにいまさら気付いた26の春。

 

 

今回のラーメンで一番高価。確かに器が一番豪華な感じです
(680円)
おぉ、夢のオーバー10ミリ!! 1.1cmを記録しました。
重さは他店とそれほど大差はなく、24グラム

チャーシューの厚み夢の1cm(光麺)

次は『光麺』にやってきた。首都圏では新宿や六本木や秋葉原などにもあるのでわりとメジャーなラーメンチェーンと呼んでいいと思う。

お店に入る前に値段を確認したら元祖光麺が680円。今回の調査の中では一番高価なラーメンだ。否が応でも期待が膨らむ。

3.光麺

商品名/価格
元祖光麺 680円

チャーシュー
厚み: 1.1cm
枚数: 1枚
重さ: 24g
味付け: 薄め

その他
他に入っていた具:ネギ、メンマ、焦がしネギ、チンゲンサイ。
スープは澄んでいる。体が温まりそうな味。

なんと厚さが1.1センチもあった。センチで表現できた。なんだろう、この得した感じは。

ラーメンの中に入っているミリ単位のチャーシューにどうして夢中になってしまうだろう。誰か共感してくれる人はいないものか。そんなにチャーシューを食べたいならチャーシューメンを食べればいいじゃない、むしろチャーシューだけをオーダーすればいいじゃない、とお思いのかたもいらっしゃるかと思うが、僕は普通のラーメンにちょこんと入っているチャーシューを大事に食べるのが好きなんですよ。

自分自身でも、深層心理でラーメンの中のチャーシューにこれほどの思い入れがあるとは思わなかった。人間の感情は宇宙より広くて謎に満ちている。

 

 

安いわりには見た目はけっこうチャーシュー乗ってます。(304円)
厚さ2mm。こうなってくるとどやってこんなに薄く裁断しているのかが気になってくる。
重さは30グラム。なんと、一番安いラーメンに一番たくさんのお肉が入っていると言う計算に。

ラーメン業界のマクドナルドとの呼び声高い(幸楽苑)

お次は幸楽苑。北は青森から西は兵庫まで全国でも有数のラーメンチェーンに上り詰めた幸楽苑。290円という低価格なラーメンが受けている。幸楽苑の社長が、わが社をラーメン界のマクドナルドにすると語ったのは有名な話。(外部サイトへの参考リンク

さて、話が脱線したがチャーシューの厚みはどうだったかと言うと…

4.幸楽苑

商品名/価格
中華そば 304円

チャーシュー
厚み: 2mm
枚数: 4〜5枚
重さ: 30g
味付け: 標準

その他
他に入っていた具:ネギ、メンマ、海苔。
麺は黄色っぽく、リーズナブルなラーメンの味がしました

薄さ2mm。ものすごく薄い。。逆に薄く裁断させて、型崩れさせないようにする技術がすごいなと思った。

薄さに反して重量は30g。他店が1〜2枚に対し、平均で4〜5枚のチャーシューが入っているからだ。しかしまさか一番重いと思わなかった。恐るべし幸楽苑。

でも、ここまでおおむね高いほうが厚いという法則の通りの結果になっている。

 

 

ぴったりワンコインのラーメン。すごく優しい味がしました。さすがモスフード系列。上品ね。(500円)
きっかり3ミリ。ただ、側部の焦げ目の部分はどこよりもおいしそうでした。
14グラム。見た目と重さは少しギャップがあります。人間と同じだね。

見た目はぶ厚そうだが…(ちりめん亭)

最後はちりめん亭。あまり知られていないかもしれないが、実はモスバーガーと同じ系列なのだ。

さて、チャーシューの厚さはどうだろう。

5.ちりめん亭

商品名/価格
中華そば 500円

チャーシュー
厚み: 3mm
枚数: 2枚
重さ: 14g
味付け: やや薄め

その他
他に入っていた具:ネギ、メンマ、焦がしネギ、チンゲンサイ。
飲み会のあとに飲みたいような薄味でした。

これまでの『高いラーメンほどチャーシューが厚い』法則に従うならちりめん亭のチャーシューは日高屋より厚く(3mm以上)、王将よりやや薄いか同程度(3.5mm以下)になるはずだが、結果は3mm。日高屋と同じ厚みということは法則を破るまでもないが、ズバリ法則があてはまるわけでもない。

なんとも微妙な結果になった。

しかしシメのラーメンとしての味としては最適な味がした。

 

 

最後にグラフにしてみました

お粗末なグラフで申し訳ないがラーメン1杯の価格とチャーシューの厚みの相関図をグラフにしてみた。

結論としては、やはり高いラーメンのほうがチャーシューが厚いということになるだろうか。


いやー、食ったねー。

チャーシューの存在感

結論としては

・ラーメンの価格とチャーシューの厚みはおおむね比例する。
・チャーシューは僕らが思っているよりもずっと薄く、軽く、儚い。

と言ったところだろうか。

測定のために、ラーメンからチャーシューをいったん取り皿に移して測っていると、残されたラーメンがとてもみすぼらしいものに思えてきた。チャーシューはわずか2ミリから1センチまでの小さく、薄いものなのにこの存在感はなんだろう。そして、ちょっとでも分厚いとどうして得した気になるんだろう。
いろいろと難しいと思うがどうかラーメン屋の皆さんにはひとつ厚いチャーシューを期待したいところだ。

チャーシューのないラーメンなんて・・・

 
 
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