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フェティッシュの火曜日
 
高校生ロボットアメリカンフットボール全国大会観戦記

BBQのメンバー達。自分の高校時代を思い出す雰囲気。
彼は13年前の私なのだろうか。
旋盤で削りだしたホイールとスイス製モーターが自慢だ。

取材させていただく生徒達

このロボフト大会をより深くレポートするために取材させていただくのは、埼玉県立新座総合技術高等学校の電子機械科三年生有志によって結成された、BBQ(ビービーキュー)チーム。チーム名の由来は肉が好きだからとかそういう理由かと思ったら、まるっきり当たっていた。

見た感じはちょっと頼りない部分も見受けられるかもしれないが、彼らは埼玉県予選を勝ち抜いて来た埼玉の工業系高校生代表なのだ(3校4チームだが)。私も埼玉県の工業系学科出身で、彼らは私の母校を破ってこの大会にきているので、ここはぜひ優勝していただきたい。

ただ、彼らBBQチームのプロフィールを見せてもらったのだが、マシンの攻撃力や守備力よりも、メンバーの団結力や精神力に重きを置いたスタイルらしく、この自己評価だけ見るとちょっと不安になってくる。

ところで彼らの雰囲気、私が高校生だった13年前の同級生達と全く同じである。学校の期末試験よりも第二種電気工事士の資格試験を優先しそうな、共学の普通科とはちょっと違う工業科独特のこうモヤモヤした感じが懐かしい。5人のどの顔をみても、「あ、学校にこういうやついた!」と思い当たるフシがある。というよりも、彼らの中に13年前のモッサリした私が見えてきた。

まあそんなことを彼らにいったところで気持ち悪がられるだけだろうからいわないけれど。とりあえず全力を出し切ってがんばってもらえればと思う。優勝したら先生のオゴリで中華街での祝勝会が待っているらしいぞ。

しかし彼ら、13歳も年下かあ。そりゃ私の腹もでるわなあ。



予選一試合目がスタート

全国大会は17チームが4グループに別れ、各グループごとに総当たりリーグ戦をおこない、上位1チームが決勝トーナメントへと進む。

抽選の結果、我らがBBQチームは唯一5チームで予選を争うことになるDグループに決まった。幸先悪し。


試合の前にはロボットがルールに則っているかをチェックする“車検”がある。 Dグループ第一試合を見守るBBQメンバー。

Dグループ最初の試合が終わり、いよいよBBQチームの出番だ。対戦相手は昨年の全国ベスト8、山口県代表の宇部工業高等学校の防長工友会。

ここでBBQの選手達は、全国大会のレベルを痛感することになる。


緊張の中、試合スタート。

 

いきなり変形してくる相手ロボット

相手ロボットのクオリティにびっくりした。

試合スタート時点でのロボットのサイズは確かに20センチ四方以内なのだが、試合がはじまった瞬間、手がグッと左右に広がったり、ショベルカーみたいなパーツがドンと前に飛び出たりと、規定サイズを飛び越えた戦闘用ボディに切り替わるのだ。ゴールドライタンか。「創意工夫」という言葉の意味を初めて知った気がする。

そしてそれを操縦する選手の腕がまたいい。直線的な動きだけではなく、オシロスコープに映し出されたサインカーブのような曲線を描きながらブロックを避けてゴールエリアへと進んでいく。


いいところまで攻め込むも、あっさりと奪われてトライ。

恐ろしいまでのマシンの開発力とドライビングテクニック。彼らは本当にBBQと同じ高校生なのだろうか。本当は若作りのNASA職員とか連邦軍とかなんじゃないだろうか。

BBQのメンバーが直立不動になってしまった。


変形してボールをガッチリとキープするオレンジの防長工友会チーム。 激しいアタリにマシンが故障したBBQチーム。そういえばローファーってしゃがみにくいよね。

こうなると変形機能を持たないBBQチームはちょっと厳しい。選手はがんばってはいるのだが、内に秘めたその闘志があまりの機能の差に不完全燃焼をしている様子でテンションも低い。どうにか一点を得ったものの、スイスイと得点を重ねられて1対8のコールドゲームとなってしまった。
※7点差がつくとコールドゲームとなる。

これが去年ベスト8になった高校と今年初参戦の高校との差か。

どうやらロボフト全国大会常連校と今年が大会初出場の新座総合技術高校では、今までに積み重ねた経験がF-1でいうとフェラーリとスーパーアグリくらい違うようで、ちょっと予選突破は難しいようだ 。

 

 

予選二試合目は不戦勝

こうなったら優勝は無理としても、どうにか一勝でもして欲しい。

そして一勝目指して臨んだ予選二試合目は、対戦チームのマシントラブルによる不戦勝となった。


とりあえず一勝。

不戦勝で記念すべき全国大会での一勝を手にしたものの、選手達のテンションはいまだ上がらず。


試合の合間に痛んだマシンの整備。 家族の応援が嬉し恥ずかしい年頃。

不戦敗となった相手チームも予選を勝ち抜いてここまできたチームであり、この全国大会にくるまでがどれだけ大変かを知っているBBQの選手達にとっては素直に喜べないようだ。

というのは見る側の勝手な推測なのだが、やっぱりちゃんと試合に勝って一勝をもぎ取って、元気なガッツポーズをしてほしいぞ。


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