前ページに挙げたようないかにもアパートらしいアパートの住み心地は決して良くないことは承知している。夏暑くて冬寒い。火事にもなりやすいし、隣室の音だってつつぬけだ。ぼくはアパート暮らしをしたことがない。そうきけば「しょせん実際の暮らしぶりを知らないやつのたわごとだ」とおっしゃる方もいらっしゃるだろう。
しかし、これらのアパート建築って、いまの日本人の心にいつの間にか深く根付いた郷愁なのだ。トキワ荘とか一刻館とか、青春ものにアパートはつきものだ。保存運動を目指すわけではないが、いまのうちにもうちょっと見ておいた方が良いと思う。賭けてもいいが、20年後あたりにこういうアパートらしいアパートが非常に少なくなったときに、懐かしんでアパートの小説とか映画とかが出てくるよ。
■良い感じのやつと名前の関係
さて、無駄に熱く語ったところで、アパート鑑賞をしていた気がついたことをひとつ紹介しよう。「良いアパートは日本名」という法則だ。
たとえば上のもののように、アパートとは名ばかりのコジャレた物件にはカタカナ外来語系の名前が付いていることが多い。以下に見てみよう。 |