●タイムカプセルを掘りに行く
そしてついに、おもいを馳せていた未来が今になる日が、あっという間にやってきた。記事上でも、あまりに連続しすぎているとおもうが仕方ない。なにしろ1週間なのだ。
相変わらずの雪深さ。1週間前にぼくが穴を掘った痕跡はもう見当たらない。目印の樹からふらふら6歩進んで場所のアタリをつけ、スコップをふるった。
また掘る
●なんの苦もなくみつかるカプセル
書きながらなんとなく、埋めた直後に掘り返してもよかったんじゃないのかというおもいにとらわれる。いや、よくはないのだが、そんな風にみえてるんじゃないだろうかこの記事は、という危惧である。そして、
あった
当然といえば当然だが、あまりにあっさりみつかるタイムカプセル。なにしろたった1週間前の出来事である。その場に立てば感覚でこの辺だとわかってしまった。
「みつからないよ〜」 と、状況を偽装しようとした小芝居を押さえた1枚
というわけで、無事に掘りだしたタイムカプセルを、さっそく現地で開けることにした。外は寒いが、やはり掘ったその場で中身を確かめるのがタイムカプセルの流儀だとおもうからだ。クラスで埋めた二十年前のタイムカプセルだって、じゃあ今から予約した居酒屋に移動してそこで開封しますのでとはならないだろう。いや、案外なったりするかもしれないけど。
おお! あたりまえだが詰めたときのままだ! 1週間前なので記憶も鮮明である。蓋を開ける瞬間、クリスマス会のプレゼント交換で自分の持ってきたプレゼントが自分にまわってきたときのような照れ笑いが自然と浮かんできた。
さあ、果たしてタイムカプセルにはどんなものが入っていたのか。いくつかご紹介したい。
●なかったことにしたい過去が一同に集結
ぼくはチョコが大好きだ。だがこれは単に好きだからといって埋めたものではない。
おもえばぼくは、なにか問題を抱えるたびにこんな調子だ。やらなきゃいけないことを先送りにして結局あとで大事になって困るのだ。今回だってそうだ。もしその女性が、自分が贈ったはずのチョコレートが誰の口にも入っていないことに気づいたらどうなる。完全にぼくが疑われるじゃないか(実際犯人だし)。 タイムカプセルにいきなり自分のダメさを突きつけられた。過去からの叱咤、そういう意味では効果的な中身だ。そんなつもりで選んだわけではないが。
テレビのリモコンの電池がもうすぐ切れそうだったので買って入れておいた単4電池、純粋に贈りものだ。いっぽうの単3電池は、リモコンの電池は単3と勝手におもいこんで購入してしまったものである。まあほかに使えるだろうとおもったら、ぼくの部屋に単3電池で機能している機器類はなかった。1週間後の未来にも、ない。 ぼくはこういう無駄な買い物が多い。これはまさに、買い物の際は確認を怠るなという過去からの戒めだ。なんなんださっきから、戒められてばかりじゃないか。
●物価にみる時代の変化と変わらない優柔不断さ
チラシである。当時の世の中を伝える貴重な資料だ。もちろん国鉄は関係ない。
2円値上がりしていた。なんということだ、時代は確かに変わっていたのだ。今回のタイムカプセルの中身ではじめて、なんとなく入れた意味があったものの登場だ。だがしかし、テンションは上がらない。だって灯油が高くなっているのだから。 1週間前に買っておけばよかったというはげしい後悔にみまわれる。おまけに最近まで87円だったという情報が手もとにあるために、いま灯油を買うべきなのか、それとも少し待って様子をみるほうがいいのかという余計な選択肢まで生まれてしまった。
取り乱してしまった。ところで、ホームセンターのほかにも近所のスーパーのチラシを一緒に埋めていた。そっちの店をみてまわった際、冷凍食品コーナーに『お客様へ』という掲示があるのをみつけた。例の殺虫剤混入事件のことかとおもって読んでみたら、『当店で販売しております冷凍食品につきましては、調査の結果ミートホープ社の原料は使用しておりません』というお知らせだった。このスーパーのほうがよっぽどタイムカプセルっぽいなとおもった。
トイレットペーパーが90円も値上がり! 灯油と絡めて社会派なコメントをしようとしたけど無理でした